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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年09月15日

J2第33節 水戸×熊本@Ksスタ

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mito0914.jpg開幕3連勝でスタートした今シーズン。その後も4連勝を達成するなど、京都を3-1で撃破した折り返しの21節時点では、確実に昇格プレーオフ圏内争いへ参戦していた水戸。しかし、後半戦は東京V、千葉、甲府など上位陣相手の黒星で勝ち点を伸ばせず、現在は6位の京都と12ポイント差の12位。少し目標達成が厳しくなってきたかもしれません。
対する熊本は、序盤の7節から9試合未勝利という苦境を経て、無敗と連敗が交互に訪れるようなシーズンに。4戦無敗で迎えた前節は北九州に0-2で完敗を喫し、現在の順位は17位。ここからは1つでも多くの勝ち点、1つでも高い順位を目指す戦いになっていきます。平日開催となった金曜日のナイトゲーム。少なくない虫の音も聞こえる中、水戸のキックオフで時計の針は動き出しました。
開始40秒のチャンスはホームチーム。左から島田祐輝が入れたクロスに、逆サイドから走り込んだ鈴木雄斗のヘディングは枠を越えましたが、これが攻勢の予兆。3分にも、やはり左からSBの輪湖直樹が好クロス。再び鈴木雄斗が頭から飛び込むと、ボールは左ポスト直撃。続けて左サイドからチャンスを創り出しました。
11分には熊本も北嶋秀朗がうまく浮かせ、武富孝介が角度のない位置からフィニッシュまで持ち込むも、12分には水戸の反撃。島田の左クロスはニアへ飛び込んだ吉原宏太にドンピシャ。ボレーは枠の左へ外れたものの、スタンドを湧かせます。
水戸の好リズムは間違いなく左サイドの主導権を握ったこと。「島田と輪湖はスピードがあって1対1も強いので、クロスボールは上がると思っていた。狙っていた所の1つ」と柱谷哲二監督も話したように、2人の連携もスムーズで、左サイドからの崩しを連発。特に島田は負傷明けで12試合ぶりのスタメンということを感じさせないパフォーマンスを披露し、チームに推進力を与えます。16分も水戸。島田の左CKを尾本敬が叩いたヘディングは、熊本GK南雄太が何とかキャッチ。得点以外は完璧に近い形で、水戸はゲームに入りました。
さて、なかなか攻撃の時間を創れない熊本は、時折北嶋がスペースに降りて、シンプルなポストワークをこなす際にはサイドまでボールを運べますが、その北嶋も「頭の上を越えていくボールが多かった」と振り返ったように、どうしても長いボールが増えてしまい、しっかり崩すような展開が出てきません。33分にはここも北嶋がポストに入り、片山奨典が左へ。斜めに走って受けた大迫希のミドルはゴール右へ外れるも、前半では一番いい形からのフィニッシュを。とはいえゴールには至らず。ジリジリした時間が続きます。
相変わらずサイドは制圧する中、20分以降はクロスの精度を欠き、シュートは打ち切れない水戸。39分にはロメロ・フランクと鈴木隆行のコンビネーションから、エリア内まで侵入するもオフサイドの判定。41分には右サイドから鈴木雄斗の鋭いクロスが上がり、島田が当てたヘディングは枠の左へ。全体的に水戸が優勢にゲームを進めたものの、スコアレスで前半は終了しました。
後半のファーストシュートは「右サイドのバランスが悪いので修正しよう」(高木琢也監督)と送り出された熊本。47分、その右サイドから大迫がミドルを枠外へ。まずは1つチャレンジをしてみせます。
ただ、ペースは変わらず水戸が掌握。50分には輪湖の左クロスを鈴木隆行が頭で折り返し、フランクが放ったシュートは南がキャッチ。54分、西岡謙太が浮き球をエリア内の鈴木隆行へ。30番は巧みなヒールパスを繰り出すものの、鈴木雄斗はシュートまで行けず。直後の決定機は9番。輪湖の左クロス。南のパンチングを鈴木隆行が体を張って収め、左へラストパス。受けた吉原のシュートはクロスバーに当たり、落下地点は微妙な所でしたが、高山啓義主審のジャッジはノーゴール。スコアは動きません。
