J1第14節　べガルタ仙台×コンサドーレ札幌@ユアテックスタジアム仙台
解説：玉乃淳　実況：下田恒幸　インタビュアー：桑原学

【玉乃淳氏によるマッチレビュー】
Q、ゲームの全体的な印象を教えて下さい。

A、首位と最下位という今シーズン好調のチームと
不調のチームが対戦しましたが、それをハッキリ現わすかのように、
仙台には精神的な余裕が見られて、
札幌には余裕がなく、失点すると動揺してしまうと。
仙台は立ち上がりは良くなかったですけど、
試合を90分間で考えて、まったくブレることなく戦っていました。
「仙台強いな」という印象ですね。

Q、前半は札幌がうまく守っていた印象でした。

A、あれはたぶん凄く引いて守りましたが、
それでも点を取らなきゃいけないという意識は当然みんなにあるので、
そこの空間で物凄く体力を使ったのかなと。
だから前半で明らかに消耗していましたし、
後半は足が止まってバラバラになってしまったので、
後手後手だったなという印象です。
逆に仙台は引いて守られた時も、
手倉森監督が「どんどんえぐって、相手の背後を取って、ジャブのように攻める」と
インタビューで話していたのが凄く印象的で、
それを1試合通してやっていたから、妥当な結果が生まれたんじゃないかなと。
焦ることもなかったですし、単純に放り込むこともなかったですし、
攻め急がなかったことで、札幌がうまくやられてしまったなと思います。

Q、仙台のゲーム運びには
勝利を積み重ねていることから来る余裕も感じました。

A、その通りで、前半30分で点が取れなくてもまったく慌てる素振りはなかったし、
逆にたぶん手倉森監督はハーフタイムに、
もっとえぐるとか背後を取るとかを指示していたと思うので、
そこが交替選手も含めてしっかり実践できていた所が、
3点目や4点目に繋がったと思います。

Q、仙台は上本大海が欠場する中、
渡辺広大がかなりよかったんじゃないでしょうか？

A、まったく上本の欠場を感じさせない、「あっ、そういえば」という感じでしたね。
おそらく上本もそうですけど、人に強いのでこの試合に関しては遜色なかったですよね。
ただ、上本はいい意味でもっと気性が荒くて、
角田誠と共に戦える選手なので、
あの上本と角田の2人は凄く効いているなと思いますね。
今日は渡辺がよかったですが、今後も浦和とか
上位と当たる時には絶対に上本が必要になってくるので、
復帰が待ち遠しいですね。

Q、仙台は選手層のベースアップもだいぶできてきたと言っていいですか？

A、誰が出ても同じレベルで戦えますけど、
一番抜けたら痛いと僕が思うのは上本と角田。
敵に対して脅威になっているので、綺麗なサッカーだけじゃなくて
さらに相手に圧力を掛けられる2人が
今シーズンの仙台を支えてるんじゃないかと思っています。

Q、ウイルソンについて言及することが多かったですが、
具体的にはどこがよかったですか？

A、トラップの位置が絶妙なのでボールを取られないのと、
たぶん相当チームに適応しているのか、
自由に動いたスペースを周りの日本人選手がうまく使ってあげてますよね。
相当"人がいい"んじゃないかというのを伺わせるような感じがします。

Q、札幌で一番気になったのはどこでしたか？

A、立ち上がりは立ち上がりの戦い方でやっていたんでしょうけど、
その次がなかった印象です。
早い時間で失点したくないから、
ラインを引いてカウンターに徹するのはわかるんですけど、
どう考えても次の手がないのが現状なので
逆にアレを90分やってもいいのかなと。
だから、札幌の色が見えなかったですね。
そこが凄くもったいないというか、スコアは関係なく
自分たちのサッカーというのを築かないとJ1では戦えないので、
その辺が課題かなと思います。

Q、仙台は攻守のバランスが凄く良かったように見えましたが、
そのバランスの一番のポイントは何でしょうか？

A、やっぱり角田と富田晋伍ですね。
あの2人の関係が、普段も私生活から仲良くしているので
明らかにバランスがいいですよね。
お互い信頼し合っていて、自分の役割がハッキリしているので、
お互いが「一番やりやすい相手」だと話しています。
そこは大きいと思います。

Q、富田はユース時代の後輩で、普段も仲が良いと思いますが
彼の一番良い所はどこでしょう？

A、自分が目立ちたいというよりも、
周りの評価が上がれば自分の評価も上がるというのを彼自身も認識しているので、
それがチームに凄くプラスになっているんじゃないかなと。
常にチームのことを考えるというのは、
当たり前のようですけど、選手はやっぱり目立ちたいのでなかなかできないんですよ。
そこに徹しているところが素晴らしいですね。

実はもう再放送終わっちゃいました...
ごめんなさい。

土屋