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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
初挑戦のカテゴリーは茨の道。28試合を終わって、わずかに4勝。勝ち点18の最下位と厳しいシーズンを強いられている町田。しかし、前節はJ2昇格の立役者とも言うべきドラガン・ディミッチのJリーグ初ゴールが飛び出すと、その1点を守って2位の千葉から金星を挙げており、今日のゲームは3月20日以来のホーム勝利と、今季2度目の連勝を懸けて戦います。
一方、昨シーズンはあと一歩の所で閉ざされた昇格への扉を開けるためだけに迎えた今シーズンも、3節から11節まで未勝利が続き、完全に上位争いから取り残されてしまった徳島。12節以降はわずかに4敗と持ち直したものの、昇格プレーオフ圏内までは13ポイント差の12位と、もはや1つの取りこぼしも許されない状況。四国ダービーを制した勢いを、今日にも繋げたいゲームになります。共に前節をいい形で終えたチーム同士のゲームは、5試合ぶりにスタメンへ復帰した勝又慶典がボールを蹴り出し、町田のキックオフでスタートしました。
開始早々にチャンスを掴んだのは徳島。「相手は3バックだったので、その横にボールを入れればチャンスになる」(斉藤大介)という狙いをいきなり体現。スペースで津田がうまく収め、ジオゴが枠内へフィニッシュ。ここは町田GK修行智仁がキャッチしたものの、わずか40秒で意図したチャンスを創出します。ただ、「アレを決めておけば」と斉藤が話したように、徳島にとってはこれが前半最大のチャンス。以降は町田にリズム。
8分、左サイドで勝又とディミッチが基点を創ると、太田康介は右へ振り分け、三鬼海のシュートは枠の右へ。10分、田代真一のクサビから勝又、三鬼、ディミッチとテンポよく回り、鈴木崇文のポストから太田が狙ったシュートは枠の左へ。連続して生まれる好機。
16分、左サイドで鈴木崇文が藤田泰成とのワンツーからクロスを上げると、勝又は難しい体勢から枠へ収めるボレー。18分、鈴木崇文、勝又、鈴木崇文、ディミッチと繋ぎ、コリン・マーシャルの放ったミドルはバーの上へ。わずか10分間に4度の崩す形を集中させます。
町田で際立ったのは勝又とディミッチの2トップ。「去年は組んでいたが2人だけでやっていたわけではないので、コンビはもうちょっとだと思う」とは勝又ですが、下りて受けたいディミッチと、常に裏を狙いながら間に顔を出す勝又のバランスが抜群で、ほとんどのチャンスは2人のどちらかが関与。「2トップの1人が1.5列目に下がり、もう1人に裏を狙われて背後を取られた部分はあった」と斉藤も認めるなど、対応に苦慮した徳島ディフェンスは、ラインを下げればディミッチが空き、ラインを上げれば勝又が裏を狙いという流れから、「相手CBの対応は中途半端だった」と勝又も言及したように、自由に動かれてしまいます。
20分を過ぎると手数自体は少なくなったものの、効果的なサイドチェンジも通り出した町田が、幅も使って攻勢に。すると37分、「その前の何分かの流れが凄く悪かった」(小林伸二監督)徳島はミスからボールロスト。たまらずディミッチを斉藤が倒し、FKを与えてしまいます。
キッカーは町田のチームトップスコアラーでもある鈴木崇文。中央やや右、ゴールまで25m弱の距離から左足で繰り出したキックは、「大変スペクタクル」とオズワルド・アルディレス監督も称賛した軌道を描き、右のサイドネットを激しく揺らします。鈴木崇文のシーズン7点目は貴重な先制弾。好リズムを成果に結び付けた町田が1点をリードして、前半の45分間は終了しました。
後半はスタートから小林監督が決断。右SHの鈴木達也を下げて、アレックスをそのままの位置に送り込みます。そんな後半も、先に決定的なシーンを迎えたのは町田。48分、左サイドでボールを受けた勝又はボールを浮かせ、対峙した2人の間を擦り抜けると、後ろから走り込んだ鈴木崇文がかっさらってシュート。徳島GKオ・スンフンのファインセーブに阻まれましたが、いきなり追加点への意欲を見せ付けます。
