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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年05月01日

ACLグループマッチ第5戦 柏×ブリーラム・ユナイテッド@日立台

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ACL0501.jpg太陽王が漕ぎ出した、未知なるアジアへの挑戦もいよいよ佳境。グループリーグもホーム、アウェイ共に1試合を残すのみとなりました。今日は最初のステージにおけるホーム最終戦。開幕戦となったアウェイでは3-2と、打ち合いの末に敗れたタイ王者のブリーラム・ユナイテッドを日立台に迎えます。
現在公式戦は4試合続けて白星から見放されている柏ですが、ゴールデンウィークに組み込まれたこの一戦は、さらなる高みを目指す意味でも「絶対に勝たなきゃいけない試合」(北嶋秀朗)なのは間違いありません。"ホーム"を醸成しようと駆け付けた観衆は8099人。レイソルのチャントと、必要以上に軽快なブリーラムのチャントが交じり合う中、運命の90分間がスタートしました。
立ち上がりから目立ったのはブリーラムの積極性。一応、布陣的には4-2-3-1が一番近い数字だったと思いますが、"3"と"1"はかなり流動的な「0トップに近い状態」(ネルシーニョ監督)。中でもフランク・アチェアンポンとフランク・オハンザのアフリカコンビは「想像以上に速かったですね」と渡部博文も舌を巻く抜群のスピードを武器に縦へ、縦へ。
5分にはスラット・スカのスルーパスに抜け出したティーラトン・ブンマタンは、少しもたつきましたがミドルをしっかり枠内へ。7分には柏もレアンドロ・ドミンゲスが左へ振ると、ジョルジ・ワグネルのクロスに北嶋が頭から飛び込むもGKセーブ。8分は再びブリーラム。フランク・アチェアンポンの強引なミドルは枠の左へ。11分もブリーラム。ジラワット・マッカロムのパスを受けたフランク・オハンザが一気に加速するも、何とか柏ディフェンスがクリア。まずはブリーラムが攻勢に出ます。
このアウェイチームが厄介なのは、「カウンターが特徴なのはわかっていた」と稲田康志や渡部が口を揃えた武器が目立つものの、「カウンターを狙いつつ、結構パスを繋いでくる」とアン・ヨンハが言及したパスワークも高次元で繰り出してくること。左利きのティーラトン・ブンマタンを軸に、しっかりボールを回しながら、縦へのテンポアップに抜群の走力を生かすスタイルでチャンスを創出。逆に柏は攻撃がフィニッシュまで繋がらないこともあって、我慢のディフェンスを強いられます。
とはいえ、15分を過ぎると落ち着きを取り戻したホームチームがしっかりボールを回し始め、ゲームリズムを奪還。19分には相手のミスを拾った北嶋が左へはたき、リカルド・ロボの左足シュートはGKキャッチ。23分には増嶋竜也のロングスローを酒井宏樹が逸らし、ロボのオーバーヘッドが枠を捉えるもGKキャッチ。入れ替わったペース。すると、この流れで仕事をしたのはやはり10番。
23分、右サイドからドリブルを開始したレアンドロを、ブリーラムディフェンスは止められません。用意されたかのような花道をグングン「DFに向かって」突き進むと、ゴール正面から左足で右スミへ流し込む完璧なシュート。ゴール後にユニフォームを捲り上げ、「奥さんの写真の入ったTシャツ」をアピールし、イエローカードをもらったのはご愛嬌。勝利のみが求められる舞台で、エースがきっちり結果を出した柏がまずは先手を取りました。
ところが、この後の柏がピリッとしません。前線に入ったボールは北嶋がほとんどノーミスで収めるものの、「レアンドロとジョルジを、もう少し前を向いた状態で使いたかった」と渡部が話したように、その北嶋に対して、ロボも含めたブラジリアントリオがうまく絡めず、攻撃が停滞。28分に角度のない所からロボが強引に打ったのが、前半最後のシュート。守備面でも「オーガナイズが少し崩れ始めていた」(ネルシーニョ監督)柏を尻目に、再び勢いはブリーラムへ。
