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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年06月02日

J2第17節 水戸×栃木@Ksスタ

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kitakanto0602.jpg今シーズン3試合目となる"北関東ダービー"。初戦はお互いに勝ち点3を獲得した水戸と栃木による首位攻防戦がケーズデンキスタジアム水戸で行われます。水戸のサポーターは「北関東ヲ奪還セヨ」「ダービー制覇!その先に昇格がある!」という横断幕で、この一戦に懸ける気合いを表現。栃木サポーターもアウェイゴール裏を黄色く染めるなど、スタジアムもいい雰囲気に包まれました。
また、リーグ戦に目を移すと、こちらも揃って7勝4分け5敗の勝ち点25と、まったく同じ数字。得失点差で水戸が10位、栃木が9位になっていますが、最近の結果はここ4試合勝ちのない水戸に対して、ここ4試合負けのない栃木と対照的。嫌な流れを断ち切りたいホームチームにとっても、さらに上位を窺うステップにしたいアウェイチームにとっても、「普通の1試合というだけではなく、凄く重みのあるゲーム」(水戸・柱谷哲二監督)は、栃木のキックオフで幕を開けました。
先にリズムを掴んだのは水戸。「ボールを繋いでやれば、相手も空いてくると思っていた」と島田祐輝が話したように、ワイドをうまく使いながら、しっかり後ろから組み立てるスタイルで攻勢に。6分には橋本晃司が左FKを蹴り入れ、鈴木隆行が右から左足クロスを上げると、小澤司のヘディングはゴール左へ。8分には橋本の左CKから、最後は西岡謙太が左足で狙ったボレーは枠を越えましたが、セットプレーでチャンスを創出します。
一方、なかなか縦へのテンポアップができない栃木は12分、右サイドを小野寺達也が切り裂くと、パウリーニョがエリア外から狙ったミドルは水戸GK本間幸司が何とか弾き出しましたが、16分にもカウンターから好機到来。相手CKを奪ったパウリーニョを起点に、菊岡拓朗が得意のスルーパス。抜け出したサビアには島田が食い下がり、シュートには至らなかったものの、この辺りから流れが少しずつ栃木に傾き始めます。
そんな中、20分に菊岡の左FKをフリーで合わせたチャ・ヨンファンのヘディングが枠を外れると、2分後には意外な形から水戸に決定機。エリアの外に飛び出した栃木GK柴崎邦博がまさかの空振り。こぼれを拾った橋本のシュートは無人のゴールへ向かいます。わずかにボールのバウンドがゴールとは合わず、数十センチレベルで枠を逸れましたが、珍しいシーンにスタンドもザワザワとした不思議な雰囲気に包まれました。
以降もミドルレンジのパスにミスが目立ち、ボール回しのリズムが悪い水戸を尻目に、菊岡のボールタッチが増え、広い展開も出てきた栃木が押し気味に。32分にはその菊岡が右へ振ると、再三出足の良さで効果的なオーバーラップを見せていたSBの荒堀謙次が粘り強く収め、そのままフィニッシュまで。続く栃木の流れ。
しかし、「ウチのゲームになっている所で隙が出てしまった」と松田浩監督も渋い顔で言及したシーンは41分。橋本が右から蹴ったCK。こぼれ球を拾った廣瀬浩二の対応が中途半端になり、西岡が素早くボレー。DFに当たった跳ね返りを塩谷司もダイレクトで叩くと、ボールは一直線にゴールネットへ。「いいタイミングで先制点が取れた」とは柱谷監督。「アンラッキーな部分もあった失点」とはパウリーニョ。少し悪い流れにもうまく対応していた水戸が1点をリードして、ハーフタイムに入りました。
後半はいきなり栃木に絶好の同点機。48分、ピッチ中央からここも菊岡の必殺スルーパス。抜け出した廣瀬はゴールネットを揺らし、黄色のサポーターも歓喜に沸きましたが、副審はオフサイドと判断。「正直やられたと思った。助かりました」と塩谷。ほぼ真横で見ていた松田監督も猛然と抗議しますが、当然ノーゴールという判定は覆りません。
