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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年05月14日

J2第14節 京都×徳島@西京極

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sanga0513.jpg大木体制も2年目を迎え、チームとしてのスタイルは完全に確立された感のある京都。どうしても攻撃面がクローズアップされますが、実はここ3試合連続完封と守備面の安定感も確実に増している印象です。
対するは、松本に勝って泥沼の9戦未勝利から抜け出すと、前節は熊本に追い付いてのドローと光が見え始めた17位の徳島。苦しい選手起用が続く小林伸二監督も、人や配置を入れ替えながら試行錯誤を続けています。本来はお互いに昇格圏内へ位置しての直接対決が期待されたカードですが、やや対照的な序盤戦となった両者の激突は西京極です。
ファーストシュートは6分の京都。9試合ぶりに宮吉拓実と2トップを組んだ久保裕也が、うまくギャップで受けてドリブルからフィニッシュ。枠は外れたものの、今シーズン初ゴールへの意欲を打ち出します。ところが、そこから次にチャンスらしいシーンを創るまでに要した時間は15分間。「綺麗にやろうとし過ぎる所はあるかもしれない」とその工藤が話したように、ボールキープでは圧倒しているものの、それがそのままゲームの優位性にまでは繋がっていないように見えました。
ただ、この21分のチャンスは宮吉のポストプレーからチョン・ウヨンがダイレクトで裏へ蹴り、工藤が飛び出すも徳島GKオ・スンフンが間一髪でクリアしたシーン。23分にもやはりチョン・ウヨンがラインの裏へ落とすと、右サイドへ走り込んだ中山博貴が折り返し、久保とはわずかに合わなかったものの、続けて似たようなシーンを創出。小林監督も「クサビへのアプローチが遅くて、3人目の飛び出しをちょっと外した」と振り返ったように、いわゆる"ショート、ショート、ロング"からチャンスの一歩手前までは持ち込めるようになっていきます。
30分にも相手のミスから決定的なシーンが。今シーズン初めてのスタメン起用となる徳島のドウグラスが蹴った横パスは短く、工藤がカット。そのまま運んで右へ送ると、受けた久保はフリー。しかし、ここまでノーゴールが続き、やや強引にシュートを打ち急ぐ場面も見られるなど、「焦りはある」と話した18歳の左足シュートは大きく枠外へ。先制とはいきません。
さて、相対的にどうしてもボールを握る時間は短くなる徳島は、せっかく奪ったボールも「中盤で軽率なプレーが多くて」(小林監督)、簡単に失うシーンが散見。また、「サポートを使って、落として3人目みたいな発想がない」 とは指揮官ですが、確かに連動して数本のパスが繋がるような形はほとんどなく、チャンスを創れません。結局、30分以降はお互いに1本のシュートもないまま、スコアレスで前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、やや徳島に勢い。50分には花井聖の右FK、52分には徳重隆明の左CKと、セットプレーから得点機を窺います。ところが、56分にスコアを動かしたのはホームチーム。自陣で相手のアプローチにも持ち堪え、ドリブルで運んだ宮吉が左へ。中山は少し溜めて中へ入れると、「走ってたら前にボールが来た」と話した中村充孝のシュートは「正直カカトに当たった」ものの、ゴールネットを揺らします。後半のファーストシュートで、京都が先手を取りました。
今日も追い掛ける展開を強いられた徳島。61分にはせっかくのCKも、ショートで出した徳重と那須川将大の連携が合わず、相手にかっさらわれるなど、うまくいきません。62分には花井と上里一将を、67分には徳重と今シーズン初出場の太田圭輔を入れ替え、よりサイドアタックを強調するようなカードを切りましたが、71分に飛び出したのは京都の追加点。チョン・ウヨンが右から蹴ったCKへ、フリーで頭から突っ込んだのは秋本倫孝。「セットプレーで取れるのは大きい」とは大木監督。ゲームは2点差となりました。
実は75分までシュートが1本もなかった徳島。76分に小林監督は最後のカードを選択。エースの津田知宏を諦め、高さのあるキム・ジョンミンを投入します。すると、わずか1分後にファーストシュートがゴールへ直結。77分、右サイドで西嶋弘之、濱田武と繋ぎ、太田が鋭いドリブルからクロスを上げ切ると、ボールはドウグラスの頭にハードヒット。「オープンのクロスとリスタートを考えて」スタメン起用した指揮官の期待に応える一発が飛び出し、京都のリードは1点に変わりました。
こうなると一気に形勢が逆転し、1本のシュートすら打てなかった徳島がラッシュ。80分にはドウグラスが落とし、濱田が右から中へ付けると、キム・ジョンミンの反転シュートは枠の左へ。82分、橋内優也のフィードを柔らかいトラップで収めたドウグラスは素早く左足を振り抜き、何とか京都GK水谷雄一がキャッチ。「失点の前辺りから、太田選手が入って基点を創られ、少しうまくいかなくなっていた」と工藤が話せば、「攻められるから2トップが下がってしまい、全体も下がってしまった」とは大木監督。急展開に西京極の雰囲気も一変します。
押し込めば必然的に増えるセットプレーの脅威。83分、那須川の左CKは京都がクリア。88分、西嶋のロングスローも何とか京都がクリア。「やっていて怖かった」と工藤も正直に明かした、徳島の荒れる渦潮。90+2分、オ・スンフンのフィードにキム・ジョンミンが競り勝ち、右サイドを太田が切り裂いてクロス。飛び込んだキム・ジョンミンの鼻先で京都がクリア。
90+3分、那須川の右CKは再び京都がゴールラインにクリア。ラストチャンスとなる那須川の左CKも何とか京都が凌ぎ、カウンターから長沢駿がシュートまでやりきると、程なくスタジアムに響いた吉田寿光主審のホイッスル。負けた徳島の選手より、勝った京都の選手がピッチに座り込んでしまうような終盤でしたが、最後は京都が何とか乗り切って、勝ち点3を手にする結果となりました。
「点を取れた後の意欲的な」(小林監督)15分で最後に意地を見せた徳島は、逆に言うとそれまでの75分に課題が残ります。「もうちょっとシンプルにクロスを上げられれば、京都もキツかったはず」と小林監督。終盤の疲労も色濃い時間帯で、あれだけドウグラスに収まったことを考えれば、結果論ではありますが、もっと早い段階から崩し切る前のアーリークロスを入れた方が、よりゴールの可能性は広がったのかなとも感じました。
勝った京都も実は1試合トータルでのシュートは6本。「うまくできなかったと言わないが、前半から仕掛けるタイミングが遅かった」と大木監督は振り返りましたが、いわゆる決定機は2つのゴールシーンと前半の久保くらい。これで2-0のまま勝利していれば、試合巧者と評されるような展開の中、終盤に「バタバタしてしまった」(工藤)ことに対して、指揮官も「1失点した後はもう少し頑張ってもらわないと」と渋い顔。ラスト15分の形勢が結果と逆だっただけに、何とも不思議な印象を残すようなゲームだったと思います。        土屋

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