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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年04月11日

T1リーグ第3節 東京朝鮮×國學院久我山@東京朝鮮G

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tokyo chosen.jpg既に2節を消化した、東京高校年代におけるトップリーグのT1リーグ。今日は都内各地で第3節の5試合が行われます。その中から足を運んだのは、十条にある東京朝鮮中高級学校グラウンド。共に1勝1敗の東京朝鮮と國學院久我山が激突する好カードです。
今シーズンからT1に昇格してきた東京朝鮮は、開幕節こそプリンス関東から降格してきた駒澤大学高に敗れたものの、第2節は都立三鷹に2-0と快勝。悪くないスタートを切りました。一方、高校選手権での活躍も記憶に新しい國學院久我山は、やはり開幕節で帝京に0-3と完敗を喫しながら、前節は駒澤大学高に、サニックス杯に出場したU-17日本代表の渡邊夏彦(2年・FCトリプレッタ)のアシストから1-0で勝利。星を五分へ戻しています。なお、この2チームは先月のイギョラ杯準決勝でも対戦しており、その時はPK戦で國學院久我山が勝利。1ヵ月経たずして、公式戦での再戦となりました。
照明に灯が点る18時にキックオフされた一戦は、立ち上がりから「この間の対戦と同じように」(東京朝鮮・高隆志監督)まずは東京朝鮮がラッシュ。2分、キム・デセン(3年・ジェファFC)のパスを受けたハン・ヨンジュン(3年・東京朝鮮第一中)のシュートは枠の左へ外れたものの、2トップでフィニッシュを取ると、4分にはパク・スンヒョク(3年・東京朝鮮中)が枠内ミドル。勢いを持ってゲームに入ります。
すると、早くもスコアが動いたのは8分。ホン・ユングッ(3年・東京朝鮮中)のパスを、コ・ジャンギ(2年・ジェフユナイテッド千葉JY)、ハン・ヨンジュンと繋ぎ、最後はキム・デセンが右足一閃。これが左スミへ突き刺さり、東京朝鮮が先手を取りました。
以降も流れはホームチーム。9分、後方からのフィードをハン・ヨンジュンが頭で落とすと、コ・ジャンギのシュートは枠の右へ。16分にはやや左寄り、ゴールまで約25mの距離で得たFK。コ・チファン(3年・東京朝鮮中)が小さく出して、コ・ジャンギが狙ったミドルはわずかにゴール右へ。20分、コ・ジャンギからのリターンを受けたハン・ヨンジュンの左足シュートは枠の右へ。前への推進力にシュート意識の高さも相まって、次々にチャンスを創出します。
さて、昨シーズン同様のスタイルを貫く久我山は、しっかり後ろから繋ぐものの、縦へのスイッチがなかなか入らず、攻撃の手数は増えていきません。27分には富樫佑太(2年・ジェファFC)、渡邊、富樫と細かく繋ぎ、最後は3トップのセンターに入った佐藤敦郎(3年・Forza'02)がターンから左足で狙うも、東京朝鮮GKハン・ホリョン(3年・東京朝鮮第四中)がキャッチ。逆に32分には長いドリブルからコ・ジャンギに、同じく32分にはパク・スンヒョクのスルーパスからキム・デセンにシュートを許すなど、リズムが出てきません。
ところが35分に飛び出したイメージのシンクロ。右SBに起用された花房稔(1年・横河武蔵野FC)のクサビを、富樫はワンタッチで小さく右へ。ここに全力で走り込んでいた渡邊は、素晴らしいトラップから確実にゴール左スミへ流し込みます。3人が描いた完成図の確かさと、流れの悪い中でも常に縦へのサポートを繰り返していた渡邊の献身が呼び込んだ同点弾。1-1で最初の45分間は終了しました。
後半も先にチャンスを掴んだのは久我山。50分、山内寛史(3年・Az'86tokyo-ome)、渡邊、佐藤とボールが回り、富樫のシュートはハン・ホリョンにキャッチされましたが、"らしい"形で好機を掴むと、その後もアンカーの平野佑一(2年・東京ヴェルディJY)と渡邊を中心に、縦と横をうまく使い分けたパスワークで、ゲームの主導権を握ります。
一方の東京朝鮮は「ハン・ヨンジュンが飛び出すだけになってしまい、キム・デセンが孤立してしまう」(高監督)中で、ボールを高い位置へ運べなくなっていきます。66分には中盤でのボール奪取からカン・ヨンデ(3年・東京朝鮮中)が右へ送るも、キム・デセンのシュートは枠の左へ。67分にゴールまで約25mの位置からパク・スンヒョクが直接狙ったシュートは、久我山GK山本幸汰(3年・ジェファFC)がファインセーブで阻止。単発とはいえ、個の力で相手に脅威を与えるものの、得点には至りません。
75分を過ぎると、後半開始直後からポツポツと降り出していた雨が勢いを増し始め、人工芝のピッチにも少し水が浮くような状態に。そして、この強い雨が文字通り"呼び水"となり、次のゴールが生まれたのは77分。中央をドリブルで運んだパク・スンヒョクのスルーパス。キム・デセンは右に流れながらワンフェイクでGKを外すと、無人のゴールへ丁寧に流し込みます。「彼は点を取れる選手」と高監督も話したエースの2点目は勝ち越し弾。東京朝鮮が再びリードを奪いました。
ところが、そのアドバンテージは1分で霧散。78分、右サイドの深い位置から平野が入れたFKをファーで石井大輝(3年・ジェファFC)が折り返すと、最後に押し込んだのは巽豪(3年・横河武蔵野FC)。CB2人の連携ですぐさま追い付いてみせた久我山。これには「ヘディングではそんなに負けていなかったのに、あの時だけやられてしまった」と東京朝鮮の高監督も悔しさを滲ませます。
そして、にわかに激しく動き出したゲームへ決着を付けたのはこの日一番のゴラッソ。82分、東京朝鮮は左サイドで「ビッグチャンスを取られて」(高監督)一転、久我山のカウンター。ドリブルを開始した富樫はわずかに運ぶと、ゴールまで40mはあろうかという位置から、流れるようなスムーズさでシュートを放ちます。美しい放物線を描いたボールが、雨を切り裂きながら着地点に選んだのはゴールネットの中。1年生アタッカーとして臨んだ選手権の舞台でも全3試合でスタメン出場を果たした16歳のスーパーな一撃は、逆転ゴールであると同時に決勝ゴール。雨中の激闘は、粘り強くスコアを引っ繰り返した久我山に軍配が上がる結果となりました。
かなりの好ゲームだったと思います。久我山は昨年のレギュラーを軸に、早くもスタイルをある程度確立。仕上がりは昨年より早そうな印象を受けました。また、平野と渡邊の2年生コンビは、余裕すら感じさせるボール捌きで、チームを動かす存在として躍動。今年も東京を牽引していくのは間違いなさそうです。
東京朝鮮もキム・デセンとハン・ヨンジュンで組んだ2トップやパク・スンヒョク、コ・チファンなど、攻撃に力を発揮する"個"の煌めきは随所に見られました。あとは「今は1+1が1か2くらいだけど、それを3に持っていける意識をみんなが持ったらいいチームになる」と高監督も触れたように、連携面のブラッシュアップが進めば、かなり面白いチームになりそうです。途中からは激しい雨に心が折れかけましたが、今後も注目していきたい2チームの"今"をチェックすることができ、かなり収穫の多いゲームでした。      土屋

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