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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年03月18日

第22回イギョラ杯予選リーグD組 成立学園×藤枝明誠@赤羽スポーツの森公園G

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0318akabane.jpg東京の5会場に16チームが集結して行われるイギョラ杯。今回で22回目を数えるこの大会は、基本的に関東圏を観戦エリアにしているフットボールファンにとって、かなり楽しみな大会の1つです。
今日訪れたのは、赤羽スポーツの森公園。スタンドには屋根が付いているなど、収容人員1000人規模のスタジアムとしては、トップクラスの観戦環境を有している、素晴らしい会場です。ここを舞台に戦うのは、地理的に"ホーム"とも言うべき成立学園と、静岡の新鋭・藤枝明誠。強豪校同士の激突となりました。
昨年は初戦で修徳に13-12という壮絶なPK戦の末に敗れた選手権予選を筆頭に、なかなか結果を残すことができなかった成立。プリンスの関係もあって新チームの始動は12月中旬から。この3ヵ月あまりの成果を試すには、格好の大会と言えるでしょう。対する藤枝明誠は3年前に初めて選手権で王国を制して乗り込んだ全国で、いきなりベスト8まで進出。ここ2年の選手権予選は静岡学園、清水商業と優勝校に揃ってベスト4で敗れたものの、確実に静岡での地位を築いています。
雨がパラつく中でキックオフされたゲームが、意外過ぎる形で動いたのはまだ時計の針が1分も進む前のこと。成立がバックパスでGKに戻したボールへ、藤枝明誠の小林舜典(2年・清水エスパルスJY)が猛然とプレス。するとGKのキックは小林の伸ばした足に当たり、そのままゴールに突き刺さります。おそらく時間的にも展開的にも見逃した方が少なくないような珍しい形で、いきなり藤枝明誠がリードを手にしました。
さて、信じられない形でビハインドを背負った成立もセットプレーから反撃。6分に右から松井優斗(2年・横浜F・マリノスJY)が蹴った2本のCKは、共に「一昨日ぐらいに初めてやった」(森岡幸太監督)左SBを務める松原海舟(2年・Forza'02)がヘディングで狙います。この2本は入らなかったものの、8分にはやはり右サイドでFKを獲得。これを松井が蹴り入れると、飛び込んだ吉村郷史(2年・桶川西中)のシュートはGKの手を弾いて、ゴールネットへ到達。序盤から動いたゲーム。再びスコアは振り出しに戻されました。
ただ、「春先は形でハメこむんじゃなく、相手の状況を見て、選手が判断しながらやろうと」(森岡監督)いうテーマを掲げている成立は、「奪ってから前に入れたいと焦って、攻撃が急ぎ過ぎた」と指揮官も振り返ったように、同点以降はなかなかシュートまで持ち込むシーンを創り出せず、21分には「長いボールを蹴れてゲームを構成できる精神的支柱」(森岡監督)のキャプテン吉村が負傷交替を余儀なくされるなど、リズムが出てきません。
逆に藤枝明誠は最終ラインから徹底して繋ぐスタイルの中で、斜めのパスから相手最終ラインの裏を取るシーンを連発。16分には金子真之(2年・福岡カメリアFC)のスルーパスに小林が抜け出し、GKと1対1に。ここは成立のゴールマウスを任された芝崎寛文(1年・柏レイソルU-15)のファインセーブに阻まれましたが、25分にもCBに入った濱一誠(2年・藤枝明誠SC)のスルーパスからチャンス創出。左サイドを飛び出した川島弘(2年・ヤマハジュビロ磐田JY)の折り返しを小林が狙ったシュートは、成立DFがブロック。
さらに32分には高須信光(2年・ヤマハジュビロ浜松JY)がまたもや斜めのスルーパスを繰り出すと、嘉茂良悟(2年・藤枝東FC)がフリーで独走。ここも芝崎の好守でゴールは奪われなかったものの、「よくアレだけやられて点が入らなかった」と森岡監督が話したように、成立は似たような形から決定的なピンチを連続して招きます。
そんな劣勢の中、35+1分には成立に逆転の絶好機が到来。CKの流れから藤枝明誠がファウルを犯したという判定で、PKを獲得。ところが、このチャンスは藤枝明誠GK鈴木翔大(2年・浜松東部中)が完全に読み切り、ビッグセーブ。前半は1-1で35分間が終了しました。
後半はまず藤枝明誠が攻勢。44分には川島が左からアーリークロスを、50分には熊谷陵(2年・ヤマハジュビロ磐田JY)が右からクロスを放り込み、どちらも嘉茂がボレーで狙い、どちらも枠は捉えられませんでしたが、シュートシーンを生み出します。
一方の成立は斜めのボールに対する守備の対応は「後半に入って修正できた」(森岡監督)中、54分にFWの浅野裕永(1年・鹿島アントラーズつくばJY)も負傷退場となり、替わって千葉嘉人(2年・成立ゼブラFC)を投入。すると、「千葉はオフ・ザ・ボールの動きで裏を取るのがうまいから、それを全体が意識し過ぎたかな」と森岡監督が言及したように、より縦へと速く付ける形が多くなり、チャンスを創り切れません。
中盤以降はやや膠着状態になったゲームは、ラスト10分に差し掛かるとお互いに少しラインが縦に伸び始め、再び活性化。60分は藤枝明誠。熊谷が右へ展開し、高須が上げたクロスを、ファーで嘉茂が狙ったシュートは成立のCB松崎颯介(2年・横浜F・マリノスJY)が体でブロック。62分も藤枝明誠。嘉茂の仕掛けからこぼれたボールを、小林が叩いたシュートは枠の右へ。64分も藤枝明誠。高須が左へ振り分け、嘉茂が折り返すと島村克哉(2年・清水エスパルスJY)がダイレクトで合わせるも枠の左へ。
「最終ラインは最後の所で踏ん張ってくれた」と森岡監督も評価したように、何とか踏みとどまる成立。すると70分、その成立にラストチャンス。松井の丁寧なラストパスに抜け出したのは、途中出場の新田佑介(2年・成立ゼブラFC)。左からファーサイドへ打ち込んだシュートは、しかし惜しくもゴール右へ。両者譲らず。ゲームはPK戦へもつれ込むことになりました。
ここで魅せたのは、ゲームの中でもPKをストップしていた藤枝明誠の守護神・鈴木翔大。成立の1人目と2人目を抜群の反応でストップすると、4人目のキックも弾き出します。また、藤枝明誠はキッカー3人全員が成功。大会のレギュレーション上、ゲーム中も含め、蹴られたPKの5本中4本をストップするという驚異的な鈴木翔大の活躍で、PK戦に勝利した藤枝明誠に勝ち点2が、敗れた成立にも勝ち点1が加えられる結果となりました。
成立は昨年のチームのレギュラーがほとんど3年生だったため、まさに新チームといった印象。「個人もチームも連動して、バテてもいいから今は激しくやろうとしている」とは森岡監督ですが、今日に関しては、やはり後半に少し息切れした所がありました。それでも個々の能力の高さは疑いようもなく、当然今年も東京の高校サッカー界を牽引する存在と言えそうです。選手権は6年、インターハイは7年も全国から遠ざかっており、今年こそはという周囲の期待も大きいはず。成立には今後も注目していきたいと思います。      土屋

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