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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年07月02日

J2第22節 湘南×松本@平塚

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hiratsuka0701.jpg前指揮官の凱旋。昨年まで3シーズンに渡って湘南で采配を奮っていた反町康治監督が、平塚に帰ってきます。
首位快走から一転、10節で初黒星を喫すると、そこからまさかの8試合未勝利で6位まで順位を下げた湘南。それでも、「勝っている時も全部が良かった訳じゃないし、勝てなくなったことが全部悪い訳じゃない」という"ブレない"曺貴裁監督に率いられたチームは、そこから3連勝と反発力を見せ、前節は千葉とアウェイでドロー。復調傾向にあるのは間違いありません。
対する松本は、「同じ方向を向かせるのには時間がかかった」と反町監督は話しましたが、ここ5試合で1勝2分けと着実に勝ち点を積み重ねており、16位という順位は十分健闘していると言っていい成績です。なお、アルウィンでの対戦は1-1。大半のメンバーが昨年から在籍している湘南からすれば「ホームで成長した姿を見せたい」(曺監督)一戦は、雨が降りしきる中でキックオフを迎えました。
いきなりのファーストシュートは湘南。まだ時計の秒針が一周する前に、ミドルを放ったのは5節以来の出場となった岩上祐三。復帰戦に懸ける意欲をルーキーが発すると、4分には高山薫が、8分には馬場賢治が相次いでミドルにチャレンジ。まずは湘南が手数を繰り出します。
ただ、「向こうのボランチの位置がこちらのボランチより高かったので、最初は長いボールでそこを飛ばしていた」と3バックの右を務める飯田真輝が振り返った通り、松本も割と早めに入れるロングボールが右から木島徹也、チェ・スビン、船山貴之で組んだ3トップに収まることで、徐々に攻撃のテンポを醸成。
14分にはボランチの喜山康平が縦に当てると、船山がダイレクトで落とし、木島徹也がミドルでチームファーストシュート。さらに18分には、相手のシュートをブロックした所からカウンターは3対2。1人かわした船山が右へ送ると、フリーのチェ・スビンは枠を捉えられず、絶好の先制機は逃したものの、ゲームリズムを引き寄せます。
さて、ボールはある程度握る中で、なかなかシュートを打てない湘南に訪れた久々のチャンスは28分。上がってきた島村毅とのパス交換を経て、岩上のコースを狙ったシュートは枠の右へ外れましたが、この辺りから再びホームチームに勢い。「中盤でセカンドを拾われて、最終ラインは下がらざるを得なくなった」とは飯田。最終ラインとの兼ね合いからWBも下がることになった松本と対照的に、右の古林将太に左の高山薫とWBが高い位置を取り始めた湘南が攻勢。33分には岩上がFKで直接ゴールを狙うなど、雨の中で飛び跳ねる青緑のボルテージも上がります。
すると、35分に生まれた先制弾。上がってきた古林が獲得した右CK。岩上の蹴ったボールはクリアされたものの、坂本絋司が頭で送り返し、大野和成が収め、最後は島村毅が思い切り左足を振り抜くと、ボールは水しぶきと共にゴールへ飛び込みます。前半の途中からは攻守に圧倒した湘南が1点をリードして、最初の45分間は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、先に動いたのは反町監督。イエローカードを貰っていたチェ・スビンを諦め、塩沢勝吾を最前線に投入します。とはいえ、後半も立ち上がりはやはり湘南ペース。51分には岩上のCKから、ロンドン五輪に臨むU-23韓国代表に招集されたハン・グギョンがこぼれを拾って左からアーリークロスを送ると、島村が合わせたヘディングは枠の右へ。57分、右サイドで馬場がピンポイントスルーパス。受けた菊池大介のニアを狙ったシュートは、こちらも古巣対決となった野澤洋輔がファインセーブで凌いだものの、直後の右CKもチャンスに。岩上のキックに島村が合わせたヘディングも、松本DFがスーパーなブロックで回避。ハッキリした攻守の構図が続きます。
松本は63分、木島徹也に替えて弦巻健人を投入するも"守"は変わらず。64分、反町監督も「想像以上に飛んだ」と言及した岩上のロングスローはデラップや藤田直之クラス。ピッタリ合った島村のヘディングは野澤の正面。65分、ハン・グギョン、馬場と繋がり、岩上のフィニッシュは枠の右へ。
攻める湘南。曺監督は69分に少し傷めたハン・グギョンと下村東美を、74分には岩上を永木亮太とスイッチして、さらなる推進力を投下。すると79分には島村のクサビを馬場がダイレクトで捌き、永木は右へスルーパス。受けた菊池が切り返して放ったシュートは野澤がファインセーブ。82分にも下村が右へ展開し、古林の力強いミドルは野澤が何とかキャッチ。共に元チームメイトに阻まれたものの、替わった2人が得点機にしっかり顔を出します。
ところが、野澤が見せた2つのセーブで「少し風向きが変わった」(反町監督)最終盤。スパイスは77分に最後のカードとして送り込まれた大橋正博。83分に弦巻のミドルを導くパスを送ると、84分には視線と角度をずらした絶妙のスルーパスを船山に届け、あわやというシーンを創出。86分にも船山への鋭いクサビで、鐵戸裕史が放ったシュートの起点になるなど、ピッチを自在に支配します。
それでも「これはほとんど決定機がないまま終わるなという流れ」(反町監督)のままに、所定の90分間は終了。加えられた4分間も半分を過ぎると、最前線に上がっていた飯田の高さで奪った93分のCKに潜んでいたドラマ。鐵戸が左から蹴り入れたボールを、ニアへ走り込んだ塩沢はヘディングで中へ。ラグビーで言うモールの中から、最後に力ずくで押し込んだのは船山。野澤もゴール前に上がるなど「点をもぎ取りたいという姿勢」(反町監督)を最後の最後で発揮した同点弾に、テクニカルエリアギリギリで見守っていた指揮官も思わず両拳でガッツポーズ。"3"が"1"へ、"0"が"1"へ変わり、松本がアウェイで勝ち点を強奪する結果となりました。
「追い付くゲームはあまりなかったので、そういう意味では良かったと思う」と飯田が触れたように、松本がビハインドを追い付いて勝ち点を挙げるのは今季2度目。「ここ2試合は内容が良くない」(反町監督)中、連敗を避ける意味でも価値あるドローだったのではないでしょうか。
一方の湘南は「どう総括していいかわからない試合」という監督の表現にも頷ける、何とも言えない結末を強いられてしまいました。当然、「決定機をアレだけ創って、もう1点取れなかった」(曺監督)ことはクローズアップされる部分ですが、今日に関しては正直ツキがなかったと言うしかないのかなという印象です。やはり反町監督の執念が、最後の最後で松本の選手に乗り移ったという表現が、一番しっくり来るように感じました。        土屋

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