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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年03月11日

J1開幕戦 柏×横浜FM@日立台

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201203111649000hitachidai.jpg昨日、全国8つの会場で開幕を迎えたJ1リーグ。タイでACLのアウェイゲームを戦ってきた柏は1日遅れのオープニングマッチ。会場はホーム側のゴール裏ゲートに燦然と輝くクラブエンブレムがあしわられるなど、待ちに待った改修初戦となる日立台。舞台は整いました。
ちばぎんとゼロックスを連勝しながら、タイでは苦しいゲームを落とした柏。中3日で迎えたリーグ開幕を、連覇へのプロローグにしたい所。一方の横浜は、ヘッドコーチから昇格した樋口靖洋監督の初陣を勝利で飾り、昨シーズンは結果的に逃したACL出場権獲得に向けて、決意表明といきたい一戦。13082人が待ち侘びた開幕戦は、ちょうど1年前に発生した東日本大震災で犠牲になった方々への黙祷を経て、柏のキックオフで時計の針が動き出しました。
いきなりの閃光は3分。降り注ぐ陽射しの中で輝いた太陽王。レアンドロ・ドミンゲスが蹴り入れたFKを、ジョルジ・ワグネルはシュート気味にオーバーヘッド。そのボールを至近距離から酒井宏樹がゴールへ流し込みます。今や日本中の注目を集める右SBのJ1初ゴールは、柏にとっても2012年シーズンにおけるリーグ戦初ゴール。電光石火の一撃でホームチームが先制してみせました。
いきなりリードを許した横浜も5分に反撃。齋藤学の短いパスを小椋祥平が強引にフィニッシュ。このボールに反応した大黒将志のシュートは、柏GK菅野孝憲がキャッチ。6分は柏。リカルド・ロボのラストパスを、ジョルジ・ワグネルが狙ったシュートは、日立台凱旋となる小林祐三がブロック。殴り合う両雄。
再び6分は横浜。柏のボランチを務める茨田陽生が早くも自身3度目のイージーミスでボールを失うと、齋藤のスルーパスを受けた小野裕二のシュートは菅野がファインセーブで凌ぎます。すると、そのCKがもたらしたトリコロールの歓喜。7分、中村俊輔のキックを栗原勇蔵が頭で折り返すと、ボレーで押し込んだのは大黒。日本代表経験者3人の連携が「最近セットプレーからの失点が多い」(増嶋竜也)柏のエアポケットを見事に攻略。スコアは振り出しに戻りました。
落ち着かないゲームは、9分に横浜が逆転へのチャレンジ。小椋のフィード1本でDFと入れ替わった大黒のシュートは、またも菅野がファインセーブで阻止すると、突き放す柏。12分、酒井のパスをワグネルは絶妙なダイレクトスルーパス。右に開いて受けた田中順也が利き足と逆足で送り出したボールは、きっちりと枠の左隅を捕獲。12分間で3たび生まれたゴール。柏が再リードを奪いました。
さて、この忙しない展開を呼んだのは「マリノスってあんなサッカーやるんやと」(橋本和)「あんなに蹴ってくるとは思わなかった」(大谷秀和)と2人が口を揃えた横浜のアタック。「レイソルを分析した上で」(樋口靖洋監督)、まず最優先は大黒と小野を走らせるロングボール。再三裏を狙う形を徹底します。これに柏が「相手のロングボールと、大黒、小野、齋藤を気にし過ぎてバタついた」(ネルシーニョ監督)ことで全体のラインが間延びして、中盤にはお互いにとって"おいしい"カウンタースペースがポッカリ。ここを突き合ったために、「落ち着かせるのが難しかった」(増嶋)ハイペースの展開になったと言えそうです。
ただ、この横浜の狙いは間違いなく奏功。20分にも小林のフィードに小野が抜け出し、菅野の素晴らしい飛び出しに阻まれましたが、「2トップが思った以上にイヤらしい所へ入ってきた」と橋本も認めたように、確実に決定機を積み重ねていきます。
とはいえ、そこは昨年のJリーグ王者。時間の経過と共に「相手のやり方にも慣れてきて、セカンドも拾えるようになった」(大谷)ことで柏が落ち着きを取り戻すと、横浜は手詰まりに。逆に21分にはロボがワンタッチで落とすと、レアンドロのスルーパスから、田中のシュートは枠の左へ。40分にもCKのこぼれをレアンドロがクロスへ変えると、ワグネルのヘディングは飯倉大樹がファインセーブ。45分には酒井とのコンビで右サイドを崩したレアンドロのクロスから、ワグネルが2度シュートを放ち、横浜DFが2度ともブロック。20分以降のシュート数は7対0と圧倒した柏が、しっかり主導権を握って前半は終了しました。
