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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年08月03日

インターハイ準々決勝 大阪桐蔭×流通経済大柏@松本平陸上

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matsumoto0802.jpg信州を舞台に全国から55の精鋭を集め、連日熱戦が繰り広げられてきたインターハイも、残るチームはわずかに8つ。頂点が見えてきました。今日訪れたのは松本平広域公園陸上競技場。第1試合では2年連続でこのステージまで勝ち上がってきた大阪桐蔭と、4年ぶりの日本一を狙う流通経済大柏が激突します。
初戦となった神戸科学技術との関西対決を4-2で制し、3回戦では苦しみながらもPK戦の末に佐野日大を下した大阪桐蔭。「3回目のチャレンジ」(永野悦次郎監督)で初のベスト8突破を狙います。
一方、こちらも初戦の旭川実業戦は終了間際に小泉慶(2年・横浜F・マリノスJY)のゴールで追い付き、PK戦で辛くも競り勝つと、3回戦は実践学園に2ゴールを奪い切って快勝した流経。当然千葉県代表の目指すべき位置は1つしかありません。気温31度とはいえ、ここ数日と比較すれば暑さもわずかながら和らいだコンディションの下、流経のキックオフでゲームはスタートしました。
立ち上がりからお互いにキレのある攻撃はそれほど多く繰り出せない中、ある程度主導権を持ってゲームを進めていったのは、「ボールを奪うことと、ボールを繋ぐことに専念しろ」という永野監督の指示の"後者"がうまくハマった大阪桐蔭。4-2-3-1のシステムで、1トップを務める臼井裕弥(3年・城南FC)の下に、右から松木政也(3年・奈良YMCA)、丹羽詩温(3年・城南FC)、白井康介(3年・FC豊橋デューミラン)と並んだ3人が有機的に絡み、少しずつボールの回りもスムーズに。
10分に流経は青木亮太(2年・東京ヴェルディJY)がFKとCKを相次いで蹴り入れるも、共に大阪桐蔭ディフェンスが跳ね返すと、18分にはゲーム自体のファーストシュート。松木がチャレンジしたミドルは枠の右へ外れましたが、ようやく"シュート"が生まれ、21分にも左サイドをドリブルで抜け出した松木が右足アウトで中へ送り、丹羽はわずかに届かず、シュートまでは持ち込めなかったものの、"合わせる"意図は十分見えるプレーを披露。好リズムが続きます。
ところが25分、永野監督も「練習でもよくああなるんです」と言及したシーンが。大阪桐蔭にとって右サイドの自陣深く。GKとCBが少しムリなパス回しにチャレンジすると、CBがプレッシャーを受けながら左へ送ったパスを、青木は素晴らしいインターセプトからそのままシュート。ボールはわずかに枠の左へ消えましたが、嫌な形からピンチを招いたこのシーンは、1つの分岐点に。
3分後の28分、流経が右サイドでパスを繋ぐと、土井智樹(3年・FC多摩)のラストパスに青木が反応。後手に回ったDFが青木を倒してしまいます。近くで見ていた岡宏道主審は迷わずホイッスルを吹くと、指し示したペナルティスポット。ここまでわずかに1本のシュートしか打てていなかった流経へ、願ってもない先制機が到来しました。
キッカーはキャプテンマークを巻いた、"10番"のCB桜井将司(3年・ジェファFC)。ゆっくりとした助走から、フェイクを入れたキックは確実にGKの逆へ突き刺さります。「噛み合わせがうまくいっていない」(本田裕一郎監督)流経にしてみれば、望外の1点。終盤に意外な形でスコアが動き、最初の35分間は終了しました。
