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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年03月20日

J2第4節 町田×熊本@野津田

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machida0320.jpg待ちに待った"野津田"の開幕。町田の地でサッカーを志した者ならば、「小学生の頃から決勝とかはここでプレーしてきた」と地元出身の津田和樹も語る、聖地とも言うべきスタジアムで、ついにJリーグの公式戦が行われる日がやってきました。
前節のアウェイ鳥取戦では、新加入の平本一樹がJリーグ初ゴールを奪い、地域リーグからチームを支えてきた勝又慶典が途中出場で圧巻の2ゴールをマークするなど、昇格後初勝利を快勝で記録した町田。勢いそのままに今日はホームでの初勝利を狙います。
一方、こちらも鳥取を第2節で下して勝ち点3を獲得したものの、前節の京都戦は完敗に近い内容で敗れた熊本。システムやメンバーもまだ見定めているような印象があり、まずは勝利を積み重ねていくことでチームのベースアップを図っていきたい所でしょう。町田からすれば「本当の意味でのホーム開幕戦」(北井佑季)に集まった4351人が見つめる中、熊本のキックオフでゲームはスタートしました。
お互い慎重に立ち上がった一戦は、まず熊本に攻撃の手数。9分、町田のCBに入った田代真一のミスパスを奪い、片山奨典が縦へ。受けた武富孝介のシュートは町田ディフェンスが何とかブロック。13分、養父雄仁、武富と繋いで、左から片山が中へ。ここも武富が絡むと、最後は町田GK相澤貴志がパンチングで逃れたものの、チャンスを創出します。
一方、「守る時は5バックになるんで、3バックとは言っても4バックより堅くなる」(勝又)熊本を相手に、ボールこそある程度は回るものの、なかなかフィニッシュを取れない町田のファーストシュートは14分。鈴木崇文の右CKを、ニアで田代が合わせたヘディングは枠の左へ外れましたが、1つチャンスを創ると、15分にも田代がミドルにチャレンジ。ようやく町田のサポーターも沸くシーンが生まれます。
この時間帯はボールが回る分だけ町田ペースにも思えましたが、主導権はお互いに取り切れないような展開。「町田さんはDFラインが非常にコンパクトで高い分、ウチに速攻を狙う意識があったのかなと思う」と高木監督が話し、「今は全員が引いてから守ることが多い。相手にやらせておいてショートカウンターが監督は好き」と勝又も話したように、両チーム共に比較的前へとシンプルに運んでいく形が多く、繋いで崩す形というのはなかなか生まれません。
これに拍車を掛けたのは、「意識して高い位置を取っていたし、なるべく高い位置からプレスを掛けに行った」と片山が話した熊本WBのポジショニング。これは片山と逆サイドの筑城和人にも当てはまり、サイドの攻撃における特徴を消し合うような時間が続きます。
その状況下で、徐々に存在感を発揮したのは町田のボランチに入った柳崎祥兵。「コリン(・マーシャル)の方が後ろ気味というのは言われているので、僕は前で動き回っている」と2人のバランスを説明する15番は、28分にスローインの流れから最後は果敢にシュートを放つと、30分にも鈴木のFKを相手に奪われた流れから、逆カウンターに素早く反応。田代とのワンツーで右サイドを抜け出すと鋭いクロスを送り、勝又にはわずかに合わなかったものの、「僕のポイントでもある運動量」を生かして前への推進力を披露。チームに攻めるリズムをもたらします。
36分には津田のパスミスから、熊本の白谷建人がシュートまで持ち込み、スタンドをザワつかせるシーンもありましたが、終盤は「前半は動かない展開になることが多い。そういう時は割り切ってやっていこうと、前々節くらいから言っている」(津田)というホームチームが少し流れを掴んだ格好で、最初の45分間は終了しました。
