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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年09月03日

J2第32節 千葉×福岡@フクアリ

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fukuari0902.jpg27節に端を発した泥沼の4試合未勝利。人も替え、システムも変えて臨んだ岐阜戦の"バクチ"も奏功せず、背水の陣で臨んだ前節の水戸戦で打ち出したのは"前"への意識。すると、3-0という快勝を収め、再び昇格プレーオフ圏内の6位へ浮上した千葉。谷澤達也というラストピースも早速ハマり、残り11試合に4年ぶりのJ1を懸けて戦います。
対するJ1からの降格組に当たる福岡は、開幕こそ連勝を飾りましたが、7節以降は二桁順位が続く苦しいシーズンに。23節からの4連敗も響いた格好で、現在の順位は15位。前田浩二監督の下で取り組んできた、「ボールをしっかり動かしていく」(山口和樹)スタイルで上位チームに一泡吹かせたい所でしょう。断続的に降っていた雨の影響もあって、24.9度という好コンディション。秋の気配すら感じさせるようなフクアリのゲームは、千葉のキックオフで時計が動き出しました。
いきなりの決定機は信じられない形から。開始2分、「映像で見ていたより速かった」と木山隆之監督も言及したオズマールのハイプレス。竹内彬のロストは、そのまま櫛野亮との1対1に。わずかながら遅れた決断が、オズマール自らのシュートコースを狭め、櫛野が弾き出したものの、直後に今度はボールを持つ櫛野へ全力で寄せたオズマールがクリアをブロック。「立ち上がりでちょっと難しいゲームになるなという感じがした」と木山監督も話したように、嫌な空気の立ち上がりを強いられた千葉。
6分には谷澤がクイックで出したFKから、こぼれに荒田智之が詰めたシュートは山口和樹がブロック。9分、兵働昭弘のクサビをバイタルに潜って受けた谷澤は、ドリブルから枠を越えるミドル。2度のチャンスも決定的なシーンまでは創り切れません。
イージーミスの目立つ千葉を尻目に、福岡は後ろからしっかりとビルドアップしながら、左SBのキム・ミンジェとボランチの鈴木惇が縦へのスイッチに。2トップのオズマールと坂田大輔もうまく裏へ飛び出すシーンが多く、手数は少ないものの悪くないテンポでゲームを進めていきます。
そんな中、19分にオーバーラップしてきた左SBの坂本將貴が、わずかに枠を逸れるシュートを放った直後、千葉を襲ったアクシデント。チームトップスコアラーの藤田祥史が負傷。わずか20分間でリカルド・ロボとの交替を余儀なくされてしまいます。このやむを得ないシフトが、千葉の流れを一層難しいモノに。「荒田とロボ、(田中)佑昌が前線で並んでしまい、ドイスボランチも並んだことで、なかなかボールを拾えなかった」とは木山監督。「前に前に行き過ぎていて中盤が空いてしまったので、セカンドが拾えなかった」とは兵働。普段公式戦でコンビを組むことの少ない荒田とロボのコンビネーションもハマらず、なかなかチャンスの芽まで到達できません。
対する福岡も22分には坂田がミドルを枠に飛ばしましたが、以降は前田監督が「もう少し貪欲な姿勢を見せていれば」と振り返った通り、時折鈴木と成岡翔が受けて捌き、フィニッシュの前段階までは行くものの、あと一歩の精度に欠け、ゲームは膠着した時間が続きます。
44分は福岡。キム・ミンジェのパスを受けた鈴木が鋭く縦へ付けると、坂田の反転シュートは櫛野がキャッチ。45+1分は千葉。佐藤勇人が粘って右へ。高橋峻希のグラウンダーはファーの谷澤へ届き、2人を同時に外す最高の切り返しから、押し出したシュートは枠のわずかに右へ。そこまで内容に差はありませんでしたが、おそらく千葉の方がより「思い通りに行かなかった」(木山監督)という印象を抱くような格好で、45分間は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも流れは大きく変わらず、お互いにチャンスを迎えられない展開は継続。ところが、55分に少し不可解なジャッジが。千葉は佐藤勇人が前へ入れたボールで、中央を抜け出し掛けた荒田は山口和樹のタックルで転倒。こぼれに反応した田中のシュートは枠の左へ外れ、チャンスは潰えたかに見えましたが、一旦プレーを流したはずの窪田陽輔主審は、アドバンテージによる田中のシュートを認めず、山口和樹のファウルを取り、イエローカードを提示した上で千葉にFKを与えます。山口和樹のタックル自体もボールを捉えていたようにも見え、当然福岡の選手は抗議しますが、受け入れられず。
