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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年06月18日

J2第20節 町田×山形@野津田

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machida0617.jpg現在3連敗。8試合勝ちなしの最下位と、苦しい戦いが続いている町田。ただ、「私がこだわっているのはパス、パス、パス」とオズワルド・アルディレス監督が話せば、「結果は出ていない中でも、このスタイルをやり続けるのは凄く良いことだと思う」と守護神の修行智仁もポジティブな捉え方。チームの意識にブレはないことが窺えます。
一方、劇的に追い付くドローゲームを京都と演じたものの、続く湘南戦に競り負け、久々に2試合未勝利となった山形。順位こそ3位に下がったとはいえ、首位との勝ち点差はわずかに2。「中3日の3試合目でもちろんどちらも疲労はある」(山形・奥野僚右監督)中で、反発力が求められる一戦になります。気温は25.6度と、18時キックオフでも蒸し暑さの残る野津田でゲームはスタートしました。
開始わずか31秒のファーストシュート。ミドルレンジから平本一樹が右足で枠に収めると、山形GK清水健太はセーフティーにフィスティング。2分にはスローインの流れから、鈴木崇文がここもミドルにチャレンジ。立ち上がりから町田が積極的な姿勢を打ち出します。
以降も町田ペースで推移する中、「平本のクサビはケアしていた」と秋葉勝が話した、まさにその部分がホームチームのチャンスに直結。10分、北井佑季のクサビを平本が丁寧に落とすと、ディミッチのシュートは枠の右へ逸れたものの、16分にも鈴木崇文が平本との連携からフィニッシュまで。最初の15分は、前の4人がいい距離感でスムーズな連携を生み出した町田の時間帯だったと思います。
さて、なかなかシュートシーンを創れない山形。「サイドにスペースがあり、その意識も共有していたはずだけど、そこをなかなか使えなかった」とは、出場停止の宮阪政樹に替わって中盤アンカーに入った前田和哉。19分には右SBの小林亮がクロスを送り、中島裕希を経由して、秋葉の左足ボレーはバーの上へ。20分にも右に流れた萬代宏樹が中へ流し、船山祐二の裏を意識したパスに手前で反応した中島のシュートはゴール右へ。比較的深い位置でサイドをうまく使った時にはチャンスを創り出しますが、「パスが横、横、横みたいな感じになってしまった」(前田)停滞感は否めず、どうしても攻撃の流れが続きません。
逆に町田は26分にも平本が北井とのパス交換からディミッチへ。10分のシーンによく似た形は、結果も同じくシュートは枠の右へ逸れましたが、「このカテゴリーの大変優れたチーム」(アルディレス監督)相手に互角以上の内容で対抗してみせます。
30分を過ぎると、山形も左SBの石川竜也が高いポジションを取り始め、34分に山崎雅人が放ったシュートの起点となると、35分には自らクロスを上げて中島の惜しいヘディングを演出。45分にも、秋葉のクロスから中島がわずかに枠を越えるヘディングを見せたシーンに起点で関与するなど、山形が左サイドを中心に攻め込む回数が増えていきましたが、「(太田)康介と加藤が体を張ってくれたので、枠内シュートは多くなかった」と修行が振り返ったように、前半の枠内シュートは確かに35分だけ。アルディレス監督も「素晴らしい前半だった」と評価した45分間は、町田ペースに近い形で終了しました。
後半もスタートはやはり石川から。47分、石川のパスを受けた山崎が左へ振ると、萬代のシュートは大きく枠の左へ。49分には船山がパンチ力のあるミドルを枠内へ。まずは山形が仕掛けます。
ただ、町田が最終ラインも含めた低い位置でボールを回すのに対して、「回されていても別に怖くはなかったが、そこに行くのか行かないのかが曖昧になった。それもうまくハマらなかった理由かもしれない」とは秋葉。奪ってからテンポアップという形は噛み合わせ上、出にくい展開だったのは確か。それが「仕掛ける場面とボールを回す場面のメリハリ」(秋葉)にも影響を及ぼし、結果として山形の中盤における疲労感を蓄積させていた側面はあったと思います。
すると、53分にディミッチを下げて、柳崎祥兵を1トップ下へ投入したことも町田は奏功。55分に藤田泰成が左から右足で上げたクロスに、フリーで飛び込んだのは柳崎。ヘディングはヒットせずに枠を外れたものの、このシーンから町田が攻勢に。59分と62分には北井が果敢にミドルへチャレンジすると、63分にはビッグチャンス到来。鈴木崇文が絶妙のスルーパスを繰り出すと、平本は完全に1人旅。しかし、シュートは飛び出した清水が体でブロック。先制点とはいきません。
こうなるとピンチの後にチャンスありは、サッカーの常。68分、やはり石川が左から蹴り込んだクロスを萬代が落とすと、「練習してきた形」に反応した秋葉を太田が倒してしまいます。三上正一郎主審が指し示したペナルティスポット。山形がPKを獲得しました。この大事な場面でキッカーを務めるのは石川。レフティがGKの左を選択して蹴ると、修行が「直前に決めた」のも同じサイド。弾き出されたボールを中島が折り返し、小林が押し込んだゴールはオフサイドの判定。守護神のスーパーセーブが飛び出し、スコアは動きません。
70分を過ぎると、お互いに空き始めたスペースを突き合います。72分は山形。途中出場の比嘉厚平が中央からフリーで狙ったシュートは枠の右へ。77分は町田。庄司悦大の左FKを、ニアで太田がうまく合わせたシュートはサイドネット外側へ。どちらに転んでもおかしくないゲームは、奥野監督が78分に船山と太田徹郎の交替を決断し、3枚のカードをすべて中盤に費やしたことからもわかる消耗戦。
84分は町田。庄司のショートコーナーから、藤田が狙ったミドルはDFがブロック。89分も町田。ここも庄司がショートコーナーを選択。北井を経由して、柳崎が入れたクロスはDFがクリア。91分は山形。太田が無回転気味に枠へ飛ばしたミドルは、修行がキャッチせず安全にパンチング。92分も山形。石川が丁寧に中へ送ると、西河翔吾のミドルは枠の左へ外れ、ほどなく野津田を包んだタイムアップのホイッスル。「我々にとっては大変重要な勝ち点1」(アルディレス監督)「勝ち点1を上に積めたことはとても良かったんじゃないかなと思う」(奥野監督)という両者納得のスコアレスで、ゲームは幕を閉じました。
山形は「タイミングが合わない場面もある」と山崎も振り返ったように、なかなか3トップと周囲の動きが噛み合わず、特に萬代は孤立する時間が長かった印象です。「ギャップで受けるシーンがもう少し増えてこないと」とは前田。ある程度引いた相手を崩す工夫の部分に、少し課題を残した90分間だったと言えるかもしれません。
町田は「相手より主導権を握れた時間帯もあった」とアルディレス監督が言及したように、しっかりボールを回しながら、平本への"縦"をアクセントにいい形を何度か創っていたのは好材料。ゴールこそなかったものの、「非常にいい内容のゲームだったと思う」という指揮官の言葉にも頷けます。そうなると、やはりフィニッシャーの存在は必要不可欠。ここは勝又慶典の"完全復活"に期待したいですね。      土屋

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