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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
昨日のT1リーグに続いて、今日開催されるのはT2リーグ。2日続けて夏の東京代表が登場します。
インターハイでは関東第一、帝京、実践学園など強豪を相次いで破る怒濤の9連勝で、ノーシードから東京を制した修徳。全国でも「勝ちゲームだったんですけどね」と岩本慎二郎監督が話したように、初戦で盛岡商業相手に敗れるも一時は先制するなど健闘。以降は「全国大会に出ているチームとやったりしても、ある程度一歩も引かずにできるようになった」(岩本監督)チームで、"選手権に強い"という定評を後ろ盾に、7年ぶりとなる冬の全国を狙います。
一方、インターハイではまさかの支部予選敗退となった東海大高輪台。リベンジの舞台となった選手権の地区予選では、4つ勝って都大会への切符を獲得。さらに好位置に付けているT2を制して、来シーズンへ繋げたい所です。なお、この対戦は共に無敗同士で迎えたゲーム。Bブロックの「タイトルが懸かった」(岩本監督)首位攻防戦の会場は大井ふ頭。磯の薫りも漂う中、高輪台のキックオフでゲームはスタートしました。
先制攻撃は修徳。4分、右から野澤克之(3年・FC東京U-15深川)が蹴ったCKを、ニアで田上真伍(2年・FC東京U-15深川)がバックヘッド。ボールはクロスバーを越えましたが、まずはゲームのファーストシュート。8分は高輪台。相手GKのキックミスを田島健太(3年・インテリオールFC)が拾って枠内ミドル。こちらも中盤のプレイヤーがチームファーストシュートを記録します。
以降のペースは左SHの野澤や、エースの大塚竜太(3年・フッチSC)欠場を受けて、1トップ下に入った田上がボールをよく引き出した修徳。16分にはその田上が果敢なミドルにチャレンジすると、25分にも右サイドを田上とのパス交換で本橋瑞基(3年・FCクリアージュ)が崩して中へ。こぼれを城ヶ瀧大地(3年・フレンドリー)が狙ったシュートは枠の上へ外れたものの、惜しいシーンを創出します。
なかなか手数の出ない高輪台も、26分にチャンス。小山拡志(2年・インテリオールFC)のフィードに、それまでも何度か裏を狙っていた伊藤竜之介(2年・ヴェルディ調布)が飛び出し、シュートはDFのブロックに遭うも狙いの1つを体現。27分にも伊藤のパスを受けた荒川真作(2年・FC駒沢)が巧みにラストパス。吉野崚平(2年・川口在家中)はわずかに枠の右へ逸れるシュートを打ち切り、ようやくいい形を生み出します。
とはいえ、流れはやはり修徳。32分には「唯一アイツの代わりはいない」 と指揮官も信頼を寄せる1トップの小野寺和也(3年・フッチSC)が、本橋とのワンツーを経て、角度のない位置から枠内を強襲。ここは高輪台GK小林直紀(3年・東海大高輪台中)に弾かれたものの、35分には本橋が右からカットインすると惜しいミドル。45+1分にも小野寺が左カットインから、サイドネット外側に突き刺さるシュートを。"個"で勝負できる分、修徳優勢で最初の45分間は推移しました。
後半はスタートから高輪台に交替が。三ヶ尻京平(2年・GRANDE FC)を最前線へ送り込み、その下に右から荒川、吉野、伊藤を並べる4-2-3-1へシフトします。これで前半からキープ力の目立った荒川がサイドで基点を創り、スピードのある三ヶ尻を生かす形が明確に。
49分には右サイドで伊藤のパスを小山が縦へ。抜け出しかけた三ヶ尻へは、修徳も右SBの池田晃輔(2年・FCフェスタ)が逆まで絞り、間一髪のタックルで回避しましたが、高輪台に出てきたリズム。58分にも理島直貴(3年・ベイエリアFC)、伊藤、三ヶ尻と細かく繋ぎ、最後は果敢に飛び出した修徳GK野口博輝(3年・ヴェルディ調布)にキャッチされたものの、パスワークで好機を創り出します。
ところが、このシーンで相手選手と接触した野口は倒れたままでプレーが続行できず、高橋太郎(2年・すみだSC)と交替に。確かに少し高輪台の選手がアフター気味に入ったため、岩本監督は猛抗議。ゲームも3分近く中断するなど、スタンドも騒然とした雰囲気に包まれました。
次にチャンスを迎えたのも高輪台。66分、理島の左FKから田島、吉野が続けて放ったシュートはDFが体を投げ出してブロックすると、そのこぼれに反応した小山のフィニッシュも枠を捉え切れず、先制とはいきません。
少し押し込まれる時間が続いた修徳。岩本監督の決断は68分。「相手の9番が速かったので」、ボランチの城ヶ瀧に替えて、CBへ佐藤大斗(3年・志村第四中)を送り込む、「あそこで競走させる手」を選択。CBの望月康平(3年・フレンドリー)を本職の右SBへ移し、池田を中盤へスライドさせる采配を振るいます。
これで全体のバランスが改善された修徳は、再びゲームリズムを奪還。72分、本橋が浮かせて裏へ放ると、抜け出した小野寺のシュートは小林が最高の飛び出しで阻止したものの、ゴールへの意欲を押し出すと、77分に訪れたゲームの分岐点。左サイドのアタックからエリア内で高輪台DFにファウルが。修徳にPKが与えられます。
この重要なシーンでキッカーを託されたのは「この所はフルで使っていて、エース格になってきた」(岩本監督)という本橋。左足で左スミを狙ったボールは、しっかりとGKの逆を突いてゴールネットへ。終盤に差し掛かった時間帯で、修徳がとうとうリードを奪いました。
さて、1点を追い掛けなくてはいけない高輪台も、失点直後に小泉大輝(3年・武南JY)を左SHへ送り込んで、前線のパワーを増強。83分にはその小泉が獲得したCK。理島が左から入れたボールに、CBの渡邉上総(3年・FCトリプレッタ)が頭から飛び付くも枠の右へ。89分にも左サイドのスローインから、三ヶ尻が上げたクロスにボランチの三上尚哉(3年・フレンドリー)が走り込むも、ヘディングは高橋の正面。1点のビハインドが重くのしかかります。
修徳も小野寺が2度掴んだ決定機をモノにできず、迎えたアディショナルタイムもほとんど終わりかけた96分。三ヶ尻が見せた執念の突破から、高輪台に正真正銘のラストチャンスが到来。中央やや左、ゴールまで30m弱の位置で獲得したFK。キッカーは理島。会場全体が固唾を呑んで見守る中、左足から描かれた軌道は、ゴールネットを揺らしましたが、ボールはサイドネットの外側をかすめて枠外へ。粘り強く勝ち切った修徳が「全勝で優勝する」という目標に、また一歩近付く結果となりました。
勝った修徳は「やられそうだけど、最後は体を張れている」と岩本監督が言及したように、あまり良くない時間帯でも一定の安定感を発揮して、ゲームを進めていた印象です。また、望月や池田、本橋など複数のポジションをこなせる選手も多く、 戦い方の幅も出てきているのではないでしょうか。選手権に向けて「ウチは当たったチームと全力でやるだけです」と謙遜しながらも、「やるのがイヤなのは、いつも"向こう"じゃないですかね」と笑った岩本監督。今年度最後のタイトルへ。修徳の歩みは至って順調に見えました。 土屋
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