ところが、ここからゲームの流れに変化が。やはりボールを収められるアレックスが、横と縦の使い分けをハッキリさせると、今度は徳島が幅を使いながら、サイドの深い位置まで侵入。51分から57分の間に3つのCKと2つのFKを獲得するなど、一転して攻撃の時間が長くなっていきます。
60分には町田の反撃。ディミッチと鈴木崇文が繋いだボールを、勝又は左から切れ込みながらシュートまで持ち込むも、「力んじゃいましたね」と本人も苦笑したボールはオ・スンフンがキャッチ。完全復活が近いことを予感させるようなキレは見せてくれましたが、追加点とはいきません。
63分には田代、65分には太田が相次いでイエローカードをもらうなど、町田はギリギリの対応が増えてくる中、67分にはアレックスのラストパスから津田が抜け出しかけるも、田代が懸命のタックルで回避。津田とドウグラスをスイッチした2分後の69分、CKの流れから上里一将が右へ送ると、アレックスは2回のフェイクから横へパス。受けたドウグラスは少しモーションが大きく、イ・ガンジンが決死のブロック。「勝てていないので、どうしても全体の位置が低くなってしまうのはウチのクセになっている」と勝又が話したように、ラインが下がりながらも何とか水際で食い止めていきます。
69分にはディミッチに替えて幸野志有人、74分には勝又に替えて北井佑季と、「ディフェンスの時間が長くなってシンドくなった」(勝又)2トップを入れ替え、前の強度を高めたアルディレス監督。77分にはその交替がズバリのシーン。田代、三鬼、コリン・マーシャルとパスが回ると、幸野はセンス溢れるラストパスを右へ。北井はフリーでシュートを放つも、ボールはわずかに枠の左へ。交替でピッチに入った2人のコンビネーションが煌めくも、ここも2点目には届きません。
終盤は長身2トップを並べ、「3バックで一番小さい加藤(恒平)のサイド」(太田康介)でもあり、アレックスのベースサイドでもある右サイドから徳島が猛攻を掛け、81分には濱田武、アレックスと回り、ジオゴの枠内シュートが修行のファインセーブに阻まれるシーンを創りましたが、「ちょっと縦、縦に急ぎ過ぎてしまったかもしれない」と斉藤が振り返ったように、少し単調なロングボールも増えてしまい、シュートシーンはなかなか迎えられません。
一方、83分には鈴木崇文と柳崎祥兵をスイッチして、「最後の最後で守る感じ」(太田康介)になったとはいえ、町田は高い集中力をしっかり持続。90分、92分と続けてドウグラスが枠へ飛ばしたヘディングとオーバーヘッドは、共にDFがしっかり体を寄せたことで威力は弱まり、修行ががっちりキャッチ。「試合に勝つということは本当にいいもの」と指揮官も笑顔を見せた町田が、5ヵ月ぶりのホーム勝利と連勝をサポーターへ届ける結果となりました。
徳島は後半こそ何とか1点を返そうとラッシュに出ましたが、「最後のシュートで終わる前の所が、ミスパスだったりちょっとブレたりして、シュートが打てなかった」と小林監督も言及したように、なかなか形も創り切れず完封負け。開始早々の決定的なチャンスを逃したことが、最後まで響いた格好になり、「決めるべき所で決めないと、勝ちに持っていくのは難しい」(斉藤)ことを痛感する90分になってしまいました。
町田は「もう全部が負けられない試合」(太田康介)だということを選手たちが体現するような、価値ある勝ち点3を獲得。「ラッキーだったとは言いたくない、大変エクセレントな守備だった」とアルディレス監督も守備面を高く評価していました。これで降格圏外の20位に浮上した町田。野津田にはいつまでもサポーターの上げる凱歌が鳴り響いていました。 土屋
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