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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
先週から開幕したプリンスリーグ関東。今シーズンもディビジョンでは1つ上に当たるプレミアイーストに勝るとも劣らない、ハイレベルな戦いが期待されています。今日は優勝候補同士の直接対決が行われる日立台へやってきました。
ユース年代の七不思議に数えられていた感さえあった、"柏U-18はプリンスになかなか参入できない"というジンクス。しかし昨年、念願のプリンス関東2部昇格を果たした柏U-18は、12勝2分けと圧倒的な成績でブロック優勝。早くも関東のトップディビジョンに挑戦する権利を獲得しました。
一方、プリンス関東3連覇という偉業を引っ提げ、勇躍乗り込んだプレミアイーストでは、ケガ人続出などでなかなかベストメンバーが組めず、最終節で無念の降格となってしまったFC東京U-18。とはいえ、新キャプテンの野沢英之(3年・FC東京U-15深川)や川上翔平(2年・FC東京U-15深川)など、年代別代表に選出されている選手も多く、1年でのプレミア復帰に意欲を燃やしています。
ちなみに開幕節は川崎U-18との"コラシコ"を4-1で制した東京に対して、第1節が4月22日に組み込まれている柏はこのゲームが実質の開幕戦。昨日の荒天から一転、春の気配に包まれた日立台。ビッグマッチはFC東京のキックオフでスタートしました。
立ち上がりから目立ったのは東京のハイプレス。斎藤涼汰(3年・FC東京U-15深川)と岩田拓也(3年・FC東京U-15むさし)で組んだ2トップの果敢なチェイスをスイッチに、ボールを回す柏へ圧力を掛け、奪ったら素早く縦へという形を敢行。3分には左サイドからのFK、11分には右サイドからのCKを共に川上が蹴り入れ、チャンスを創ると、16分にはファーストシュート。左サイドで二瓶翼(3年・FC東京U-15深川)とのパス交換から川上が右足で枠へ飛ばし、柏GK中村航輔(3年・柏レイソルU-15)にセーブを強いると、21分にもチャンス。川上が"レーザービーム"を左へ送り、SBの吉田一彦(3年・FC東京U-15むさし)は中へ。1人かわした二瓶のミドルは枠の右へ。惜しいシーンを創出します。
対する柏は「今年に入ってからはずっとアンカーをやっている」(柏・下平隆宏監督)という秋野央樹(3年・柏レイソルU-15)を中心にボールこそ回りますが、「マンツーマンでガッチリ来た中で、3トップのサイドに相手のSBがプレッシャーを掛けに来ていて、それをまともに食らっちゃってた」(下平監督)こともあってか、前にボールが入りません。
24分のチャンスも東京。鋭いクサビを岩田がダイレクトで左へ落とすと、受けた斎藤は力強くドリブルで運び、シュートチャレンジ。ボールは枠の左へ外れましたが、ボールのキープ率とは裏腹に、序盤は間違いなく東京がペースを掴んでいたと思います。
ただ、なかなかシュートまで持ち込めなかった柏も、28分に秋野の右FKに飛び込んだ伊藤光輝(3年・柏レイソルU-15)が頭で合わせ、ようやく1本目のシュートを記録すると、この前後から「誰が相手を引っ張って、誰が空いたスペースに抜けていくかが、少し整理されてきた」(下平監督)ことで、広範囲に動く3トップ中央の川島章示(3年・柏レイソルU-15)がうまくボールを受け始め、全体のボールリズムがスムーズに。29分には秋野のクサビから、31分には伊藤のドリブルから、いずれも川島が枠内シュートを放つなど、東京ゴールへ迫ります。
すると、33分に飛び出したファインゴール。柏は最終ラインでのボール回しから、御牧建吾(3年・柏レイソルU-15)が鋭く縦へ。秋野は巧みなターンから右へ振ると、吉川修平(3年・柏レイソルU-15)もすぐさま中へ送り、受けた川島が右へ流れながら右足でズドン。「動かしながら縦に入れてスピードアップ」(下平監督)という狙いを見事に体現したホームチームが、まずは先制ゴールを奪ってみせました。