絶好のチャンスにスポットへ立ったのは兵働。短い助走から「ちょっと落ち切るかなという心配はあったが、コースだけしっかり狙おうと思って蹴った」ボールは、パーフェクトな軌道を描いてゴール右スミへ吸い込まれます。千葉にとっては最高の形で、一方の福岡にとってはアンラッキーな形で、スコアが動きました。
「なかなか取れていなかったセットプレー」(兵働)からのゴールを得て、ホームチームの勢いは止まらず。65分、右サイドを積極的に上がってきた高橋が、田中とのワンツーからエリア内へ侵入。DFともつれ、わずかにこぼれたボールを、右へ回り込んでかっさらったのは荒田。思い切り良く右足で叩いたシュートは、GKの手を弾いてゴールネットへ収まります。今日がシーズン5試合目のスタメンとなる、遅れてきたストライカーの貴重な追加点。リードは2点に広がりました。
さて、勝利のためには3つのゴールが必要になった福岡。「ボランチにボールが入らず、間延びしてしまった」(山口和樹)状態は、シュートまで持ち込めない攻撃面のマイナスと、「嫌な所でボールを受けに来る」(山口和樹)谷澤を含めたアタッカーに中盤での自由を許す守備面のマイナスが。
68分には福岡のCKから一転、千葉の高速カウンター。ロボとの大きなワンツーから独走に入った谷澤のシュートは枠の左へ。70分、インターセプトから佐藤勇人がそのまま枠内ミドル。76分にも荒田が田中とのパス交換から惜しいシュートを放つと、2分後には相手のミスを突いた谷澤のシュートが、Jリーグデビューとなった福岡GK河田晃兵を強襲。この時間帯は明らかに"1点目"より、"3点目"の予感が流れていたと思います。
そんな風向きがわずかに変化したのは、79分に前田監督が敢行した交替策。石津大介に続く2枚目のカードとして木原正和が送り込まれると、直後のFKがビッグチャンスに。右から鈴木がクイック気味に蹴ったFKを、裏へ回った成岡がヘッド。ボールは惜しくも枠を外れたものの、これは後半のファーストシュートであり、同時に反撃の狼煙。
そして82分の咆哮は青蜂。ゴール前で鈴木、オズマールとパスが繋がり、石津は右へ短く。走り込んだ木原は最高のトラップで縦へ持ち出し、そのままゴール左スミへ流し込みます。後半に入り、流れの中から初めて掴んだ決定的なチャンスを成果に。1-2。1点差。俄かに活気付くアウェイゴール裏。勝負は最後の5分間とアディショナルタイムへ。
86分は福岡。石津が獲得した左CK。マイナス気味に鈴木が蹴り込み、木原が頭で落としたボールを岡田が右足で狙うも枠外。88分も福岡。オズマールの長いドリブルを起点に、最後は鈴木がミドルにチャレンジするも、ボールはクロスバーのわずか上へ。勢いは福岡。
そんな耐える千葉へ訪れた苦境で、存在感を発揮したのは「落ち着きをもたらしてくれる選手」(木山監督)。91分にオズマールのスピードを、老獪な読みでストップしたのは34歳の坂本。直後のピンチにも確実にタッチへ蹴り出すことで、流れを切ったのは34歳の山口智。ベテラン2人の落ち着きを力に、94分のCKも凌ぐと、いつの間にか綺麗な月が輝いていた夜空を切り裂くホイッスル。「失っていた自信が少しずつ体の内側から漲ってきているのが、本当に感じられた試合」と指揮官も評したホームチームが、大きな勝ち点3を手にする結果となりました。
勝負の分かれ目は、やはり千葉の先制点でしょう。前述した通り、少しレフェリングに疑問は残りますが、それでも兵働のFKは圧巻。福岡からすれば「あそこまではうまく守れていた」(山口和樹)上、石津に木原とギアを一段上げるための切り札が躍動しただけに、あの失点のダメージが最後まで響いた印象を受けました。これで果たして千葉は再び波に乗ることができるのか。泣いても笑っても残すはあと10試合です。           土屋

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