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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
第2試合にはこちらも都内屈指の強豪が登場。昨年の選手権でベスト4に入った東海大菅生が地区予選突破を懸けた決定戦に挑みます。
関東大会予選では準々決勝で敗れたとはいえ、帝京と息詰まる激闘を演じたものの、続くインターハイでは1次トーナメントで駒澤大学高に敗退し、選手権は夏からのスタートに。迎えた地区予選は明学東村山を7-1、東京電機大学高を6-0と寄せ付けず、あと1勝で都大会という所までこぎつけました。
対するは、FC東京の練習場となっている小平グランドのすぐ脇に学舎を持つ錦城。初戦でT3リーグの首位を無敗で快走していた都立東大和南に1-0で勝利すると、都立東大和、都立武蔵も打ち倒しての決勝進出。面白い組み合わせとなりました。
さて、ゲームが始まるとファーストシュートはわずか19秒。菅生のコントロールタワー私市一樹(3年・東海大菅生中)がミドルにトライすると、DFに当たったボールは枠の左へ逸れましたが、勝利への強い想いを打ち出します。ただ、次のチャンスは錦城。7分、キャプテンマークを巻いた田口潤(3年・府中第六中)の果敢なドリブルから獲得したCK。左から宇田川和也(2年)が蹴ったボールを、ニアで志村詩雨(3年・国立第一中)が巧みに合わせたシュートは枠を捉え、ライン上で私市が何とかクリアしたものの、あわやというシーンを創出します。すると先制ゴールもセットプレー。10分、やはり宇田川の高精度FKが入ると、ニアへ飛び込んだ志村のヘディングが鮮やかに揺らすゴールネット。淡々と、しかし力強く錦城がリードを奪いました。
目の覚めた菅生の仕返しは2分後。左サイドの深い位置で手に入れたFK。私市がゴール前の密集を外してマイナスへ送ると、野原貴弘(3年・FC Branco八王子)は難しいダイレクトボレーを枠内へキッチリとコントロール。これがゴールの右スミギリギリに飛び込み、FKでやり返す格好ですぐさまスコアは振り出しに戻りました。
さて、ボールを握る時間は長かったものの、「中盤の1トップ下とボランチの三角形が、もう少し距離を縮めて相手を引っ張り出せれば良かった」と手塚弘利監督も振り返ったように、アタッカー陣の距離感が悪く、なかなか1トップの山崎晧大(3年・小平三中)までボールが入らない菅生。23分には右SBの森口貴之(3年・FC杉野)がパスカットからシュートまで持ち込むも、枠は捉え切れません。
そんな中、次の得点は菅生が記録。中央でこぼれたボールを鈴木悠生(3年・FC VIDA)が縦へ浮かせると、フリーで抜け出したのはボランチの諸星匠(3年・FC GLORIA)。叩きつけたボレーはゴール左スミへ飛び込み、逆転に成功する形となりました。
ところが、またもすぐさま引き戻されるスコアの均衡。2分後の27分、宇田川が右から蹴り込んだCKはゴール前で混戦に。このボールへいち早く反応した志村の左足ボレーは、ゆっくりとゆっくりとゴールへ吸い込まれます。「セットプレーやロングボールでやられるのは想定内だったが、2失点は余分」と手塚監督。32分に菅生のSHに入った唐崎賢(3年・FC府中U-15)が右カットインから狙ったシュートも、錦城GK小金井健一郎(3年・三鷹第四中)がファインセーブで阻止。2回のチャンスで2点を奪った錦城の効率の良さが光った35分間は、ドローで後半へ折り返しました。
ハーフタイムを挟むと、一層強まった菅生の攻勢。46分、右から上げた諸星のクロスを鈴木が落として、山崎が放ったシュートはわずかに枠の左へ。47分、私市の左CKが錦城DFに当たるとボールはゴールへ向かい、小金井がファインセーブで回避。48分、安藤健介(3年・青梅三中)が左へ付け、野原のクロスに鈴木がボレーで合わせるも枠の上へ。ゴールにあと一歩届きません。
51分も菅生。山崎が溜めて左へ送り、野原が打ち切ったシュートは、ここも小金井が抜群の反応でブロック。52分も菅生。安藤の左クロスから、野原がいいコースに飛ばしたシュートも小金井が今日4度目のビッグセーブ。菅生サイドには嫌な空気が流れます。
すると54分、「ウチは徹底して1つのことをやるしかなかった」と遠山拡監督が語った"1つのこと"、すなわち錦城のカウンター発動。飛び出した田口。迫るゴール。このシーンで主役を張ったのは菅生のゴールを守る158センチのGK小林直矢(3年・東京久留米FC U-15)。敢然と田口の足元へ飛び込むと、完璧なキャッチングでボールを強奪。小さな守護神のビッグプレーで、菅生は息を吹き返します。
そしてこの小林のガッツに、とうとう味方が応えたのは59分。山崎とのパス交換から、上がってきた私市の必殺スルーパス。右から斜めに入ってきた鈴木は、左に流れながら右スミへ確実に流し込みます。「鈴木の課題はハードワーク。力むチカラもなかったから、うまく入ったようなもの」と手塚監督は笑いましたが、昨年からレギュラーを務めてきた3人のコンビネーションで勝ち越し弾を奪った菅生が、後半は1本のシュートも錦城に許さず、聞いた歓喜のタイムアップを告げるホイッスル。苦しいゲームをモノにした菅生が「全国大会で勝つこと」というチームの目標に一歩ではあるものの、歩みを進める結果となりました。
手塚監督も「本当にいいチームでしたね」と認めたように、錦城の健闘が目立ったゲームだったと思います。「頑張ったけど能力が違い過ぎました」とは遠山監督ですが、ここ3年は地区予選を突破して都大会へ進出するなど、着々と力を付けてきています。まだまだ東京には可能性を秘めたチームが数多くあることを証明するような、素晴らしい戦いぶりでした。 土屋
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