やや押し込まれたタイミングで失点を許した東京。今シーズンから取り組んでいる、ボールを繋ぐ意識も見て取れるからこそ、一層際立つのは川上の高精度レーザービーム。43分にも川上の素晴らしいサイドチェンジから、右サイドの深い位置へ侵入したSBの青木啓輔(2年・FC東京U-15むさし)がマイナスに折り返し、野沢のフィニッシュは枠の右へ外れたものの、好機を創出。お互いに持ち味を発揮した前半は、柏の1点リードでハーフタイムへ入りました。
後半は開始わずか25秒で柏に決定機。川島は小林祐介(3年・柏レイソルU-15)とのワンツーから、思い切り良くシュート。ボールはわずかに枠の右へ逸れましたが、いきなり観衆を湧かせます。ところが、ここからはお互いになかなかフィニッシュを迎えられない展開に。仕掛けどころを見定める柏に対して、少し弱まりかけた東京のプレスも持ち直したものの、攻撃の手数を繰り出すまでには至らず、膠着した時間が続きます。
先に動いたのは下平監督。65分、練習で目をケガしたためにスタメンを外れた中川寛斗(3年・柏レイソルU-15)を「使わないようにしてたんですけど、停滞していたんで」、伊藤に替えて投入します。2分後には東京の本吉剛監督も決断。伊藤と斎藤を下げて、右SHに小泉将来(3年・FC東京U-15深川)を、前線に矢島輝一(2年・FC東京U-15むさし)を送り込み、ゲームを動かしにかかりました。
そして、この交替策が奏功したのは柏。「流れが明らかに変わりましたね」と下平監督も言及したように、中川が持ち前の"受けて捌いて"を繰り返し、トライアングルが多発。71分には吉川のスルーパスから、その中川が強烈なミドルを枠内へ。ペースを再び引き寄せます。
そんな中、次に生まれたゴールはやはり柏。72分、秋野が蹴った右CKをファーで拾った新藤菜央(3年・柏レイソルU-15)は柔らかいクロス。これを頭で合わせたのは中谷進之介(2年・柏レイソルU-15)。「課題だった"高さ"も『ヘディングボールは中谷に合わせろ』というくらいになった」と下平監督も評価している、スタメン唯一の2年生が貴重な追加点。リードが2点に広がると、畳み掛ける柏。
1分後の73分、相手最終ラインの乱れを見逃さなかった吉川が高い位置でボールを奪うと、そのまま独走からGKもかわして無人のゴールへプッシュ。3-0。勝敗の行方は決しました。
何とか一矢を報いたい東京は、アディショナルタイムに入って反撃。91分、右サイドの小泉を起点に矢島がファーサイドへ。8分前に投入されていた岸寛太(2年・FC東京U-15深川)はうまいトラップからシュートを放ちましたが、ここは絶妙なタイミングで飛び出した中村が体でセーブ。93分、相手のクサビを前に出て野沢がインターセプトすると、拾った岸のやや強引なミドルは枠を外れ、万事休す。「ウチにとっては開幕戦だし、勝ち点3を取るのが目標だったので良かった」と下平監督も話した柏が、新しいカテゴリーへの挑戦を白星スタートで飾る結果となりました。
東京は相手のパス回しにも焦れずに、90分間通じて一定以上の強度でプレスを掛け続けた点は印象に残りました。また、結果的には3失点したとはいえ、五勝出竣仁(2年・FC東京U-15むさし)と柳澤優芽(2年・FC東京U-15むさし)で組んだCBを中心に、守備組織も安定してきているように感じます。ベースとなる守備面がここまで来ていれば、チームのスタイルチェンジには少し時間が掛かるかもしれませんが、噛み合ってからのチームにはかなり期待できそうですね。
柏は昨年から今の3年生が主力を担ってきただけに、「完成度はだいぶ高くなってきている」という下平監督の言葉にも頷けます。今日は「マンツーマンで来る相手に、どうしてもまだてこずる所がある」(下平監督)という一面も顔を覗かせましたが、前半途中からは川島の生かし方を少し変えて結果的にゴールを奪うなど、チームとしての柔軟性も兼ね備えています。「どんどん勝ち続けて注目されていきたいですね」と下平監督。今年もユース年代を掻き回す存在になるのは間違いなさそうです。 土屋
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