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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年04月28日

J2第10節 町田×松本@野津田

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machida matsumoto.jpg今シーズンからのJ2参入組直接対決はお互いに「勝たなくてはいけない」(松本・野澤洋輔)一戦。このタイミングで町田と松本が激突します。
4連敗とJリーグの厳しさに直面しながら迎えた前節は、昇格の有力候補と目されている甲府のアウェイに乗り込み、勝ち点1を獲得。復調の兆しを掴んだかに見える18位の町田。一方、アウェイで熊本を0-3と一蹴すると、前節の千葉戦も終盤に多々良敦斗が挙げたゴールで1-0と連勝を飾り、15位に浮上した松本。「順位も近い相手」(野澤)という要素も、このゲームの重要性を一層強くしています。共に紆余曲折を経て辿り着いた舞台での再会は、町田のホーム・野津田でキックオフを迎えました。
開始から1分経たずに、FKとCKのチャンスを得たのは松本でしたが、先に決定機を掴んだのは町田。3分、「今年初めてのナイトゲーム」(松本・反町康治監督)と雨の影響もあってか、何でもないようなハイボールを松本3バックのセンターを務める飯尾和也は処理しきれず、拾った北井佑季がフリーでフィニッシュ。野澤が体を張ってセーブしましたが、松本の隙を町田が突いてみせます。
ところが、実はこれが前半の町田は最初で最後のシュート。以降は松本が優位にゲームを進めていきます。この要因は、町田のファウルが増えて松本のFKが増加したこと。「我々はボールを大事にしているチーム」(町田・オズワルド・アルディレス監督)にもかかわらず、「ほとんどパスを繋ぐことができなかった」(同)苛立ちにスリッピーなピッチも加担してか、町田は自陣でファウルを連発。
10分にはFKの流れから獲得した松本のCK。船山貴之のキックは喜山康平と多々良を経由して、小松憲太が枠内シュートまで。13分にも、喜山のFKから鐵戸裕史が左クロスを入れると、塩沢勝吾が頭で折り返し、町田が何とかクリア。16分にも、やはり喜山のFKから最後は鐵戸が枠内ミドル。チャンスが続きます。
町田のパスワークを封じる格好になった松本。ドイスボランチの一角に入った喜山にそのことを聞くと、「2トップ下を置くということは、その選手に前を向かせて攻撃したいということ。なので、ボランチは1枚が2トップ下の16番(庄司悦大)を見て、もう1枚が前に出ていくようにしていた」とのこと。このケアがハマったことで、「16番が下がる形が多かった」(喜山)ために、町田のボールの回りが停滞したことへと繋がった印象です。
逆に松本側から見た好リズム醸成の要因は、3トップの中央に入った塩沢が、かなりの確率で空中戦に勝っていたこと。27分には喜山の左クロスから、その塩沢がヘディングでゴールを狙うと、30分にも左へ流れた塩沢が絡んで弦巻の決定機を演出。ここは町田GK修行智仁のビックセーブに阻まれましたが、サイドもある程度機能し始めた松本の続く攻勢。
32分には玉林睦実を起点に、弦巻のラストパスから船山が果敢にミドル。33分はまたも玉林のクロスから弦巻が潰れ、こぼれを拾った小松のミドルはわずかにゴール左へ。アルディレス監督が「非常に悪い時間だった」と総括した前半は、スコアレスながら松本が終始ペースを握る形で45分間が経過しました。
後半はスタートから動いたアルディレス監督。ボランチの柳崎祥兵に替えて、鈴木崇文を2トップ下へ投入。庄司を1列下げた並びへ修正してきました。それでも、先にチャンスを創ったのは松本。48分、弦巻のスルーパスから抜け出した塩沢の1対1は修行がファインセーブ。52分、玉林の右クロスから船山のボレーはクロスバーの上へ。ジリジリと町田を追い込んでいきます。
この直後、アルディレス監督は早くも2人目の交替を決断。「ボールをチームとして保持するために」庄司を諦め、コリン・マーシャルをそのままの位置へ送り込みました。すると、この布陣変更は結果的に奏功。引き過ぎることなく、高い位置でうまくボールを引き出した鈴木崇文と、シンプルにボールを動かしたマーシャルが触媒となって、敵将の反町監督も「後ろの選手同士で動かすパスがジャブになって、対応が少し遅れてきた」と話したように、ようやく町田にパスワークが甦ってきます。
60分から64分の間には実に4本のCKを集め、3本目のチャンスでは鈴木崇文のショートコーナーから、藤田泰成が右サイドをえぐって折り返すも、中とは合わず。68分のチャンスもCK。鈴木崇文が左から蹴ったボールを野澤がファンブル。拾った太田康介の決定的なシュートは、しかしクロスバーのはるか上へ。スコアは動かないものの、町田がこの時間帯は主導権を持ってゲームを進めていました。
ところが、75分にスコアを動かしたのはアウェイチーム。中盤でマーシャルのミスを見逃さなかった「いつもダイレクトや2タッチのパスを狙っている」喜山が、狙い通りのダイレクトで出したスルーパス。反応した船山は「GKを抜こうと思って」左へ持ち出すと、修行ともつれて転倒。長谷拓主審はこれをPKと判断します。千載一遇の先制機にキッカーは船山。自らの右側へ飛んだGKを尻目に、ど真ん中へ突き刺さる完璧なキック。少し劣勢に立たされていた松本がリードを奪いました。
終盤の攻防は町田が意地のラッシュ。86分には太田が左へ振ったボールを津田和樹は中へ。鈴木崇文が切り返して放ったシュートは、DFに当たってわずかに枠の右へ。87分、鈴木崇文の右CKはニアで平本一樹がヘディング。ボールはきっちり枠を捉え、野澤も外したものの、カバーに入っていた多々良が決死のクリア。
船山に替えて渡辺匠を送り込み、「フォアリベロみたいにさせてバイタルを少し潰した」(反町監督)という守り切るための施策も全員がしっかり理解し、「連携や準備の部分で良いディフェンスができている」と野澤も胸を張った堅陣は最後まで崩れず。松本が「90分間通じて支えてくれていると感じる」と弦巻が話したサポーターへ、勝ち点3と3連勝をプレゼントする結果となりました。
アルディレス監督が「2つの異なる時間があった」と話し、反町監督が「どっちに転んでもおかしくない試合」と振り返ったように、お互いがペースを奪い合う拮抗したゲームだったと思います。ただ、松本からすると「後半残り15分から町田はガタッと落ちる」(反町監督)のは想定済み。加えて、アルディレス監督は3枚目の交替カードを57分という早い時間で、負傷した薗田淳と加藤恒平の入れ替えに使わざるを得ず、今日はベンチに控えていた勝又慶典というジョーカーを切れなくなってしまったことも、町田にとっては終盤のパワー不足に直結したと言えそうです。参入組同士の直接対決は、「残り15分にパワーを出してできる力」(反町監督)で今日は上回った松本に軍配が上がりました。         土屋

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