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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年08月02日

第36回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準々決勝 柏U-18×鹿島ユース@宮城総合

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miyagi0801.jpgちょうど1年前のデジャヴ。準々決勝、前橋。スタジアムこそ変わったものの、まさにまったく同じ舞台へ2チームが帰ってきました。
"死のグループ"へ放り込まれた柏は、1勝1分け1敗で3試合を終えると、東京Vとあらゆる数字が一緒という信じがたい結末に。まさかの決着方法となった抽選では「終わってスタッフとタッチした瞬間、号泣しちゃったもん(笑)」という下平隆宏監督が引きの強さを見せ、ラウンド16へ進出。そこでも新潟を1-0で退け、ここまで勝ち上がってきました。
一方、鳥取と京都に連勝を飾り、早々にグループ突破を決めた鹿島。ラウンド16では優勝候補の一角と目されていた神戸相手に、残り3分で追い付く粘りを見せ、最後は延長で阿部翔(2年・栃木SC JY)が決勝ゴールを奪って逆転勝利。鹿島"らしい"勝負強さを発揮して、このラウンドまで残っています。会場は変わって宮城総合運動場。柏のキックオフで三ツ沢への最終関門は幕を開けました。
先に決定機を迎えたのは鹿島。2分、大竹蓮(2年・鹿島アントラーズJY)のラストパスから、清永丈瑠(3年・レオーネ山口U-15)のシュートが柏ゴールを強襲。GK伊藤俊祐(2年・柏レイソルU-15)がよく防ぎましたが、勝利への意欲をいきなり見せ付けます。
立ち上がりから目に付いたのは、鹿島の積極的なハイプレス。「柏はGKも含めて後ろで繋ぎ、ロングボールを入れてくるチームではない。後ろで繋がれている分には怖くないので、相手の陣地でプレッシャーを掛けて、ボールを奪った方がいいと踏んだ」とキッカ監督。清永を筆頭に、大竹、阿部、込山雄奨(3年・フォルトゥナSC U-15)の4人は、オリジナルの立ち位置がわからないほどに前からボールを追い回し、「プレッシャーはかなり強かった」と下平監督も認めたように、柏の勢いをある程度削ぐことに成功します。
逆に柏は序盤こそ少し戸惑いからか悪かったパスの回りも、尻上がりに良くはなっていきましたが、「どうしても無難にボールを失わないようになっちゃって」(下平監督)、"縦"へのタイミングに苦慮。鹿島のCBを組んだ植野元紀(3年・アルバランシア熊本)と斎藤洋一(3年・リベロ津軽SC U-15)がクサビへの潰しも、ラインコントロールも完璧に近い出来でこなしたため、シュートもなかなか打てません。
27分には鹿島。飛田啓介(3年・鹿島アントラーズノルテJY)のパスから阿部が枠の右へ外れるミドル。36分も鹿島。橋本が右サイドで縦に流し、飛田啓介が中へ折り返すと、大竹が捉えたシュートは枠の上へ。44分は柏。秋野央樹(3年・柏レイソルU-15)を起点に、小林祐介(3年・柏レイソルU-15)を経由して、木村裕(3年・柏レイソルU-15)が放ったシュートはゴール左へ外れたものの、実はこれが柏に記録された初めてのシュート。動きの少ない前半はスコアレスでハーフタイムに入りました。
先に動いたのは下平監督。後半開始から木村に替えて、「木村と同様にスタメンで使いたいくらいだが、今日は勝負所でお願いするからと伝えていた」という平久将土(3年・柏レイソルU-15)を投入。前線に変化を付けてきました。
50分にはその柏にチャンス。小林、伊藤光輝(3年・柏レイソルU-15)と繋ぎ、川島章示(3年・柏レイソルU-15)の落としを伊藤が狙ったシュートは枠の右へ。さらに下平監督は2枚目のカードとして、やはり「停滞していたら行くよ」と伝えていた中川寛斗(3年・柏レイソルU-15)を小林に替えて投入。中盤のさらなる活性化を図ります。
キッカ監督も54分に飛田泰平(3年・鹿島アントラーズノルテJY)と川上盛司(2年・鹿島アントラーズJY)をスイッチ。58分には徳野舜(3年・鹿島アントラーズJY)のFKが、あわやオウンゴールというシーンを柏に強いると、1分後には込山と小野瀬恵亮(3年・鹿島アントラーズノルテJY)も入れ替え、中盤の構成を変えてきました。
以降はしばらく膠着した展開が続き、お互いになかなかフィニッシュへ結び付くシーンが訪れない中、67分には鹿島に3人目の交替。清永を下げて、鈴木歩(3年・鹿島アントラーズノルテJY)をピッチへ。やはりキッカ監督が切るカードは、いずれも中盤より前の選手。プレスの強度低下を最小限に食い止めたい意図も透けて見えます。
すると、突如として創り合った先制機。68分は柏。吉川修平(3年・柏レイソルU-15)のスルーパスをもらい、抜け出した平久のフィニッシュは、鹿島GK岡田明久(3年・鹿島アントラーズノルテJY)がファインセーブ。波状の流れで、堤勇人(3年・柏レイソルU-15)のクロスを川島が合わせたヘディングは、しっかり当たらずにゴール左へ。72分は鹿島。小野瀬が左へ展開し、徳野が高精度クロス。大竹のヘディングに立ちはだかった伊藤俊祐のビッグセーブ。お互いに応援団の悲鳴を聞き合うものの、スコアボードの"ゼロ"は変わりません。
炎天下の消耗戦もラスト10分の攻防へ。中川のスルーパスをキッカケに、FKを獲得した柏のチャンスは84分。キッカーの秋野は、中央の密集を避けてマイナスへ。完全にフリーとなった伊藤光輝のシュートは、力んでしまったのかクロスバーの上へ外れてしまいます。
狙い通りのセットプレーもモノにできず、さすがに柏の選手にも落胆の表情が。もはや延長突入が濃厚となり、多くの人がもう20分間の炎天下を覚悟したであろう、93分に潜んでいたドラマ。
このゲームではなかなか上がる機会を創れなかったSBの新藤菜央(3年・柏レイソルU-15)が、左から完璧なクロス。中央の吉川は一旦コントロールを失うも、すぐさま自分でリカバーすると、正面から堂々たるフィニッシュ。土壇場で生まれた先制点の黄色い歓喜は、そのまま勝利の黄色い歓喜へ。「半分死んでいて生き返ったチーム」(下平監督)が今日も劇的な勝利を収め、3年連続となる三ツ沢へ駒を進める結果となりました。
6本対5本というシュート数が物語るように、お互い守備に集中力を発揮しあい、我慢比べを強いられる展開の中で、最後に笑ったのは昨年同様に柏でした。とはいえ、「昨年よりもだいぶ苦しかった」と下平監督も苦笑いを浮かべたように、結果が逆になっていてもおかしくないような、非常に拮抗したゲームだったと思います。
「1次ラウンドは攻撃の話をし過ぎていて、カウンターからの簡単な失点が多過ぎた。決勝トーナメントに入ってからは守備が少し改善できたが、今度は攻撃の所ですよね」と下平監督。そこのバランスを取るということは、実際一番難しい所でもあります。柏が次に対戦するのは、比較的似たスタイルを持つ広島。「僕もどうなるか全然わかりません」と指揮官も笑う一戦には、今から名勝負の予感が漂っています。       土屋

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