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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年05月28日

J2第16節 湘南×徳島@平塚

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hiratsuka0527.jpg2度の4連勝、2連敗、4試合連続ドローと、公式記録に掲載される結果の"記号"が連続する傾向のある4位湘南。間違いなく序盤戦の主役を担っていたものの、現在続いているのは4つの"△"。「天気が良くてサッカー日和」(湘南・チョウ・キジェ監督)の中で行われるホームゲームから、"○"を続けていきたい所です。
一方、なかなか開幕から期待通りの成績を挙げられない日々が続いていたものの、前節の鳥取戦では3-0と快勝を収め、内容、結果両面で大きな手応えを得たように見える徳島。上位を食って、ステップアップの勢いを付けたい一戦です。会場は今シーズンから名前の変わったShonan BMWスタジアム平塚。少し強い風が吹き付ける中、徳島のキックオフでゲームはスタートしました。
開始1分経たない内に右サイドを菊池大介が切り裂き、湘南がまずは前へのパワーを披露しますが、以降はあまり動きの多くない展開に。コイントスに勝って風下を選択した湘南は、「3バックがいつものタイミングよりラインをワンテンポ早く下げていて、距離感が良くなかった」とチョウ監督が話したように、少し全体の重心が後ろ残りになった感があり、今シーズンの特徴でもある、人が人を追い越していくような思い切りの良い飛び出しがあまり出てきません。
一方の徳島は、ここ最近空中戦で無類の強さを誇っていたドウグラスが競り負けるシーンも多く、「2トップをステイさせれば3バックは残るだろう」(徳島・小林伸二監督)というやり方で相手の良さは1つ封じましたが、それと相殺に近い格好で、攻撃の糸口をなかなか掴めません。
そんな中、手数を出していたのは湘南。9分には坂本絋司が、12分には古橋達弥がそれぞれ利き足と逆足でミドルを狙うと、19分には左サイドでハン・グギョン、古橋、鎌田翔雅と細かく繋ぎ、大野和成のクロスはゴールラインを割ったものの、いい形からチャンスを創出します。
すると22分、それまでもチームの貴重なスイッチとして奮闘していた菊池が右サイドを突破してエリア内へ。対応した那須川将大との接触で菊池が倒れると、木村博之主審は躊躇なくペナルティスポットを指差します。キッカーは当然遠藤航。今シーズンに入って任されたPKをすべて決めている19歳の選択は向かって左。ところが、ここに立ちはだかったのは「ビデオはまったく見ていなかった」という徳島の守護神オ・スンフン。「蹴った瞬間に決めて、力を抜いて飛んだ」方向は自分から見て右。つまり遠藤の狙ったコース。直後、平塚を包んだのは緑の溜め息と青の安堵。パーフェクトなシュートストップが飛び出し、スコアボードの数字は動きません。
以降はお互いにサイドを攻略しようという意図は見えるものの、35分の湘南は菊池が、39分の徳島は津田知宏が共に右から上げたクロスも中とは合わず。最初の45分間は0-0のまま推移して、ハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから「2トップもうまくスペースを使うことができた」と小林監督が話した徳島が攻勢に。47分には衛藤裕が左へ展開し、流れた津田のクロスはわずかにドウグラスが合わせ切れませんでしたが、51分にもチャンス。上里一将のFKから、こぼれを拾った花井聖がドウグラスとのワンツーから放った枠内ボレーは、湘南GK阿部伸行がキャッチ。53分にもドウグラスのパスから、衛藤の枠内ミドルは阿部がキャッチ。押し込む時間が続きます。
そんな中、59分にホームチームへ訪れたアクシデント。ドウグラスの抜け出しかけたドリブルをたまらず大野が引っ掛けると、ここも木村主審は迷うことなくイエローカードを提示。4分前にもイエローカードをもらっていた大野は退場処分となってしまい、湘南は残された30分近い時間を10人で戦うことになりました。
さて、「10人になっても勝ち点3を取りに行こうと思っていた」(チョウ監督)湘南は、62分に菊池を下げて猪狩佑貴を右SHへ投入。3-4-2の布陣にシフトします。一方の徳島も67分には宮崎光平に替えて、太田圭輔をそのまま右SHへ送り込み、71分にも花井と斉藤大介を入れ替え、「もう少しサイドを使って」(小林監督)勝ち点3を奪う勝負に出ます。
この交替策は結果的に徳島へより効果が。少し足が止まり始めた湘南を相手にボールは圧倒的にキープできる状況で、斉藤がことごとくチャンスの起点として機能。74分には上里のパスを左に開いて流れた斉藤の右足クロスは、ファーの津田がわずかに頭で捉え切れず。76分、斉藤が右へ蹴り分け、津田のダイレクトクロスをドウグラスもダイレクトで狙うも枠の上へ。79分、斉藤の絶妙スルーパスに太田が抜け出しましたが、昨シーズンは徳島でプレーしていた島村毅が何とかクリア。斉藤や太田が絡み、あと一歩までは到達する徳島も、その"あと一歩"を打ち破れません。
83分には湘南が最後の交替。坂本を下げて、「アイデアと決定力に賭けて」(チョウ監督)中村祐也を投入。84分には徳島も最後の交替。津田とキム・ジョンミンを入れ替え、前にハイタワーを並べる形で攻撃の意図を明確にしてみせます。
ただ、「もう少しゴール前に激しい放り込みでも良かったんじゃないか」と指揮官も振り返ったように、徳島はサイドに回っても簡単に放り込むようなシーンがあまり見られず、むしろ手詰まり気味に。84分は馬場のミドル、87分は中村のミドルと、手数の多さは逆に湘南が上回ります。
89分には右サイドから太田が入れたグラウンダーの素晴らしいクロスも、飛び込んだキム・ジョンミンはわずかに届かず。92分、ここはシンプルなプレーを選択した西嶋弘之のアーリークロス。エリア内でこぼれたボールを太田が素早く叩くもゴール左へ。5分のアディショナルタイムが過ぎ去ると、鳴らされたホイッスルは勝ち点1を分け合う結末の宣告。徳島は展開を考えれば勝ちが欲しかった所ですが、4位とのアウェイゲームという点を考えれば「勝ち点1を持って徳島へ帰れるのは悪くない」(オ・スンフン)結果。湘南も5試合連続ドローとはいえ、「60分以降の戦いも含めて、選手はよくやってくれたんじゃないか」とチョウ監督も話した通り、意味のある勝ち点獲得だったのではないでしょうか。
徳島は「5月はいい形にチームが変わってきている」と小林監督。確かに2週間前の京都戦と比べても、ボールの回りという意味ではだいぶスムーズになってきている印象です。あとは、「SBにボールが出た時にSH、2トップ、ボランチの関係が前半はうまくなかった」と指揮官も話した、数的優位になる前も含めたサイドの崩し。いい形でサイドへボールは入り始めているだけに、ここを突き詰めることが今後の浮上に直結してきそうな印象を受けました。
湘南は少し前に出ていくパワーに陰りがあるように見えました。19分にクロスミスになったものの、大野が高い位置まで侵入したようなシーンが少なかったかなと。「行ける時、行けない時の判断や空気感を選手が自分たちで感じて、判断してやっている時間」を「勝ち点1から3に行く、もがいている状態」と表現したのはチョウ監督。この状態からもう1つステップを上がるには、やはり1つの"○"を得ることが最大にして唯一の方法。仕切り直しとなる6月の湘南にも是非注目したいですね。        土屋

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