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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年04月30日

J2第11節 東京V×山形@味スタ

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verdy0430.jpg京都、湘南と上位対決に連敗して福岡のアウェイに乗り込んだ前節は、スタメンからキャプテンの小林祐希と杉本健勇を外し、1-3と3試合ぶりの勝利を手に入れた東京V。現在4位と、苦手の序盤戦で上々の滑り出しを見せています。
対するは、奥野僚右新監督の下で攻守にハードワークし続ける4-3-3が機能し、ここまでわずかに2敗と堂々の2位に付けている山形。前節の栃木戦も、終盤に途中出場の太田徹郎が決勝ゴールをマークして、現在は4連勝中。1シーズンでのJ1返り咲きに向けて、開幕ダッシュに成功しています。会場はおなじみの味スタ。4位と2位の昇格候補直接対決は山形のキックオフで幕が上がりました。
まず、攻撃の時間を先に創ったのは東京V。ドイスボランチを組んだ梶川諒太と和田拓也は、小林のような一発のサイドチェンジこそないものの、特に梶川は短い距離を動いて受けて、小刻みなパスワークを演出。7分には中谷勇介のドリブル突破を起点に、最後は小池純輝が枠内へ飛ばすミドル。9分、右サイドからドリブルで運んだ阿部拓馬のシュートは枠の左へ。2つの手数を繰り出します。
とはいえ、以降はホームチームもなかなか攻撃をシュートで終われない展開に。「クサビを中盤から当てられなかったことがよかった」と山形のアンカーに入った宮阪政樹が話したように、横にはパスが回るものの、ジョジマールと阿部への"縦"を使うシーンがあまり多くなく、攻撃をテンポアップさせるポイントを打ち出し切れません。
一方の山形も、「入り方はあまりよくなかった」と3トップの右に入った中島裕希。その3トップにいい形でボールが入るシーンはほとんどなく、19分に宮阪が左へ振り分け、石川竜也が上げたアーリークロスは中島に届かず。26分には小林亮のクサビを萬代宏樹がスルー。山崎雅人が右へ落とし、走った萬代が早めに入れたクロスも東京VのGK柴崎貴広がキャッチ。ようやくサイドから創った形もシュートには繋がりません。
30分には東京Vにチャンス。ここも中谷を起点にして、左サイドから小池がマイナスに折り返すと、ここに待っていたのは阿部でしたが、J2屈指のストライカーはまさかのシュートミス。決定的になりかけたシーンも、決定機には至りません。
32分も東京V。梶川の右CKをファーで深津康太が頭で触り、阿部が折り返したボールは山形のクリア。37分も東京V。梶川の右CKから、最後は西紀寛が狙ったボレーも山形ディフェンスがブロック。4本のCKと7本のシュートで攻め立てるホームチーム。
ところが、手数という意味では劣勢の中で、「決定的なシュートは打たれていない。割り切ってやることはできた」(宮阪)という山形が突如として牙を剥いたのは40分。石川の横パスから、前節もミドルを叩き込んだ秋葉勝が、距離のある位置からチームのファーストシュートを右スミへ。柴崎も懸命に飛び付いて掻き出しましたが、このCKがもたらしたのは青白の歓喜。
石川が右から蹴り入れたボールをニアで萬代が触ると、そのままゴールのファーサイドへ吸い込まれていきます。「ああいった形で得点できたのは、サッカーの面白さで、サッカーの1つの側面だと思う」とは奥野監督。「ウチのペースでできたとは思う」と川勝良一監督も振り返る中、前半唯一のシュートシーンで先制したアウェイチームが、1点をリードして最初の45分間は終了しました。
迎えた後半は開始から山形に交替が。宮沢克行が下がり、船山祐二がピッチイン。中盤のメンバーに変化が付けられます。それでも相変わらず攻撃の手数は東京V。49分、西、阿部と繋がり、中谷が狙ったボレーはヒットせず。50分、阿部が粘って創ったチャンスから、和田が打ち切ったミドルは枠の左へ。55分、西、梶川と繋いで、阿部がほぼノーステップで繰り出したミドルは、右のゴールポストを強襲。前半よりも「攻撃のスイッチが入るイメージ」と宮阪が評した阿部が流れの中で躍動し始めた東京Vに、ゴールの予感が少しずつ漂い始めます。
前半同様にシュートの少ない山形が、後半最初のシュートを記録したのは62分。石川のフィードを「みんなで守って、みんなで攻撃しようというチームですから」と笑顔を見せた中島が粘って繋ぐと、飛び込んできた船山がシュート。これは東京VのDFがブロックしたものの、こぼれは山形へ。萬代が左足ボレーで枠を捉えると、柴崎は何とかセーブ。少ないチャンスながら、きっちりと決定機を創出してみせます。
スコアの動かない展開で、次に手札を切ったのは川勝監督。63分、ゲームに入り切れていなかった印象のジョジマールに替えて、前節から戦列に復帰した巻誠一郎を送り込み、高さというアクセントを加えに掛かりました。そんな中で追加点は突然に。
69分、GKの清水健太が長いボールを蹴ると、何でもないシーンでしたが、柴崎と土屋の連携がうまくいかず、ボールは「ずっと裏は狙っていた」中島の足元へ。少し運んで「何も考えずに」左足で押し出したシュートは、見事にゴール右スミへ転がり込みます。後半2度目のチャンスを確実に結果へ結び付けた狡猾さ。リードが広がりました。
割り切れない2失点で苦しくなった東京V。71分には小池と杉本を、75分には梶川と小林を入れ替え、杉本と巻のハイタワー2トップへ移行。中盤も小林を頂点に、右が西、左が阿部、アンカーに和田のダイヤモンド気味に変えて、ビハインドを追い掛けます。しかし、焦りの見えるチームはどうしても単調なロングボールやミドルが増えてしまい、チャンスの数も減少。77分に小林が枠へ飛ばした強烈なミドルも清水が冷静にストップ。「外からえぐられる方が怖かったが、ワンパターンになったのでラッキーだった」とは宮阪。時間ばかりが経過していきます。
加えて、特筆すべきは山形の止まないハードワーク。「奥野さんからも『行け!』って言われるんで、それも闘争心を奮い立たせてくれる」と中島が話したように、全員が攻守に渡って走り続けるのはもちろん、「人数が足りていても、危ないと思ったら動くことができている」と指揮官も誇らしげに語った"状況判断のハードワーク"も抜群。
86分に中谷のアーリークロスを杉本が落とし、西が走り込んだシーンも、西河翔吾が体を投げ出してブロック。「ここがチャンス、ここがピンチと感じる力が少しずつ付いてきた」と奥野監督も評価した山形が、相手の3分の1より少ない5本のシュートで2点を奪って、勝ち点3をアウェイで手にする結果となりました。
東京Vは「後半もそんなに悪いプレーはたくさんなく、連戦でもよく動いてくれた」と川勝監督も話したように内容自体は悪くなく、勝ち点0というのは納得のいかない結末かもしれません。「昇格を実現させる"ちょっとしたこと"にまだ弱さがある」と指揮官は言及しましたが、今日に関しては相手の術中にハマってしまったとしか言いようのない、何ともスッキリしない敗戦となってしまいました。
山形は「自分のできることをしようという、自分たちの意思」(奥野監督)が明確になっている印象で、宮阪も「今の戦い方にどんどん慣れてきている」と話しています。「連戦になればなるほど、隙を突くことが大事」とは、準備を怠らなかったことで、"隙を突く"ゴールを挙げた中島。5連勝という数字にも頷ける、シュート5本の見事な90分間でした。        土屋

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