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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
昨シーズンはインターハイ、選手権と共に予選で敗退し、悔しい1年となった帝京。今大会は初戦となる準々決勝で国士舘を3-0と一蹴して、2年ぶりの全国へ王手を懸けています。一方、支部予選から続く長い道のりを一歩一歩着実に勝ち進み、準々決勝では優勝候補の呼び声も高かった関東第一を0-1で沈め、19年ぶりの全国へあと1勝まで迫った修徳。オールドファンにとっても胸が躍るような名門対決が、東京2枚目の全国切符を争うカードとなりました。
いきなり動いたスコア。開始わずか3分、このゲームはボランチに入りながら、昨年まではFW起用も多く、攻撃力に特徴のある大野耀平(3年・浦和レッズJY)が右に流れてクロスを送ると、松岡啓太(3年・AZ'86 tokyo-ome)は確実に頭でヒット。これがゴールネットを揺らします。早くも"魂"が炸裂した帝京がアドバンテージを握りました。
さて、早々の失点で追い掛ける展開となった修徳。岩本慎二郎監督は予告通り、関東第一戦はベンチスタートとなった小野寺和也(3年・フッチSC)をスタメンの1トップに戻し、その下へ攻撃を司る大塚竜太(3年・フッチSC)を並べる布陣に戻してきましたが、知念将太(3年・住の江キッズ)を中心に据えた帝京ディフェンスは強固の一言。なかなかエリア内まで侵入させてもらえません。
逆に帝京は前線に入った伊藤遼(3年・岐阜VAMOS)の驚異的なスピードを生かすスタイルで、修徳ゴールに迫ります。また、開始直後からサイドでスローインを得ると、ほぼ100%に近い確率で繰り出されるのが知念のロングスロー。高さに難のある修徳は、常にその脅威にさらされるような格好になってしまいます。
岩本監督も27分にはCBを清水麦(3年・江東第二砂町中)に入れ替え、何とか流れを変えようと試みたものの、シンプルながら伊藤のスピードと知念のロングスローという2つの武器を最大限に利用した帝京が、攻守に圧倒する格好で最初の40分間は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも、ゲームの構図自体は変わらず。帝京は伊藤を筆頭に、松岡や都築洋平(2年・浦和レッズ)、石倉大河(3年・FCトラベッソ)らアタッカーが次々とチャンスを創出し、耐える修徳の各選手にも少しずつ疲労の色が見え始め、いつ追加点が入ってもおかしくないような時間が続きます。
そんな中、69分に訪れた意外なシーン。自陣エリア内で帝京DFがクリアしたボールが味方にヒット。これが手に当たったというジャッジを主審が下し、修徳にPKが与えられます。キッカーはエースの大塚。静まり返るスタンド。全員の耳目が集まる中、10番が蹴ったボールは、しかし無情にも左ポスト直撃。沸き返る帝京応援団。修徳は千載一遇の同点機も生かすことができません。
その後も帝京の堅いディフェンスの前に、シュートまで持ち込めない修徳。おそらく修徳を応援するために集まった方々を含め、スタンドを埋めた大半の観客が勝敗の行方を理解しつつあったであろう77分、突如として覚醒した"駒沢の魔物"。
オーバーラップした三井田陸(3年・南ヶ丘SC)は、帝京DFに挟まれながら本橋瑞基(3年・クリアージュ)へ繋ぎ、本橋は浮き球で大塚へ。大塚が丁寧に落としたボールへ、足を止めずに走り込んでいたのは三井田。打ち切ったシュートはスローモーションのように帝京DFの間をすり抜け、ゴールに吸い込まれます。初めてと言っていい決定機をモノにした修徳。1-1。同点。
異様な空気に包まれた駒沢。止まらない修徳。所定の試合時間が終わる寸前の80分、左サイドを駆け上がった途中出場の石川勇翔(3年・市川第七中)は大塚のリターンを受けると、最高のクロスをファーサイドへ。ここで待っていた本橋が、相手との激突で負傷し、包帯が巻かれていた頭で繰り出した渾身のヘディング。ボールはゴール右スミに、修徳イレブンの確固たる意志をもって飛び込みます。1-2。逆転。逆転。
狂喜と絶望が交錯する中、ほどなく駒沢の夏空を切り裂いたタイムアップのホイッスル。これがフットボール。修徳が"奇跡"と形容するのが憚られるような執念の逆転劇で、全国切符を文字通り勝ち取る結果となりました。
支部予選から数えて8連勝で、東京代表を決めた修徳。支部予選の初戦と2次トーナメント初戦はいずれもPK戦で勝ち上がり、準々決勝、準決勝と優勝候補に競り勝つなど、今大会のパフォーマンスはその結果に見合う素晴らしいものでした。「まだまだやることはたくさんありますよ。東京代表として恥ずかしくない戦いをしないと」と岩本監督。選手権も含めると7年ぶりの全国で、是非古豪復活を高らかにアピールしてきてもらいたいと思います。 土屋
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