mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2012/08

S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年08月29日

T1リーグ第13節 東京朝鮮×実践学園@東京朝鮮G

mas o menos
  • Line

tokyochosen0829.jpgインターハイ準々決勝のリターンマッチ。今シーズンの都内ではトップクラスの2チームが、夏の終わりに激突することとなりました。
インターハイでは初の全国大会出場を明確な目標に掲げたものの、実践学園の前に敗退した東京朝鮮。キム・デセン(3年・ジェファFC)とハン・ヨンジュン(3年・東京朝鮮第一中)の強力2トップを頂き、持ち前のフィジカルとテクニックが融合した"強者"のスタイルを前面に押し出しながら、残る選手権に悲願達成を懸けています。
一方、その東京朝鮮を予選で破ったインターハイでも、全国ベスト16まで進出した実践学園。シーズン前に掲げた"3冠"の内、関東大会の出場権とインターハイの全国出場権は達成済み。あとは最大にして最重要とも言うべき、選手権の全国出場権を全力で獲りに行くだけです。とはいえ、やはり全国で躍進した影響から「どのチームも全力でウチを潰そうという気持ちで来ている」と深町公一監督。T1の前節ではそこまで未勝利だった都立三鷹に敗れ、「自分たちで気持ちを入れ替えて、とにかく一戦必勝で先のことを考えずに戦おう」ともう一度ネジを巻き直したとのこと。今日は「今、モチベーションの高い子を使おう」と前線の顔触れを大きく入れ替えて臨みます。
さて、ゲームが始まると先にチャンスを創ったのは東京朝鮮。5分、ハン・ヨンジュンがミドルを枠に飛ばしてゲームのファーストシュートを記録すると、7分には決定機。右からハン・ヨンジュンが入れたボールをコ・チファン(3年・東京朝鮮中)がスルー。受けたキム・デセンは対面のDFを右に外してシュート。ここは実践GK天野将貴(3年・FC杉野)がファインセーブで阻止しましたが、深町監督も「当たったって触ったって、ゴリゴリと持っていく」と評した、相変わらずの"個"の強さを披露してみせます。
対する実践の反撃は11分。左から廣江翔(3年・府ロクJY)が上げたクロスを、ニアに潜った小林優(3年・FC Branco八王子)が頭で合わせるも枠の左へ。13分には三村涼(3年・AZ'86 tokyo-ome)が右から蹴ったFKに、尾崎快斗(3年・POMBA立川FC)はフリーで走り込むも、枠を捉えられず。絶好の先制機を逃してしまいました。
以降は、徐々に2トップとコ・チファンに早く付けて縦に勝負する東京朝鮮が攻勢。14分にはキム・デセンがエリア内で3人をぶち抜いて、天野に止められるもフィニッシュまで。15分と18分には、コ・ジャンギ(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)の正確なCKがゴール前を脅かすなど、ジワジワと実践を浸食します。
そして、スコアが動いたのは19分。右サイドからカン・ヨンデ(3年・東京朝鮮中)が中へ。コ・チファンのスルーパスがDFに当たりながら裏へ出ると、反応したハン・ヨンジュンは左に持ち出しながら強烈な左足シュートを、ゴール左スミへ一刺し。何とも"らしい"一発で、東京朝鮮がリードを強奪しました。
さて、早くもビハインドを負った実践はボールの回りも鈍く、手数を増やせず。29分にはキム・デセン、30分にはコ・チファンにカウンターからあわやという位置まで切り崩されるなど、耐える時間が続きます。そんな中、いい形からチャンスを迎えたのは37分。左サイドを小澤哲太(3年・AZ'86 tokyo-ome)とのワンツーで徳山浩介(3年・AZ'86 tokyo-ome)が抜け出しボレー。ボールは枠の左へ外れるも、ようやく流れの中からチャンスを生み出します。
すると、40分の歓喜は同点弾。右から徳山が蹴り入れたFKを、尾崎はドンピシャのヘディングで合わせ、揺らしたゴールネット。実践がセットプレーでスコアを振り出しに戻して、45分間は終了しました。
後半はまず実践にセットプレーのチャンス。49分、右サイドのエリアすぐ外で獲得したFK。廣江が小さく出して、徳山が狙ったシュートはカベに当たるも、追い付いた勢いを後半にも持続。53分には東京朝鮮も中央から高いキック精度を誇るコ・ジャンギが、30m近い距離を無回転のFKで狙いますが、ボールは枠の右へ。お互いにFKから得点機を探り合います。
先にベンチが動いたのは実践。57分、徳山と小林に替えて、粕川竜貴(3年・FC府中)と中里岳史(3年・青梅三中)を送り込み、1トップ3シャドーの組み合わせに変化をもたらすと、62分には早速得点機。1トップ下から右SHに移った小澤が右サイドで縦へ。ラインとの駆け引きからうまく抜け出した中里のドリブルシュートはゴール左へ逸れましたが、「重戦車みたいな」(深町監督)1トップの中里が前へ運ぶ推進力のスイッチに。63分には廣江に替わってスーパーサブの原大和(3年・横河武蔵野JY)がピッチに入り、64分には小澤のクロスがファーの粕川まで届くも、東京朝鮮DFが体で懸命のブロック。実践の時間帯が続きます。
東京朝鮮は頼みの2トップにほとんどボールが入らず、孤立してしまう場面が目立ちましたが、「後半はDFラインを少し高く保って、裏のボールはGKが行くように処理した」と深町監督が話したように、実践は尾崎とキャプテンを務める鴻田直人(3年・JACPA東京)のCB2枚がうまくラインをコントロールしながら、強力2トップにも冷静に対応。危ないシーンを創らせません。
75分には小澤と臼倉崇弘(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15習志野)もスイッチして、アタッカー陣はレギュラークラスが顔を揃えた実践。それでも東京朝鮮もCBのホン・ユングッ(3年・東京朝鮮中)を中心に粘り強い守備を敢行し、フレッシュな選手で「走力も増してきた」(深町監督)相手の攻撃を凌いでいきます。
1-1のままで迎えた最終盤。87分は東京朝鮮。うまく右へ展開すると、ハン・ヨンジュンがスルーパスを縦へ。加速したキム・デセンは わずかに届かず天野がセーブ。89分は実践。三村の長いFKを森栄司(3年・府ロクJY)がフリックすると、反応した尾崎のダイビングヘッドはクロスバーのわずかに上へ。後半は実践が押し気味にゲームを進めながら、ドロー決着が濃厚となったアディショナルタイムに、輝きを放ったのは「意外性のある」(深町監督)あの男。
91分、左サイドでボールをもらった中里は、意を決したかのようにドリブル開始。中へ中へ突き進み、一瞬開けた視界に捉えた目標物へ強引にシュートを放つと、ボールはゴール右スミの狭いスペースへ飛び込みます。「一番難しいシュートを決めた」と指揮官も苦笑いしたストライカーの決勝ゴール。実践がリーグでは3試合ぶりとなる勝ち点3を獲得する結果となりました。
個人的には東京朝鮮の都内最強2トップと、実践の都内最強CBコンビの対決を楽しみにしていたゲームでしたが、今日に関してはわずかに実践の2人が上回った印象です。「全国でもそれなりにやってくれたし、比較的安心して対応してくれる2人」と深町監督も信頼感を口にした尾崎と鴻田をどう打ち破るかが、おそらく東京中の高校が"打倒"を目指している実践を攻略する上で最大のポイントになるのは間違いなさそうです。         土屋

  • Line