迎えた後半も、先に飛び出したのは町田。49分、藤田泰成のうまい縦パスに反応した勝又が右からクロス。ファーに詰めていた柳崎のシュートは枠の左へ。51分には庄司悦大の左CKをニアで津田がフリック。シュートまでは繋がらなかったものの、いい流れは継続されていくと、アルディレス監督も早々に交替策を敢行。55分、コリン・マーシャルに替えて北井を左SHへ送り込み、鈴木を右SHに、庄司をボランチにそれぞれスライドさせます。
すると、それが奏功したのはわずかに4分後。59分、相手のイージーなパスミスを奪った平本は左へ展開。勝又は「ファーにパスしようとしたが、DFに足を出されたらコントロールが長くなっちゃって」強引にシュートを放つと、DFに当たったボールは「うまいこと僕の所にボールが転がってきたなと」振り返る、替わったばかりの北井の足元へ。冷静に、そして丁寧に左足で振り切ったボールは、ゴール右スミへ飛び込みます。自分の投入時期を「0-0という、一番ワクワクする状況」と捉えていた22歳の一撃は、記念すべきJリーグ昇格後初のホームで挙げたゴールと同時に、ゲームを動かす貴重な先制弾。町田がリードを奪いました。
さて、「アンラッキーなのかわからないが、非常に残念な失点」(高木監督)でビハインドを背負うことになった熊本は、ある程度プレスも機能していた中で、「ボールをいい形で奪っているにもかかわらず、次のファーストボールをミスしたり奪われたりしていた」と指揮官も渋い顔を浮かべたように、攻撃の構築がうまくいきません。
67分には藤本主税に替えて、ボランチへ根占真伍を投入し、養父を一列前に押し出すと、69分にはその養父が左足で枠内ミドルを飛ばしましたが、相澤が確実にセーブ。75分には筑城と入れ替えたチェ・クンシクを白谷と並べ、その下に養父を置く3-4-1-2気味にシフトすると、78分には白谷が左から折り返したボールをチェ・クンシクが落とし、養父の狙ったシュートは、しかしクロスバーの遥か上へ。1点が重くのしかかります。
逆に町田は68分に庄司との交替でボランチに入った太田康介が、持ち前の大きな声と確実な潰しで、チームの安定感を増強。「ゼロで行けるっていう自信が凄くあるから、1点取った後の守備にみんな余裕がある」と言及したのはキャプテンの勝又。80分以降はしたたかなゲーム運びで、着実に時計の針を押し進めていきます。
89分には熊本にセットプレーのチャンス。左寄り、ゴールまで約30mの位置から養父が狙ったキックは、立ちはだかる熊本のカベが弾き返すと、アディショナルタイムの3分も使い果たし、万事休す。「試合を重ねるごとによくなっていると思う。ここまでで(試合数は)少ないがベストゲーム」とアルディレス監督も手応えを口にした町田が、Jリーグホーム初勝利の歓喜を野津田の"住人"たちと分かち合う結果となりました。
熊本は「攻撃を最後にシュートで終わり切れないのは悔しい」と片山が話したように、流れの中からいい形を創り出すことがほとんどできず。「縦パスが多く、横への揺さぶりがそんなになかったので、怖さはなかった」とは町田の左SBを務めた津田。公式記録のシュート数は町田を上回ったものの、そのほとんどがエリア外からのチャレンジと、攻撃に課題を残すゲームとなりました。
「J2というカテゴリーに比較的早く順応し始めているのではないか」とアルディレス監督も認めた町田は、まだ4試合目とはいえ、昨シーズンのボポヴィッチスタイルをベースに置きつつ、状況に応じた戦い方を的確に選択している印象を受けました。それでも勝又は2連勝という成果について、「結果を出しながらチームがよくなっていけばいい」と話しつつ、「まだ求めているサッカーには全然到達していない」とまだまだ上の段階を視界の先に見据えている様子。クラブ史に残る「ゼルビアにとって大きな1勝」(柳崎)も1つの通過点。今シーズンの町田は要注目クラブです。       土屋

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