後半も先にチャンスを掴んだのは流経。38分、SBの溝渕雄志(3年・FCディアモ)が上げたクロスを、土井がボレーできっちり枠内へ。大阪桐蔭GK水野竜(3年・ヴィッセル伊丹)がストップしたこぼれ球は、詰めた矢埜翔平(3年・ウイングスSS習志野)より一瞬速くDFがクリアしましたが、「関西でのゲームでも、ああいう所で流れが変わってしまう」と永野監督が認めたように、大阪桐蔭にしてみれば、1つのプレーで大きな代償を支払うことになってしまいました。
以降も攻勢は流経。42分、右サイドでショートコーナーのリターンを受けた青木のカットインシュートはバーの上へ。47分、こちらも青木がゴールまで約30m弱の距離を直接狙ったFKは、やはりバーの上へ。この時間帯の流経は攻守のバランスも抜群で、「やられようがないくらいの展開」という本田監督の言葉にも頷ける内容でした。
ところが、一瞬で牙を剥いた大阪桐蔭のアタック。50分、ボランチの上田侑弥(3年・京都サンガU-15)が右へ振り分け、松木が上げたクロスに白井が合わせたシュートは、流経GK坂田大樹(3年・柏イーグルス)のファインセーブに阻まれたものの、次のワンプレーに対する集中力で上回ったのも大阪桐蔭。左CKの流れから、上田が右足で巻いて入れたクロスを、松木がうまく頭に当てるとGKもわずかに及ばず、ボールはゴール右スミギリギリに飛び込みます。1-1。今度は大阪桐蔭がワンチャンスで追い付いてみせました。
唐突な失点でリードが霧消した流経。それでも62分には右サイドを森永卓(2年・小倉南FC)が抜け出し、グラウンダーで中へ折り返すと、土井のフィニッシュは水野がビッグセーブで阻止。続く63分にも青木が左サイドを独力で切り裂き、GKとの1対1を迎えましたが、シュートはわずかに枠の右へ。勝ち越しゴールとはいきません。
すると、終盤は「ウチがヘバっちゃった」と指揮官も評した流経を尻目に、大阪桐蔭が最後の力を振り絞って攻勢に。そしてアディショナルタイムに突入した71分、白井が右へ流したボールを松木は懸命に中へ。DFともつれながらも収めた藤林航平(3年・ヴィッセル伊丹)のシュートは枠を捉え、スタジアム中が息を飲んだ次の瞬間、夏空へ響いたのは乾いた金属音。70分の死闘は決着に至らず。1-1がファイナルスコアとなり、ベスト4への切符獲得はPK戦に委ねられました。
まず輝いたのは大阪桐蔭の守護神。先攻となった流経1人目のキックを、「一番苦しい時に率先して何でも取り組める、鑑のようなキャプテン」と永野監督も絶賛する水野は完璧なセーブでストップ。後攻1人目の白井も坂田に触られながら何とかゴールを奪い、いきなり大阪桐蔭が優位に立ちます。
2人目は青木と河野勇太(3年・ヴィッセル伊丹)が、3人目は桜井と松木が、4人目は大久雄士(3年・FC米沢)と藤林が、いずれもゴールに沈め、迎えた運命の5人目。小泉は冷静にGKの逆を突いてゲット。大阪桐蔭は途中出場の橋川秀二(3年・フレスカ神戸)にすべてを託します。
橋川の選択は向かって右。坂田の選択は自身の左。しかし揺れたゴールネット。「どうしても勝ちたかった」(永野監督)大阪桐蔭がとうとう"壁"を撃破し、同校初のベスト4へ駒を進める結果となりました。
「普段は座って冷静にやっているんですけど」という永野監督に、いい意味で冷静さを失わせるほどのゲームを見せた大阪桐蔭。「今日みたいにバイタルへどんどん入って来られることには慣れていない」(永野監督)中、特に後半はCBの三浦弦太(3年・FC豊橋デューミラン)を中心に、相手の攻勢を粘り強く凌げたことがこの結果を呼び込んだ印象です。「野球部が春は日本一になってますから、サッカーも強いということを関西でも認めてもらえるようにしたいですね」と永野監督。そんな野球部と肩を並べるにはあと2勝。大阪勢34年ぶりの全国制覇は、もうすぐ手の届く位置まで来ています。        土屋

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