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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年09月16日

高校選手権東京A1回戦 都立駒場×早稲田実業@駒沢第2

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komaba0916.jpg首都の覇権を奪い合う高校生のラストバトルもいよいよ最終局面。今日から選手権の都大会が、その幕を開けることになります。4試合が行われる駒沢第2球技場のオープニングマッチは、いきなりの強豪対決。一昨年の覇者・都立駒場と、昨年のファイナリスト・早稲田実業が初戦でいきなり激突することになりました。
関東大会予選こそベスト8まで勝ち進んだものの、インターハイ予選は早実の前に一次トーナメント敗退となった駒場。都立の雄として、最後の大会に雪辱を期しています。一方、駒場を下した早実のインターハイ予選は、PK戦で全国切符を手にした修徳に敗れましたが、裏を返せばそれだけの実力が備わっているということ。波に乗れば頂点を狙い得る両者の対峙は、まだまだ蝉が鳴きしきる中でキックオフされました。
最初のシュートは早実。4分、天引航(2年・ベガルタ仙台JY)のCKを近藤大介(2年・FC駒沢)が頭で合わせ、駒場GK前平麗也(2年・練馬中村中)にキャッチされるも、勢いを持って立ち上がります。ただ、7分に広瀬大輔(3年・FC渋谷)のFKから、阿部雅大(3年・FC東京U-15むさし)がヘディングでゴールを陥れ、ここはオフェンスファウルの判定でノーゴールとなりましたが、以降は駒場の時間帯。
14分、広瀬が付けたボールを宇野大至(3年・府ロク)は左へ流れながら枠内シュート。16分、野田陸斗(3年・緑山SC)からパスを受けた秋葉遼太(1年・練馬開進一中)の思い切ったミドルは枠の右へ。18分には決定機。伊藤康平(3年・FC東京U-15むさし)を起点に、野田陸斗が粘って繋ぐと、走り込んだ小野寺洋平(3年・青梅第三中)がフリーで放ったシュートは、わずかに枠の左へ外れますが、積極的なシュートチャレンジで流れを引き寄せます。
押し込まれる早実は「T1であまりにも失点が多かったので」(森泉武信監督)、谷翔太郎(3年・杉並荻窪中)をスイーパーに置いた1-4-2-3の「オールドスタイル」(森泉監督)を選択。ある程度守備を固め、少ないチャンスを狙うスタイルに勝機を見いだす戦いに。32分には小野寺のクロスから、こぼれを広瀬が30m近いミドルで早実ゴールを強襲するも、キャプテンを務めるGK岸浪卓志(3年・大宮アルディージャJY)がビッグセーブ。何とかゼロでゲームを進めていきます。
ところが、その"盾"を"矛"が打ち破ったのは36分。ここも野田陸斗が粘ってキープ。小野寺が左へ送ると、秋葉はまったくのフリーでボールを受け、ゴール右スミへ冷静に流し込みます。チームの中でもとりわけ積極性が目立っていた1年生が大仕事。駒場が1点のアドバンテージを掴んで、ハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから早実に動き。ボランチの井上純平(1年・練馬FC)を下げて、米澤直也(1年・大宮アルディージャJY)を谷の前に並ぶ"右SB"へ送り込み、右SBの渡邉卓馬(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15習志野)を"CB"へスライドさせ、曽我巧(2年・大宮アルディージャJY)を一列上げる決断を下します。
43分には右サイドを西村秀樹(3年・日大三中)と崩した米澤のクロスから、あわやシュートまでという混戦を創り出し、いきなり交替策がハマった形になりましたが、その勢いも持続はできず。54分は駒場。林洋輔(3年・八王子上柚木中)のFKは岸浪がパンチングで逃れるも、伊藤が合わせたボレーはDFがクリアしきれず、左のポストを叩いて枠外へ。手数はそこまで多くはないものの、主導権は駒場が握って、後半も推移していきます。
森泉監督の決断は61分。天引を平本範之(3年・早実中)と入れ替え、「どこで1枚上げるかを考えていた」"左SB"の鈴木崇文(3年・東京ヴェルディJY)を最前線に。国体のメンバーにも選ばれている直江健太郎(1年・大宮アルディージャJY)をCFから左FWに 移し、「刺すか刺されるか」(森泉監督)の勝負に出ます。
追い掛ける側という展開の妙もあって、終盤はセットプレーも増加。とはいえ、67分に西村が直接狙ったFKはカベに阻まれ、72分と77分のCKもシュートには持ち込めず。着々と残された時間も消えていき、チャンスらしいチャンスも掴めないままの早実。
しかし、そんなチームの「ワンチャンスを信じるしかなかった」(森泉監督)想いが結実したのは77分。曽我が右から蹴ったCKをファーサイドで近藤が折り返すと、待っていた鈴木は得意の左足一閃。ボールは豪快にゴールネットへ突き刺さります。守備的なタスクから解放されたレフティが値千金の同点弾。土壇場でスコアは振り出しに引き戻されました。
すると、80分には早実に絶好の逆転機が到来。カウンターから直江との連携で左サイドを切り裂いた鈴木は中へ。このボールは懸命に走ってきた直江の足元に入るも、駒場DFが体を寄せたことでシュートは枠の左へ。一気に逆転まではいきませんでしたが、劇的な同点劇でゲームは延長戦へ舞台を移すことになりました。
お互いにいい形を創り切れず、残り10分間の攻防に気持ちが移り掛けていた、延長前半の終了間際。歓喜の瞬間は唐突に。90+1分、右サイドで野田陸斗が体を張ってキープすると、ボールは野田陸斗を外側から回った伊藤へ。運んで運んで右足で撃ち抜いたシュートは、対角線上のサイドネットを激しく揺らす勝ち越し弾。狂喜の青。駒場が再びリードを奪ってみせました。
追い込まれた早実も延長後半に大反発。91分、舟橋祐哉(3年・さいたま原山中)、野田絋暉(2年・東京ヴェルディJY)と丁寧に繋ぎ、鈴木の左足キャノンはゴール左へ。93分、直江の強烈な枠内ミドルは前平がファインセーブで回避。95分、野田絋暉が直接狙った無回転気味のFKはゴール右へ。
ファイナリストの執念。100分、平本が左から入れたラストクロス。こぼれたボールを鈴木がシュートまで持ち込みましたが、枠を捉えることはできず、訪れたタイムアップの瞬間。嫌な形で追い付かれながらも、リバウンドメンタリティを発揮した駒場が、インターハイのリベンジも果たし、昨年に引き続いてベスト8へ勝ち名乗りを上げる結果となりました。
延長で力尽きた早実でしたが、「力は限界まで達していた感じです。子供たちもウチの万策は尽くしたと感じています」と森泉監督。昨年の成績もあり、3年生はプレッシャーもある中で、ワンチャンスを決め切った集中力も含め、最後まで素晴らしいゲームを見せてくれました。その粘り強い戦いに拍手を送りたいと思います。        土屋

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