後半も先に柏がチャンス創出。47分、橋本の左クロスはGKのフィスティングが小さく、拾ったレアンドロのシュートはわずかに枠の上へ。以降も、「CBから下で回しながら展開できるようになった」(ネルシーニョ監督)ホームチームが攻勢を強めます。
しかし、58分にロボとの絡みから田中がフリーで迎えたチャンスを逃すと、直後の59分に飛び出したゴラッソ。小椋が右へ展開したボール。受けた齋藤は鋭く中へ切れ込むと、「1本シュートを打ってみようと」躊躇なく振り抜いた左足シュートが豪快にネットを揺らします。「CBと自分のギャップをうまく突かれてしまった」とは大谷。愛媛から帰還したプライマリー以来の生え抜きが"マリノス初ゴール"を記録し、横浜が同点に追い付きました。
昨シーズンのリーグ戦でも、2度のリードをいずれも追い付かれたことは一度もなかった柏。この苦況で違いを見せられるのは、やはりこの男。64分、酒井が粘り強く1人かわして中へ入れると、おもむろにドリブルを始めたレアンドロが魔法の右足アウトを一振り。フワリと浮かんだボールは、飯倉の頭上を越えて、フワリとゴールへ到達します。「GKが少し前にポジショニングを取っていた」のを確認して、繰り出したミドルループ。ゴラッソ"返し"で柏が今日3度目のリードを手にしました。
直後にワグネルと水野晃樹を入れ替えた柏は、リスク管理しながら機を見て攻撃へ。68分にはレアンドロが、76分にはレアンドロのCKから近藤がそれぞれ決定機を掴み、どちらも飯倉が何とか防ぎましたが、うまくゲームをコントロールしながら、時間を経過させていきます。
一方の横浜は、79分に途中出場の松本怜が小林のフィードに抜け出してネットを揺らしましたが、足を高く上げたという判定でノーゴール。83分には松本の右クロスをニアで大黒が"らしい"ヘディング。ボールはクロスバーを叩き、地面に落下してピッチへ戻りましたが、ここも判定はノーゴール。ツキもありません。
87分にはロボを下げて澤昌克を送り込み、試合を閉めにかかったネルシーニョ監督。強者の勝ちパターン。しかし、苦しみながらの開幕勝利を黄色のサポーターたちも確信しかけた91分に落とし穴。横浜は右サイドでのスローイン。松本はリターン。スローワーの小林は素早くクロス。82分に投入された谷口が高い打点で合わせると、ボールは横浜サポーターの目の前にあるゴールへ吸い込まれます。「選手たちが最後までファイトしたことは評価したい」(樋口監督)「我々の不注意もあるが、相手の気持ちと戦う姿勢を称えたい」(ネルシーニョ監督)と両指揮官が言及した3点目は、両者に勝ち点1ずつを分け与えるラストゴール。開幕戦は打ち合いの末、3対3のドロー決着という結果になりました。
横浜は「ここまでオープンなゲームになると思わなかったし、そうはしたくなかったのが本音」と指揮官も話したように、守備の安定感が持ち味のチームだけに、3失点は想定外でしょう。ただ、逆に「マルキーニョスがいない中で点数を取れたのは評価したい」とこちらも指揮官が触れた通り、ポジティブな想定外の3得点は好材料。齋藤という新しい武器も早速結果を出すなど、収穫の多いゲームだったのではないでしょうか。
柏も3度追い付かれてのドローでしたが、「100%ではないが、レイソルらしさが出始めたゲーム」(ネルシーニョ監督)「やろうとしていることが出せたという意味では、ここまでの試合の中で一番良かった」(大谷)と指揮官もゲームキャプテンも手応えを感じたゲームだったようです。あとは「崩されての失点ではないだけに、もったいない失点」と増嶋が反省を口にしたように、ACLのブリーラム戦から2試合続けての3失点については修正が必要でしょう。とはいえ、「引き分けも妥当だったのかなとは思う」という大谷の言葉にも頷ける、非常に拮抗したスペクタクルなゲームだったと思います。     土屋

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