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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年08月25日

J1第23節 柏×磐田@日立台

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hitachidai0825.jpgここ5試合は無敗を続けているものの、8月に入ってからは新潟、FC東京、仙台と3戦連続ドローを演じ、やや勝ち点という意味では停滞感の漂う4位柏。ゴールデンウィーク以降は黒星のないホームで、大サポーターの声援をバックに勝ち点3を獲りにいきたいゲームです。
対するは前節でC大阪との打ち合いを4-3と制し、4試合ぶりに勝利を収めた磐田。一時はACL圏内をキープしていましたが、現在は6位。さらなる上位を窺うためには、アウェイで2ポイント差の柏を叩き、順位を入れ替えたい所です。このカードをリーグでの対戦で見ると、磐田が怒濤の4連勝中。この相性は果たしてどう出るか。夏休み最後の日立台となるサバイバルマッチは、柏のキックオフでスタートしました。
少しイージーミスが多く、フワッとした立ち上がりになった柏の隙を、磐田が突いたのは開始わずかに5分。大谷秀和の珍しいボールロストから、奪った山田大記は松浦拓弥とのワンツーで抜け出すと、「いいボールが帰ってきて、時間もスペースもあったけど、置き所が悪かったのでタイミングをズラそうと」飛び出した柏GK菅野孝憲の上をフワリと浮かす完璧なループ。キャプテンの華麗な一撃で、早くも磐田が1点をリードしてみせました。
この場面を大谷は、「ジョルジ(・ワグネル)が頑張って繋いでくれたので、ネット(・バイアーノ)へ蹴ることも考えたが、繋ごうとして判断が遅れてしまった。みんなに申し訳ない」と回顧。確かに柏からすれば「何でもない所」(ネルシーニョ監督)からの失点でしたが、磐田の前から行くアグレッシブさが、結果に繋がったと言えそうな先制弾でした。
ここからはお互いにタイトな中盤の潰し合いもあり、なかなか前線までボールが入らない展開に。ただ、16分にはネットの力強いリターンから、レアンドロが枠を越えるフィニッシュ。18分にもネットが潰れて、最後は安英学が左足でミドルにトライするなど、柏の狙いが少しずつ形として現れ始めます。
ところが、ゲームが大きな転換点を迎えたのは直後の18分。メインスタンド側で、山田に対して近藤直也が足の裏を向けたタックルを見舞うと、扇谷健司主審は躊躇なく一発レッドカードを提示。残り70分近い時間を柏は1人少ない状況で戦うことになりました。
ボランチの安をCBへ下げ、工藤壮人が左SHへ回り、ワグネルをボランチへスライドさせ、ネットへのロングボールに活路を見出だす柏に対して、磐田も20分には駒野友一の右FKを藤田義明が頭で合わせ、わずかに枠の左へ逸れるシーンを創出しますが、「相手のロングボールのセカンドをケアしていて、ボランチが上がってこなかったので、バランスはあまりしっくり来なかった」と山田が話したように、ボールこそ動かせるものの、流れの中からチャンスは生み出せません。
そんな中で威力を発揮するのは、やはりセットプレー。28分はやや左、ゴールまで30m強の位置から駒野が直接狙ったFKは、DFに当たって少しコースが変わると、そのままゴール右スミへ吸い込まれます。「点を取れた時間帯もよかった」と自ら語る代表選手の一撃で、点差が広がりました。
これで「点を取りに行かなくてはいけない」(増嶋)シチュエーションとなった柏がバランスを崩すと、ここからは磐田がラッシュ。34分、駒野との連携で右サイドを抜け出した山田のシュートは右のポストを直撃。38分、駒野が蹴った右CKのクリアボールを、山田が左足で狙ったミドルは枠の左へ。40分、工藤のボールロストから前田遼一、山田、前田と繋がり、松浦のシュートは菅野がキャッチしましたが、続けて柏ゴールを脅かします。