高木監督は58分に決断。北嶋を下げて齊藤和樹を投入。前線に変化を加えると、59分には交替前に獲得していたFK。ゴール左寄り、約20mの距離から養父雄仁が直接狙ったキックは枠の上へ外れましたが、この辺りからようやく熊本にもリズム。63分にはスローインから武富が繋ぎ、原田拓のミドルはわずかに枠の右へ。続く67分には、SBの藏川洋平を起点に原田を経由すると、片山は大迫とのワンツーで左サイドを突破。少し浮いたクロスに、齊藤が右足で合わせたボレーはゴール右へ外れましたが、今日一番の連動性から惜しいシーンを創出。「ボランチの足が止まってしまい、サイドを崩される場面が増えた」と柱谷監督が言及したように、中盤での優位性が徐々に失われた水戸に対して、原田と養父のボールタッチが増えた熊本も反撃態勢に。
70分には照明の一部が消えてしまうアクシデントもあった中、74分にも齊藤、大迫と回ったボールを、養父が枠内ミドル。この時間帯は「五分五分の展開」(柱谷監督)だったと思います。そんな中、柱谷監督も1人目の交替策。75分、吉原に替えて「ゲームを創らせたらとてもいい選手」という村田翔をドイスボランチの一角へ送り込み、「収まりがいい」フランクを鈴木隆行と最前線に並べる布陣へシフトします。
すると、スコアが動いたのはその1分後。76分、市川大祐のFKから、西岡が浮き球を中央へ。フランクのシュートはDFがブロックしたものの、こぼれ球にいち早く反応したのは鈴木雄斗。「これで結果が出なかったら最後だと思って」臨んだ今日のゲーム。チャンスには絡むものの、前半の得点機も今季3度目となるポスト直撃に終わり、「またかと思った」18歳にとうとう飛び出したJリーグ初ゴールは貴重な先制弾。水戸が1点のリードを奪いました。
終盤に来て追い掛ける展開を強いられた熊本。高木監督も79分には大迫と根占真伍を、83分には原田と仲間隼斗を相次いで入れ替え、何とか1点を狙いに行きます。85分は熊本。根占が左へ送り、片山のクロスはDFが跳ね返しましたが、そのボールを養父はダイレクトボレー。水戸GK本間幸司もキャッチしきれず、詰めた根占の決定的なシュートは、しかし本間が果敢なブロックで回避。87分も熊本。仲間、武富とパスが繋がり、養父の左足ミドルはここも本間がファインセーブ。「最後の所で本間を中心によく守ってくれた」と柱谷監督。
そして、その熊本のCKから一転、水戸のカウンター発動。島田がドリブルでゴリゴリ運んで左へ流すと、そこに全力で上がってきたのは「水戸は"走る"チームなので当たり前」という"FWの"フランク。左足を振り抜いた一撃がゴールネットに突き刺さり、勝利を決定付けるダメ押しの2点目。主力数人を欠く中、「チームとしての成長をとても感じる」と柱谷監督も目を細めた水戸が、「勝利に値するプレーを、水戸さんがしっかりやったと思う」と敵将も認める完勝で、勝ち点3を積み上げる結果となりました。
水戸はこの勝利で13勝7分け13敗と五分の星に戻り、得失点差もプラス1に転じましたが、そんな数字以上に力を感じるチームという印象です。それを支えているのは「ベテラン4人の存在が大きい」と西岡も話した、経験のある選手の落ち着き。前線で体を張って基点を創る鈴木隆行。細かい駆け引きでゴールを狙う吉原。サイドからゲームをコントロールする市川。そして自陣のゴールに強固な鍵を掛ける本間。このベテランたちの味わい深いプレーは、やはりスタジアムでこそ、より楽しめるというもの。勝敗は勿論大事なのですが、ケーズデンキスタジアム水戸には、それをも超え得る日常を体験できる幸せが溢れているように、私には見えました。        土屋

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