すると、直後の50分に生まれたのは追加点。鈴木隆行のキープを起点に、橋本が左へ。受けた島田は「自分で行こうと思ったけど、司(小澤)ならいつもの所にいるだろうと」ピンポイントクロス。「チームの決めごと」(島田)通りにファーで待っていた小澤のボレーは、ライン上にいた菅和範が体でブロックしたものの、そのボールが味方に当たってゴール方向へ。柴崎も何とか掻き出しましたが、こちらはゴールが認められ、点差が広がりました。
どちらかと言えば主導権を握られる中で2点のリードを奪った水戸は、ここからのゲーム運びが秀逸。「今までだったらああいう所で守りに入ってしまったが、今日は攻撃的に行けた」と塩谷が話したように、相手の手数をいなしながら、自らはセットプレーから得点機を狙う展開に。
53分に菊岡が放ったFKも、58分に菊岡のパスから棗佑喜が打ったボレーもきっちり凌ぐと、逆に67分と70分には共に橋本のCKをシュートまで。前者は塩谷が枠を外し、後者は市川大祐のクロスをキム・ヨンギが頭でジャストミート。柴崎のファインセーブに阻まれましたが、青いサポーターもゴールへの予感を募らせます。
そして、スタジアムが水戸の勝利を確信した3点目は72分。栃木のFKを凌いだクリアボールに、反応した柳川雅樹のヘディングは当たらず。これを橋本がダイレクトでラストパスに変えると、広大なスペースに抜け出した島田は柴崎と1対1。「左足で打とうと思っていたが、最近左足で外すことも多かったので右足に持ち直した」島田が飛び出した柴崎を見極め、フワリと浮かせたボールはゆっくりとゴールへ吸い込まれます。白星から見放される日々が続く中、「一番大事なのは自信を持つこと」という言葉で指揮官に送り出された選手たちが躍動した水戸。今日3つ目のゴールを完璧なカウンターから陥れ、勝敗の行方は決しました。
「ダービーなので何としても勝ちたかった」(松田監督)ゲームで、3点のビハインドを負った栃木。83分に3枚目のカードとして河原和寿を投入すると、ここから同じく途中出場となった杉本真と河原がゴールへの意欲を前面に。86分に杉本、89分にも杉本が続けてシュートを放ち、92分にも右から荒堀が上げたアーリークロスを杉本がフリックすると、河原のヘディングはわずかに枠を越えるなど、「最後まで諦めない気持ち」(パウリーニョ)を奮い立たせます。
その気持ちが結実したのは、ほぼラストプレーの94分。菊岡の右CKがこぼれると、杉本が振り抜いた右足ボレーは左スミを捉える「サポーターに対するせめてもの」(松田監督)一発。最後に栃木も意地を見せましたが、大勢に影響はなく、「いい練習をやってきている、いい状態だった」という柱谷監督の言葉を証明するようなパフォーマンスを見せた水戸が、5試合ぶりのリーグ戦勝利と同時に、北関東ダービーでも首位に躍り出る貴重な勝ち点3を獲得する結果となりました。
栃木は「1点目が入ったことが大きかった」と指揮官も振り返った通り、先制されたことで前に行かざるを得ない中、スタイル的に菊岡のアイデア以外でなかなか攻め手がなかった印象です。少し残念だったのは、54分と早い段階でピッチへ送り出された棗をうまく生かせなかったこと。確かに棗はスピードもあるタイプですが、サビアと廣瀬の2トップにはなかった"高さ"を補う交替だったのであれば、もう少し簡単にハイボールを使うチャレンジがあってもよかったように感じました。
水戸はセットプレーで先制、ピンチの直後に追加点、カウンターでダメ押しと、ここ最近勝てていなかったのが不思議に思えるような磐石のゲーム運びで完勝。終盤の82分に、チーム最年長の鈴木隆行が最終ラインまで戻って守備をするようなディシプリンも垣間見え、今シーズンの好調にも頷ける内容でした。個人的に注目していた中盤の大卒カルテットも、それぞれが持ち味を発揮してしっかり機能。今後の水戸にも是非注目したいと思います。         土屋

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