終盤には柏もネットを絡めて反撃。42分にはワグネルのFKをネットが競ると、こぼれたボールは安の足元へ転がりましたが、力んでしまったのか至近距離からのシュートは枠を捉えられず。45+2分、増嶋のフィードにネットが食らい付き、レアンドロの折り返しへ工藤が飛び込むも、駒野が間一髪でクリア。アウェイの磐田が2点のアドバンテージを握って、ハーフタイムに入りました。
後半はスタートからネルシーニョ監督の意外な采配。ボランチへ投入された栗澤僚一の替わりに、ベンチへと下がったのは右SBの那須大亮。ワグネルが左SHへ戻ると、右SBには「小6以来、久しぶりにやった。練習でもやったことはない」という工藤が入ります。
とはいえ、やはり攻勢は変わらず磐田。51分に駒野、同じく51分に菅沼実、53分には小林裕紀と、相次いで際どいシュートを放ちます。そして54分、駒野の右CKを前田が頭で折り返すと、今季2試合目のスタメン出場となったCBの千代反田充がプッシュ。点差は3点に広がったはずでした。ところが、ゴール後すぐにハーフウェーラインまで戻っていた聳城巧副審と、ゴールを認めた扇谷主審に柏の選手がオフサイドを主張して猛抗議。すると判定は覆り、ゴールは取り消されてしまいます。
ハッキリ言って不可解な一連のジャッジでしたが、ここからも「切れることなく自分たちのサッカーをもう一度貫いた」(森下仁志監督)磐田は、ほとんどプレースしてゴール前に蹴り込んで来る柏のセットプレーを凌ぎつつ、貪欲に狙う追加点。66分には駒野が右カットインから左足ミドルを枠の左へ。さらに68分、松浦、菅沼実と回したボールはフリーの前田へ。シュートは菅野の驚異的なセーブに阻まれたものの、しっかりフィニッシュを取り続けます。
苦しい流れの柏でしたが、守護神のビッグセーブからようやく掴んだ流れ。70分、レアンドロが左から合わせたFKは、ファーの増嶋まで届くも、ヘディングは藤田がブロック。71分、FKの流れから栗澤が右へ振り分け、ワグネルのクロスをレアンドロが頭で狙うも、磐田GK八田直樹がファインセーブ。72分、栗澤の素晴らしいタックルを起点にレアンドロを経由して、ワグネルが狙ったミドルはバーの上へ。ゴールを予感させるようなシーンを連続して創り出します。
そんなボルテージの上がり始めた日立台を静まり返らせ、柏に引導を渡したのはやはりあの男。78分、左サイドで松浦のパスを受けた菅沼実は、「動き出しがよかったから」裏へ素晴らしいアーリークロス。そこに動き出していたのは前田。フリーで当てたボレーが菅野を破り、勝敗を決定付ける3点目。「エースが決めてくれるとチームが落ち着く」と松浦も言及した前田のシーズン12ゴール目でダメを押した磐田が、「今日のゲームは何もうまくいかなかった」と敵将も語った完勝を収める結果となりました。
柏は「立ち上がり5分の失点と、1人の退場が非常に響いた」(ネルシーニョ監督)ことは間違いないですし、「決める所を決め切れなかった」(大谷)「少ないチャンスを決めていれば」(増嶋)と2人が口を揃えたように、前半終了間際と70分過ぎの2度訪れた"時間帯"で追撃弾を上げられなかったのも痛かったですね。これで4試合勝利から遠ざかったことになり、次節は近藤とワグネルを欠いて瑞穂へ乗り込むことになりました。
磐田は数的優位こそ得たものの、それを差し引いてもほぼパーフェクトなゲーム運びで、見事な勝ち点3奪取。少しメンバーを入れ替えた一戦も「アウェイでこれまでの経験を生かして、自分たちのスタイルをより貫いてくれた」と森下監督が話したように、90分間のハードワークは最後まで止まず、この位置に付けている理由を証明するような強さを見せてくれました。相性の良さというよりも、揺るがぬ実力でもぎ取った勝利だったと思います。       土屋

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