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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
関東プリンス2部も折り返しを過ぎ、今日が12節。1部昇格のために用意された3枚の切符を奪い取るための、激しいバトルが繰り広げられています。
ここ3試合勝ちがなく、順位を5位まで落とした関東第一。とはいえ、昇格圏内となる3位までのポイント差はわずかに2。まだまだ可能性は十分過ぎるほど残しています。また、昨年は決勝でPK戦の末に涙を飲んだ選手権予選も、順当に行けばベスト8でその昨年の覇者・東久留米総合と激突する厳しいブロックに。ここからの1試合1試合は常に重要なゲームになっていくのは間違いありません。
一方、関東第一同様に今年からプリンスへ参入してきた柏日体は現在8位。上位とはポイントが離れており、昇格は少し難しくなってきましたが、開催中の選手権予選では逆側のヤマに流通経済大柏、市立船橋、渋谷幕張、習志野など強豪が固まる幸運も。そこに向けても戦力、戦術共に最後の底上げを図りたい所でしょう。とにかく日焼け覚悟の会場は清瀬内山。座っているだけで流れる汗を拭いながら、キックオフを迎えました。
先に枠内シュートを放ったのは柏日体。6分、ペナルティエリアのすぐ外で片桐飛翔(3年・柏イーグルス)が奪ったFK。宮下侑弥(3年・FCクラッキス松戸)が直接狙ったキックはカベをすり抜けましたが、ここはプロ注目の関東第一GK渋谷飛翔(3年・ヴェルディSSレスチ)がしっかりキャッチ。先制弾とはいきません。
基本的なゲームの流れは、ボールを動かしながら前に人数を掛けたい関東第一と、ある程度守備から入りながら片桐と池田圭太(3年・ヴェルディSSレスチ)の2トップを縦に早く生かす柏日体という構図。ただ、そのスタイルの噛み合わせ上、前者がボールを持つ時間こそ長いものの、「最後のフィニッシュの所で、アイデアを残して入っていっていない」と小野貴裕監督も話したように、なかなか最後の仕掛けで崩すようなシーンまでは創り切れず、14分に掴んだFKのシーンも竹本佳(3年・小倉南FC)が右から上げたボールに、1トップの大村俊道(3年・FC CONSORTE)は頭を伸ばすもボールは枠外へ。ゴールの予感は漂ってきません。
対する柏日体は、2トップのどちらかとSHの川村勇貴(3年・ルキナス印西)が絡む右サイドからの仕掛けに勢いが。17分には逆の左サイドから、SBの宮下が右足で上げたクロスを、池田がフリーでヘッド。ボールはクロスバーを越えたものの、いい形から惜しいシーンを創出します。
ようやく関東第一も21分には、前に複数の選手が飛び出すと、右からSBの川添佑亮(3年・フレンドリー)が折り返し、大村が決定的なシュートを放ちましたが、柏日体もDFが決死のブロックで阻止。気迫でゴールを死守すると、30分に崩れた均衡。
関東第一が自陣深くでやや不用意にパスを繋ぐと、奪い返した柏日体の襲撃。川村、片桐と回り、池田は前を切られながらも粘って粘って左へ持ち出すと、一瞬できた"針の穴"へ左足でチャレンジ。ボールはその穴を通り、ゴール右スミギリギリに飛び込みます。冷静かつ力強い見事な一刺し。柏日体が先制してみせました。
さて、やや押し気味にゲームを進めながら、1点を追い掛ける展開となった関東第一。34分にはゴールまで約30mの位置で獲得したFKを、なんとGKの渋谷が無回転気味に直接狙ったものの、わずかにゴール右へ逸れ、同点ならず。最初の45分間はアウェイチームがアドバンテージを握る形で終了しました。
後半はスタートから関東第一に交替。キャプテンマークを巻いていた星清太(3年・フレンドリー)を下げて、小松雄貴(3年・大宮FC)をそのままCBへ投入。「カバーとボランチの動かし方が悪く、守備時に選手が一余りも二余りもしていた」(小野監督)状況の改善を図ります。
