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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年06月11日

インターハイ東京1回戦 駒澤大学高×国士舘@駒沢補助

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komazawa kokusikan.jpg第2試合もT1リーグ勢同士の対峙。一昨年の選手権全国ベスト16の駒澤大学高と、選手権出場3回を誇る名門国士館がベスト8を懸けて対戦します。
昨年度はインターハイがベスト8、選手権がベスト4と、全国には手が届かなかった駒澤。昨年も例年通り3年生が主力を占めていたため、実質ゼロからに近いチーム作りとなる中、「今年は下級生に面白い選手がいる」と大野祥司監督。1次トーナメントは初戦の都立狛江戦こそ延長までもつれたものの勝ち切ると、残り2試合は80分で決着を付けて勝ち上がってきました。
対する国士館もここ数年は全国の舞台から遠ざかっていますが、今年はT1でも5試合を終えていまだ無敗と好調をキープ。1次トーナメントでは今年の東京高校界屈指の実力者・國學院久我山を倒すなど、充実したシーズンを送っています。このゲームは正午のキックオフ。もはや肌の陽に焼ける音がはっきりわかるような暑さの中で、ゲームはスタートしました。
比較的静かな立ち上がりを経て、少しずつ見えてきた構図はワイドにボールを広げながら前に進む国士館と、ある程度長いボールをシンプルに入れてセカンドを拾いながらチャンスを窺う駒澤。とはいえ、駒澤の1トップに入った大川雅史(2年・フッチSC)は、「彼には収まるんです」と大野監督も話したように、上背こそないもののボールの受け方がうまく、基点創りに貢献。前へのパワーやボールキープは国士館に分がある中でも、主導権の取り合いは五分に近い形で、睨み合いが続きます。
先に決定機を掴んだのは国士館。11分、右サイドでスローインを得ると米田仁志(3年・横浜F・マリノスJY追浜)のクロスを、大嶋武司(3年・川崎麻生中)がシュートまで。ここは駒澤GK市川晃平(2年・FC杉野)のファインセーブに阻まれましたが、惜しいシーンを創出します。
ところが、初めての決定的なシーンを駒澤がゴールに結び付けたのは14分。東史弥(3年・赤羽岩淵中)の長いFKを桑原智(3年・東京久留米FC U-15)が頭で落とし、右に流れた飯泉優人(3年・FC東京U-15深川)は、ジュニアユース時代の同期でもある国士館GK安藤浩睦(3年・FC東京U-15深川)が飛び出したのを見極めて、フワリとしたシュートを選択すると、ボールはゆっくりとネットに到達します。何とも"らしい"ワンチャンスを生かす集中力を発揮した駒澤が、まずは先手を取りました。
ここからはかなり膠着した時間帯に。基本的には国士館がボールを握る時間が長い中で、駒澤は東と黒田大介(3年・クラブ与野)で組むCBコンビを中心に、粘り強く跳ね返すことで守るリズムが醸成され、逆に攻撃へ転じた時の脅威は増加。25分、桑原の右CKはニアの大川にヒット。ボールはわずかに枠を越えましたが、ここも紙一重のシーン。
30分には国士館も服部準平(3年・東京ヴェルディJY)が長いドリブルから左へ送り、川口翔太(3年・三菱養和巣鴨)がゴールネットを揺らしたものの、オフサイドでノーゴール。微妙な判定ではありましたが、スコアは変わりません。前半終了間際の40+1分、今度は駒澤に追加点のチャンス。右サイドから上がった大川のアーリーに桑原が抜け出すも、ここは安藤が絶妙の飛び出しでファインセーブ。全体の流れは駒澤に少し傾いた格好で、40分間が終了しました。