30分にはティーラトン・ブンマタンの右アーリークロスをフランク・オハンザが収めるも、何とか柏DFがクリア。34分にはフランク・アチェアンポンのパスを受け、ジラワット・マッカロムの狙いすましたシュートは稲田がファインセーブで回避。41分にはブリーラムのCBヘルマン・イブ・エクワラが2枚目のイエローカードで退場処分となりましたが、終盤はブリーラムが盛り返す格好で、前半は終了しました。
迎えた後半は数的優位もあって柏がボールこそ握ったものの、チャンスに結び付くシーンはなかなか訪れず。53分にはブリーラムベンチが選手を1人入れ替えると、フランク・オハンザが明確な1トップへ。すると、その2分後にアウェイチームが掴んだ決定機。選手交替のタイミングで右SBからボランチに移っていたジャッカパン・カオプロンが絶妙なスルーパス。フランク・オハンザが完全に抜け出して稲田と1対1になりかけると、懸命に戻った増嶋が決死のタックルを繰り出して何とか事なきを得ましたが、10人とは思えないアグレッシブさに日立台も冷や汗をかかされます。
61分にはレアンドロと酒井の連携から最後は北嶋が、64分にはレアンドロのラストパスからロボが、それぞれシュートを放つもゴールには届かず。一方のブリーラムも繋ぐ意識は失わずにいる中で、55分のピンチを受けてからは「割り切って1トップにCBの1枚が付いていくことがハッキリした」(渡部)柏を前にして縦への推進力は削がれ出し、2つの"槍"も沈黙を余儀なくされていきます。
72分にはネルシーニョ監督お得意の2枚替え。ロボと北嶋の2トップを、そのまま工藤壮人と澤昌克にスイッチ。ブリーラムも76分にはサリフ・サイヌイを、82分には奮闘したフランク・オハンザを下げてスリヤ・ドムタイソンを投入したものの、「うまく後ろの4人とコミュニケーションを取りながら、マークの受け渡しはできた」とアン・ヨンハも話したように、相手にチャンスを創らせない柏が終盤に連続攻撃。
85分には工藤とレアンドロの連携から、澤が迎えた決定的なボレーはスリップしてヒットせず。88分に橋本和のフィードを澤が落とし、工藤が狙ったシュートはGKセーブ。93分、ワグネルの左クロスに茨田陽生が合わせたボレーはGKキャッチ。結局、後半はゴールこそ生まれなかったものの、終わってみれば「みんなでカバーしあって、何とか失点を防いだ」とアン・ヨンハも話したように、ブリーラムを完封した柏が、「勝つしかない」(ネルシーニョ監督)ゲームをしっかり勝ち切り、グループリーグ突破へ望みを繋ぐ結果となりました。
ブリーラムはかなりの好チームですね。個々の能力の高さもそうですが、ポゼッションからカウンターへギアを上げるスピードは脅威。ネルシーニョ監督もそれについては「ウチの守備というより相手のスピードが上回ったと私は見ている」と話すなど、切れ味も抜群でした。また、どうしてもフランク・アチェアンポンとフランク・オハンザに目が行きますが、中盤を引き締めていたレフティのティーラトン・ブンマタンも好印象。彼はJリーグでも十分通用するのではないでしょうか。
久々の勝利を挙げた柏は、欲を言えば追加点を奪いたいゲームではありましたが、「勝ちがすべて」(渡部)というシチュエーションでのゲームだけに、勝ち点3の獲得というミッションコンプリートは最高の結果と言っていいでしょう。他会場の結果を受け、最終節は勝てば突破というわかりやすいゲームに。太陽王の航海が続くか否かは、韓国の地ですべてが決まることになります。        土屋

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