それでも後半最初のシュートは柏日体。48分、土屋尚斗(3年・柏イーグルス)が左からCKを入れると、浮いたこぼれをキャプテンのCB園田啓(3年・ヴェルディSSレスチ)がヘディング。このボールは渋谷が押さえましたが、56分にはまたも土屋の左CKから、今度は田仲晋郎(3年・松戸五中)が枠を越えるミドル。まずはアウェイチームが勢いを打ち出します。
以降はお互いに攻め手を出し切れない膠着した時間が続き、スコアも0-1のまま推移。59分には柏日体が田仲晋郎から田仲圭介(3年・柏イーグルス)という双子同士を交替させると、関東第一も中盤に変化を。62分には佐藤碧(3年・ヴェルディSSレスチ)を切り札の小川絢生(3年・小倉南FC)に、65分には竹本を上脇健太郎(2年・三菱養和調布)に入れ替え、大村の下に右から小川、ボランチから一列上がった石川喬一(1年・Forza'02)、角口大征(1年・FC府中)を並べ、逆転までを明確に意図した采配を小野監督は振るいました。
このシフトチェンジは、結果的に左SBの山崎健之郎(2年・Wings U-15)がより高い位置を取れるようになり、「相手の最終ラインと中盤の間で、SBに基点を創らせたい」(小野監督)という狙いはハマります。しかし、肝心の周囲と連動して崩す曲面までは持ち込めず、73分には大村も早坂隼弥(3年・東京チャンプ)との交替を命じられ、星、竹本、大村という主力を外した布陣で勝負に出ます。
82分には山崎のCKから、こぼれを小川が狙ったボレーは柏日体GK椿涼太(3年・柏イーグルス)が丁寧にキャッチ。86分にはようやくショートパスをテンポよく繋いだ崩しから、山崎、字羽井アハマド(3年・FC多摩)を経由したボールに小川が飛び込むも、シュートは当て切れず。逆に88分は柏日体。カウンターから右サイドを途中出場の細田侑希(2年・ヴェルディSSレスチ)が抜け出しましたが、シュートはわずかに枠の左へ。1点差のまま、ゲームはアディショナルタイムの攻防に。
そして90+1分、関東第一に訪れた千載一遇の同点機。山崎の左CKから、右サイドでセカンドを拾った字羽井は、石川とのパス交換から中へクロス。密集からわずかにこぼれたボールへ反応したのは山崎。左足で叩いたシュートは、DFの人垣を避けるようにゴールへ吸い込まれていきます。1-1。土壇場で振り出しに戻ったスコア。
勢いは関東第一。90+4分、川添の仕掛けで奪ったFK。GKの渋谷も上がってくる中、キッカーの山崎が選択したのは、ゴール前を外したマイナスのボール。しかし、石川には柏日体DFがしっかり体を寄せており、シュートはきっちりブロック。二次攻撃もフィニッシュは取れず、タイムアップのホイッスル。逆転とまではいかなかったものの、関東第一が執念で追い付き、勝ち点1を分け合う結果となりました。
「ウチが自滅した試合でしたね」と小野監督が話したように、関東第一はこのボール支配率と攻撃の時間を考えると、劇的な同点ゴールこそ奪いましたが、勝ち点2を落としたゲームという印象が強いのではないでしょうか。「ノッた時は去年のチーム以上のパフォーマンスが出てくるんですけどね」と小野監督。確かに個々のポテンシャルはかなり高いように見えるので、コンスタントに安定した力を発揮する部分と、負傷離脱を強いられている主力選手の復帰が、悲願の選手権制覇への鍵を握ってきそうです。
柏日体は最後に追いつかれる格好になりましたが、園田を中心に青山一輝(3年・FCクラッキス松戸)、山田優(3年・クラッキス松戸)を含め、守る時間も長い中でディフェンスラインが粘り強く対応していたと思います。順当に行けば八千代と決勝進出を懸けて戦うようなトーナメントの中、2年前に成し遂げた選手権県予選ベスト4進出という成果を超えられるか否か。柏日体の挑戦にも注目したいですね。 土屋
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