ハーフタイムを挟むと、1点を追い掛ける国士館に勢い。46分には田口圭介(2年・帝京FC)の右クロスに、大嶋がDFと競り合いながら頭で枠内へ。ゴールへの意欲を見せ付けます。すると直後に再び大嶋。エリア内へ強引に割って入ると、対応したDFともつれるように転倒。これを主審はディフェンスファウルと判断し、国士館にPKが与えられます。キッカーは大嶋。ストライカーの決断は堂々のど真ん中。1-1。ゲームは振り出しに戻りました。
さて、こうなるとやはり手数の多かった側に流れは移るもの。56分には酒巻峻(2年・町田ゼルビアJY)、川口と繋いで、大嶋が抜け出すも駒澤DFと市川が決死のブロック。58分には服部が左へ送り、田口のカットインシュートはDFがブロック。
押し込まれる駒澤も63分には広瀬貫太(3年・ヴィヴァイオ船橋)のフィードを受け、大川が独力突破からあわやというシュートを打ち切りますが単発。65分も国士館。田口の右FKにGKが飛び出すと、こぼれを途中出場の勝川幹大(3年・町田JFC)が枠内へ収めたシュートは、カバーに入った広瀬が掻き出したものの、国士館のラッシュが続きます。
ただ、耐えに耐えるチームを見て、大野監督が65分に1枚目のカードとしてボランチに入れた野崎佑太(3年・FC GLORIA)は、ヘディングで競る度に声を出す気合いの入れ様で、緩みかけた駒澤の中盤を再び引き締めると、全体の士気もアップ。終盤は互角のせめぎ合い。
68分は駒澤。右サイドで鎌田雄太(3年・シュートJY)が粘り、飯泉のドリブルシュートはわずかに枠の右へ。70分は国士館。川口のスルーパスに大嶋が抜け出すも、市川が飛び出してセーブ。76分は駒澤。井浦正人(2年・Forza'02)の左FKがこぼれると、反応した鎌田のシュートは安藤がファインセーブで阻止。78分は国士館。こちらも途中出場の柳沢豪(3年・深川第三中)が、川口との大きなワンツーを経て狙ったループは、右のゴールポストを直撃。両者譲らず。好ゲームにさらなる20分間が加えられることになりました。
炎天下と言って差し支えない気候の中、延長はやはり双方に色濃い疲れが。89分に国士館。田口がクイックで始めたFKを呼び込んだ川口は右からクロス。走り込んだ柳沢のボレーは当たり切らず。96分に駒澤。カウンターから飯泉が長い距離を運ぶも、全力で戻った平山起光(3年・FC東京U-15深川)が懸命にカバー。平山は直後に足が攣ってしまいます。102分には駒澤。東のFKにGKが飛び出すと、こぼれを飯泉が枠内へ収めたシュートは国士舘が築いた5人の人壁がブロック。死闘は100分間でも決着付かず。ベスト8進出の行方はPK戦へ委ねられることになりました。
1人目はお互いに成功して迎えた2人目。ここで魅せたのは国士館の守護神・安藤。完全に軌道を読み切ったスーパーセーブを披露します。この後も成功が続き、先攻の駒澤は5人目の飯泉も成功。決めれば勝利の国士館。しかし、今度はこの絶体絶命の窮地で守護神・市川が降臨。我慢して飛んだ方向でボールを弾き出し、さらにロシアンルーレットは続きます。
実は決められた3人目、4人目も共にボールへ触っており、5人目も方向は合っていた安藤。駒澤の6人目。その安藤は自身の左に蹴られたボールをパーフェクトに弾く、2度目のPKストップ。いよいよ長かった戦いにも終止符。国士舘の6人目に指名された勝川がど真ん中に蹴り込み、広がった赤い輪。国士館が次のラウンドへ駒を進める結果となりました。
文字通り"死闘"という言葉がしっくり来るような100分プラスアルファでした。どちらが勝ってもおかしくない流れの中、最後は国士館が今年度の好調を持ち込むような形で勝ち上がりましたが、駒澤もその実力を十分に発揮してくれました。サッカーの色々な要素が詰まった、極上のゲームだったと思います。      土屋

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