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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
夏という季節が暑くなれば暑くなるほど、その輝きを増すのは自明の理。太陽の季節、言い換えれば"太陽王の季節"が到来しました。
3週間の中断を経て、再開された6月以降のリーグ戦6試合で稼いだ勝ち点は実に13。気付けば二桁だった順位も、首位まで6ポイント差の5位まで浮上してきたディフェンディングチャンピオンの柏。当然のように視界の先に捉えている連覇を考え、「上へ行くために絶対負けられない一戦」(大谷秀和)という意識を常に持ち続けていることが、この好調に繋がっている印象です。
一方、清武弘嗣とキム・ボギョンが海外移籍を選択し、扇原貴宏と山口螢というドイスボランチと杉本健勇をオリンピックで欠くなど、苦しいメンバー構成を強いられているC大阪。スタメンには黒木聖仁や村田和哉など、若い選手も名前を連ねるとはいえ、15位というポジションを考えても、勝ち点を1つでも積み重ねておきたい所です。気温27.8度に湿度は85%と、座っていても汗が滲むような環境の中、C大阪のキックオフでゲームの幕は上がりました。
先にシュートを放ったのはC大阪。2分、ボランチの横山知伸がスリップしながら積極的に狙ったミドルはゴール右へ。6分、右サイドを駆け上がった村田のクロスを播戸竜二が枠内ヘッド。まずはアウェイチームが、2度のフィニッシュを創出します。
ただ、ゲームの流れを掴んでいたのは柏。「あまり2トップがプレッシャーを掛けてこないことは、スカウティングでわかっていた」と大谷が話せば、「相手が下がってくれた分、パスのリズムも掴めた」とは最終ラインの増嶋竜也。ポゼッションでは柏が圧倒する形で、しっかり後ろからパスを繋ぎながら、相手の綻びを見出だしにかかります。
7分には大谷、橋本和、工藤壮人とパスが回り、レアンドロ・ドミンゲスがエリア内でDFともつれて倒れるも、ホイッスルはなし。10分には増嶋の高速ロングスローから、最後はこぼれを工藤が狙うもDFのブロックに遭い、GKがキャッチ。13分、大谷の鋭いカットから、ジョルジ・ワグネルがスルーパス。澤昌克にはわずかに届きませんでしたが、シュートの一歩手前までは持ち込みます。
ところが、このゲーム最初の決定機を迎えたのは「中盤までブロックを落とし、堅く守ってから速く攻める」(セルジオ・ソアレス監督)やり方を採ったC大阪。16分、SBの丸橋祐介が左サイドをドリブルで運び、カットインからミドル。菅野孝憲のセーブがこぼれた所を、柿谷曜一朗が左足で叩いたシュートは枠の上へ外れたものの、ここから5分間は柏にイージーなパスミスが増えてしまい、流れが変わりかけていたと思います。
ここで畳み掛けたかったアウェイチームでしたが、もともと攻め手が限られていた上に、「柿谷の位置が少し掴みづらかったけど、徐々にボランチの2人と連携しながら消すことができた」と増嶋も話したように、頼みのエースも封じ込まれ、流れを引き寄せられません。
すると、訪れた日立台の歓喜は28分。栗澤僚一の"付ける"ボールを受けたレアンドロは最高のスルーパスを左へ。これに最高のトラップで応えた工藤は、左足でニアサイドにズドン。1トップの定位置を不動のものにしつつあるストライカーの先制弾。柏がリードを手にしました。
以降もペースは柏。38分にも栗澤が素早く始めたFKから、レアンドロが惜しいドリブルシュートを放つなど、攻勢を強めます。そんな中で、C大阪が生かしたワンチャンス。39分、酒本憲幸が右から中へ。ブランキーニョは左へ送ると、ぽっかりと空いたスペースに潜り込んだのは播戸。短いドリブルから左足で少し浮かせたシュートは菅野を破り、カバーに入った近藤も一歩及ばず。限られた得点機を確実に生かしたC大阪。スコアは振り出しに戻されました。
陽が傾きかけた日立台。そのスタジアムを再び明るく照らしたのは、1点目と同じ2人。失点から2分後の41分、ブランキーニョのパスミスをワグネルがしっかりカット。「動き出しが良ければ、いいボールは出てくる」と話す工藤の"動き出し"と、レアンドロの"いいボール"がリンク。やはり左にふくらんでレアンドロのラストパスを呼び込んだ工藤は、ファーサイドへボールを正確に送り届けます。新エースのシーズン9ゴール目が飛び出し、柏がまたもリードして45分間は終了しました。
後半もゲームリズムは変わらず柏。「いいオーガナイズができていた」(大谷)というバランスの良さも際立つ中、今度は前節から右SBとして出色のパフォーマンスを披露している那須大亮が、攻撃面で一仕事。51分、右サイドでレアンドロのパスをもらった那須は、素早くリターン。レアンドロが折り返したボールは一旦茂庭照幸に渡りましたが、「クリアにてこずっているなと思った」工藤は一気にかっさらうと、そのままゴールへ流し込みます。これで工藤は「ユース時代にも決めた記憶がない」というハットトリックを見事達成。点差が2点に広がりました。
さて、「してはいけないミス」(セルジオ・ソアレス監督)で3失点目を喫し、55分には工藤にあわや4点目というシーンを創られるなど、苦しいC大阪は立て続けに交替を決断。56分に酒本と舩津徹也を、57分にブランキーニョと移籍加入したばかりの枝村匠馬を入れ替え、反撃の態勢を整えます。
64分にはまたも柏。大谷が鋭い出足でインターセプトに成功すると、そのままスルーパス。シュートも選択肢にはあったはずの工藤がパスを選ぶと、ワグネルへは通らずに、追加点とはいきません。対するC大阪も65分には枝村との連携から、柿谷が枠内シュート。67分には丸橋が30m近い直接FKを狙ってみせるなど、「少し枝村が入ってややこしくなった」と増嶋も認めたように、枝村の投入は攻撃面で効果を現していました。
しかし、次のゴールでさらに開いた点差。68分、ワグネルのパスはエリアのすぐ外で密集を創り、C大阪がクリアしきれない中、スッとボールを収めたのはレアンドロ。短いスルーパスに抜け出した澤は、「ニアに蹴るような形でファーサイドへ」蹴り込み、ゴールネットを揺らします。これでレアンドロは驚異の実質4アシスト。4-1。試合は決まりました。
一矢報いたいC大阪は80分、横山が左へ振り分け、丸橋がすぐさまクロス。こぼれに反応した枝村のヘディングはバーの上へ外れ、万事休す。以降も、交替で入った水野晃樹、茨田陽生、田中順也が3人ともシュートを打ち切るなど、「セカンドを含めてボールをうまく拾えている、ウチのチームのいい状況」(大谷)を90分間維持し続けた柏が、完勝を収める結果となりました。
C大阪は残念なゲームになってしまいました。全体の流れを考えると、やはり追い付いた直後にミスから勝ち越しを許したことが、致命傷となった印象です。これで今季4度目の連敗となり、6試合未勝利。チームの総力が問われています。
柏は「チームの出来が立ち上がりから素晴らしかった」と澤も振り返ったように、内容結果両面で満点に近い勝ち点3奪取。大谷も「いい時間帯が長かったという意味で、シーズンの中でもいいゲームだったと思う」と手応えを口にしていました。これで首位とは4ポイント差の4位にステップアップ。いよいよ連覇への頂きが、おぼろげながら見えてきたのではないでしょうか。 土屋
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