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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
Jリーグにとってリーグ戦、天皇杯と並び、3大タイトルを構成する中の1つに当たるヤマザキナビスコカップは、今日が準々決勝のセカンドレグ。ACL組はここからの参戦となり、日立台で激突する柏とG大阪にとってはこれが最初のステージとなります。
先月25日に行われたファーストレグでは、万博でアウェイの柏が1-3と先勝。小さくないアドバンテージを持って、ホームゲームへ臨むこととなりました。スタメンを見ると、柏は右SBに藤田優人を起用。一方のG大阪は公式戦初登場となるエドゥワルドを右SBで、さらに蔚山現代から期限付き移籍で古巣復帰した家長昭博を1トップ下で、揃ってスタートから起用。そういう意味でも楽しみな一戦は、その家長がキックオフのボールを蹴り出し、スタートしました。
先にチャンスを掴んだのはG大阪。3分、エドゥワルドが投げたスローインの流れから、中央左で収めた家長のシュートはDFにブロックされたものの、早速「3点を取らなければいけない」(明神智和)意欲を発露させます。ただ、程なく流れはホームチームに。「アドバンテージを考えながら、いつも通りの入り方をしよう」(大谷秀和)という意志統一の下、徐々にセカンドも回収し始めると、パスカットするシーンも増え、攻勢に。
7分、増嶋竜也のフィードを澤昌克が繋ぎ、レアンドロ・ドミンゲスの右クロスをジョルジ・ワグネルが打ち切ったシュートは、DFに当たってゴール左へ。12分、レアンドロの右FKを近藤直也がフリーで狙ったヘディングはクロスバーの上へ。14分、橋本和のパスを大谷はヒールでリターンすると、橋本は中へ。受けた澤のシュートは、ここもDFが体でブロックして枠の右へ。15分、ワグネルの右CKから、クリアボールをシュートに変えた増嶋のヘディングは、ワンバウンドして枠の上へ。一方的に攻め込みます。
すると、スコアが動いたのは17分。右サイドから藤田が入れたアーリークロスを澤が粘って繋ぎ、ワグネルの強烈なフィニッシュはG大阪のGK武田洋平がファインセーブで凌ぎますが、この直後に生まれた歓喜。ワグネルの蹴った右CKを、ニアでうまくレアンドロ・ドミンゲスがフリックすると、ボールはゴール左スミへ吸い込まれます。いい流れそのままに、ホームチームが早くもリードを奪いました。
展開的に苦しくなったG大阪。佐々木勇人、家長、倉田秋が並んだ2列目は、個の煌めきこそ時折見せるものの、グループとしての連動は当然ながらまだまだ。加えて1トップの佐藤晃大も、近藤のタイトなチェックに前線で基点を創ることができません。
ところが、そんなG大阪がワンチャンスを生かしたのは30分。武井択也の縦パスを、ギャップに降りてきた佐々木は絶妙のフリック。綺麗にラインブレイクした倉田の折り返しを、佐藤は丁寧にゴール右スミへ流し込みます。"これぞガンバ"というようなパーフェクトな一撃。このゲームは1-1。アグリゲートスコアも、再び2点差に戻りました。
続くチャンスもイケイケのG大阪。31分、「徐々に良い所が出てきた」(松波正信監督)エドゥワルドがオーバーラップから中へ。こぼれを拾った倉田はドリブルで2人の間を割って入り、左足でフィニッシュ。ここは増嶋が体を投げ出してブロックしましたが、惜しいシーンを創出します。
以降のゲームリズムはG大阪。家長のキープ力と倉田のドリブルを軸に、「左サイドのコンビネーションが前半は良かった」と松波監督も話したように、左サイドが活性化。38分には柏も工藤壮人がわずかに枠を逸れるミドルを放ちましたが、「ボールサイドに人数をかけられて、取り所がなかった」と大谷も振り返った通り、特に得点以降はややG大阪ペースで前半は終了しました。
後半に入り、早い時間で動いてきたのは松波監督。51分、推進力の一端を担っていた倉田を下げて、レアンドロを投入。前線を2トップにシフトして、2点を狙いに打って出ます。52分には遠藤保仁が中央約25mの距離から直接狙ったFKは、わずかにバーの上へ。54分、左へ流れたレアンドロのクロスを、ドンピシャで合わせた佐藤のヘディングもわずかにバーの上へ。
迫る青黒の脅威。ネルシーニョ監督も、56分に栗澤僚一と澤に替えて、茨田陽生と田中順也を投入。「後半に続けてはいけないのが、スペースを与え続けること」というハーフタイムの指示を、より徹底させるために、守備面でのてこ入れを図ります。
そんな中、次のゴールをマークしたのは現在絶好調の22歳。60分、その4分前にカウンターからの決定機をトラップミスで潰し、「やっちゃった」と思いながらも「マイナスの気持ちにはならなかった」という工藤は、前線でしっかり基点となるポストプレー。ワグネルを経由し、レアンドロ・ドミンゲスが上げたクロスに走り込んだ工藤は、DFともつれながらも勢いでプッシュすると、ボールはゆっくりゴールへ転がり込みます。「魂で押し込みました」というストライカーの貴重な勝ち越し弾。再びアグリゲートスコアも点差が広がりました。
さて、ラスト30分で3点が必要になったG大阪は、63分に佐々木を下げて明神を送り込み、遠藤を少し前に押し出す形で勝負に出ます。とはいえ、「ハーフタイムにしっかり修正して、カウンターにエネルギーを使うことができた」と大谷が話し、「相手も引いて守ってきた」と明神も言及したように、リードを手にしている柏は、しっかりブロックを築きながら、時折鋭いカウンターを繰り出す形に。当然ですが、勝ち抜けを意識して、現実的にゲームを締めにかかります。
71分にはG大阪にチャンス到来。遠藤が左へ展開すると、この場面もサイドに開いていたレアンドロがクロス。ファーに飛び込んだ家長の右足シュートは枠を捉え切れず、これがこのゲーム最後のチャンスに。75分にもカウンターから藤田と田中との連携を経て、レアンドロ・ドミンゲスが惜しいシュートを放つなど、終盤を試合巧者らしくクローズした柏が「良い内容で終われた」とネルシーニョ監督も評価するゲーム運びで、13年ぶりのベスト4へ駒を進める結果となりました。
G大阪は敗れはしたものの、家長やエドゥワルド、GKの武田洋平など新戦力や出場機会の少ない選手を起用し、「チーム力アップには良かった」と明神も話した部分は収穫。レアンドロも着々とフィットしてきており、週末の大阪ダービーは楽しみな一戦となりそうです。
勝った柏は、もはや"風格"すら感じさせるようなゲーム運びで勝ち抜け。しかも「勝って上がるのと負けて上がるのじゃ全然違う」と工藤も触れたように、2試合共に勝利しての勝ち上がりは、チームの成熟度をよく現わしていると思います。次の相手は13年前のファイナルで対峙した鹿島。因縁渦巻くセミファイナルも好勝負は間違いないでしょう。 土屋
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