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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年06月10日

J2第18節 甲府×千葉@中銀スタ

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kose0609.jpg5位の甲府と3位の千葉。お互いJ1も経験している、昇格のみを目標に掲げた2つのチームが対峙します。ゴールデンウィーク開始に端を発した4試合未勝利。草津、岐阜の下位陣に連勝しながら、松本とドロー。ここ最近はなかなか開幕直後のような波に乗り切れない甲府。ダヴィと高崎寛之の重量級2トップをどう生かすかに、城福浩監督の手腕が問われる所です。
一方、こちらはゴールデンウィーク突入から怒濤の6連勝で一気に自動昇格圏内まで浮上。前節こそ最下位の岐阜にホームでまさかの黒星を喫しましたが、依然として3位をキープするなど、ようやく期待された安定感を発揮し始めている千葉。「ここで星を落とすようだと、色々な意味で苦しくなる」と木山隆之監督が表現した上位対決は山梨中銀スタジアムです。
先にチャンスを迎えたのは甲府。2分、ピンバが短く出したFKから、山本英臣がチャレンジしたミドルは枠の右へ。6分には逆に山本のFKから、フリーで受けたピンバのシュートは千葉GK岡本昌弘がファインセーブ。セットプレーからピンバと山本で2度のシュートシーンを生み出します。
お互いに悪くない形で立ち上がったゲームでしたが、「ホームの甲府も勢いがあった」と木山監督も言及したように、序盤は甲府にリズム。ある程度はラフにロングボールを2トップに入れるシーンもあり、当然千葉も「CBとボランチの自分と、3人で2トップを見る形」(佐藤健太郎)でしっかり対応してきたために、高崎とダヴィ自体にシュートはなかったものの、19分には高崎のパスからピンバが枠内ミドルを放つなど、周囲を生かす働きもこなすことでチームに前への迫力を生み出していきます。
一方の千葉は「健太郎が攻撃にそれほど加われないのはわかっていた。リスクを背負わないことも大事」と木山監督。その佐藤健太郎も「自分が前がかりになり過ぎないように、サポートの距離感を意識していた」と話すなど、まずはしっかりとした守備から時折チャンスを伺うプランで対抗。17分には兵働昭弘が強引なミドルでファーストシュートを記録すると、20分には今季初スタメンの米倉恒貴が左サイドをぶち抜いて上げたクロスに、フリーの兵働が合わせたボレーはヒットせず。シンプルな形の手数を繰り出します。
20分過ぎからは、より繋ぐ意識が明確になった甲府。22分には柏好文、伊東輝悦、ピンバと回して、山本のミドルは枠の上へ。24分、柏と2人で右サイドを崩した福田健介のクロスに、高崎が合わせたヘッドは枠の左へ。28分にも伊東が右へ展開すると、福田のクロスを高崎が落とし、山本のシュートはDFにブロックされましたが、「プラン通り」(城福監督)にゲームを進めていきます。
ところが、29分にまさかの落とし穴。自陣の深い位置で盛田剛平が痛恨のパスミス。奪った佐藤勇人は左へ流し、兵働は大きく右へ。裏へ走り込んだ田中佑昌が折り返すと、米倉はGKに当てながらもゴールにねじ込み、高速カウンター完結。劣勢だった千葉が先手を取りました。
イージーなミスからリードを奪われた甲府もすぐさま反発。32分、左サイドから柏がスルーパス。受けた高崎のシュートは岡本の好セーブに遭い、ダヴィがこぼれを頭に当てたボールはほんの少し枠を越えたものの、衰えない勢いを示してみせます。そんな中で次にスコアボードに踊った数字は、しかし"1"ではなく"2"。
33分、佐藤勇人がアバウトにクリアしたボールに、「裏へボールが出てから走り出した」盛田より、先に大外からダッシュしていた米倉が先に到着。まだ米倉の体勢は不十分でしたが、「結果論で言えば、しなくてよかった」と盛田が振り返ったスライディングは米倉を倒し、家本政明主審の判定はPK。山口智が難なく沈め、わずか4分間で2点の差が付きました。
さらにホームチームを窮地に追い込んだのは、45分の退場劇。それまでほとんど完璧に藤田祥史を封じ込めていたCBのドウグラスが、その藤田に後方からタックルをお見舞い。これを危険なプレーと判断した家本主審は一発レッドを宣告。甲府がスコアと人数のダブルビハインドを負った格好で、前半は終了しました。
さて、ハーフタイムを挟むと、城福監督は後半開始からピンバと津田琢磨の交替を決断。最終ラインは右から津田、山本、盛田、佐々木翔を並べ、2トップはそのままに、中盤は「中を閉めて、外に行かれるのは仕方ない」(柏)と、右から福田、伊東、柏を配した3人で構成。4-3-2で反撃態勢を整えます。
52分に米倉の危ないボレーを浴びると、2分後に伊東を下げて、堀米勇輝を中盤の右へ投入。福田が再びSBへ下がり、津田はCBへ、山本は中盤センターへスライド。「トータルでピッチに立った選手の特徴を踏まえて入れ替えた」とは城福監督。追い付く策を懸命に講じます。
とはいえ、中盤の3枚は広大な持ち場を前にして、攻守に奮闘していましたが、残した2トップまではボールが入らず。「前に人数がいるのはちょっとイヤだったが、サイドに追い出せば中を崩されることはない」と佐藤健太郎が話せば、「2トップであれば、対応はそれまでと変わらない」と山口智。ここに竹内彬も加え、「真ん中の3人の対応は秀逸」と指揮官にも言わしめるバランスで、千葉が掛けた中央の鍵も強固。64分に山本が右へ振り分け、最後は堀米が狙ったシュートも岡本がしっかりキャッチ。10人とは思えない活動量で互角に近い展開を繰り広げますが、「ある程度守備をしっかりしながら、追加点を狙う」(木山監督)選択をした千葉相手に、最後の一手までには手が掛かりません。
67分に高崎と交替でピッチに入った、古巣対決となる青木孝太はアクセントとして機能する中でも、遠いフィニッシュ。82分には佐々木と青木が絡み、ダヴィがエリア内で倒されるもノーホイッスル。93分に福田のフィードから青木が抜け出しかけるも、「失点ゼロにこだわりたかった」山口智が完璧な対応でクリア。終わってみれば、後半は甲府をシュート1本に抑えて完封した千葉が、手堅く勝ち点3を奪取する結果となりました。
千葉は指揮官も称賛したように、中央の守備バランスは圧巻。「しっかりコミュニケーションが取れている」とは山口智。今日で言えば強力2トップに対して佐藤健太郎が、「自分の背後のどちら側に落ちてくるのかを気にしていた」とディテールにもかなり気を配っていたことを明かしてくれましたが、この辺りにリーグ最少失点の一端が窺えます。「自分たちが崩れたらチームも崩れると思ってやっている」(山口智)センターの屋台骨がある限り、この安定感はなかなか揺るがない印象を持ちました。
甲府からすればもったいないゲームだったなと。「30分まではどちらが主導権を取っていたのかは、わかってもらえると思う」と城福監督も振り返った通り、自らに流れがあったタイミングでのミスから失点。ただ、突然のミスは起こり得ること。それが短時間に2つも出てしまったことで、「まだまだナイーブな所」(城福監督)を露呈してしまった印象でした。一方で、好パフォーマンスを見せた柏や堀米、青木など個性豊かな若駒も控えているだけに、アタッカーの組み合わせも含めて今後の城福采配にも是非注目していきたいと思います。          土屋

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