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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年02月12日

東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会決勝 三菱養和SCユース×東京ヴェルディユース@西が丘

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写真[1]nishigaoka2.jpg2011年12月11日。昨年のプレミアイースト最終節。優勝の懸かった首位・東京ヴェルディユースと、残留の懸かった最下位・三菱養和SCユースのゲームは前半に挙げた1点を守り切って、最下位の養和が勝利。そして他会場の結果を受けて、東京Vは優勝を逃し、養和は大逆転で残留を決めるという凄まじい展開が繰り広げられたのです。それからちょうど2ヵ月が経過。いわば因縁のカードとも言うべき再戦は東京のファイナル。舞台は整いました。
ゲームが始まると、まず目に付いたのは東京Vの布陣。最終ラインは羽賀健太(1年・東京ヴェルディJY)を中央に、右が宮地元貴(2年・桐蔭学園中)、左は畠中槙之輔(1年・東京ヴェルディJY)が並ぶ3バック。その前には4枚がフラット気味に位置し、2トップの下に中島翔哉(2年・東京ヴェルディJY)が入る3-4-1-2でスタートします。
これに対して、3分に中島のあわや直接ゴールというCKを凌いだ辺りから、スタートは4-4-2気味に入った養和も、「相手がこういう配置ならこういう風にとは提示してたけど、自分たちで一番いい方法を選んでたと思う」と生方監督が話したように、左SBだった島田雄平(2年・三菱養和調布JY)を前に押し出し、最終ラインを3枚に変えて、「後ろは1枚カバーマン」(生方監督)を作り、2トップを2枚が見る形にシフトすると、この対応が立ち上がりはうまくハマり、守る時間は長かったものの、流れの中からはほとんどチャンスを創らせません。
それでも、15分を過ぎた辺りからは一段ギアが上がったような形で東京Vの猛攻がスタート。特に前線の前田直輝(2年・東京ヴェルディJY)は左に流れながら、巧さと強さを感じさせるチャンスメイクを連発。19分には後方からのスルーパスがDFにカットされたルーズボールをシュートに持ち込み、養和GK野津幹陽(1年・三菱養和巣鴨JY)のファインセーブに遭いましたが、惜しいシーンを創出。20分には裏へのフィードから高木大輔(1年・東京ヴェルディJY)が完全に抜け出し、ここも野津に阻まれたものの、続けて2トップがチャンスに絡みます。
基本的に技術面でのイージーミスがほとんどなく、パスもドリブルも高いレベルで繰り出す東京Vを目の前に、「取ったボールを相手に渡しちゃったり、慌てたり」(生方監督)という養和は攻撃の手数をまったく出せずに防戦一方。すると28分、小さくなった養和のクリアを拾った流れから中島が鋭いスルーパス。やはり左サイドで受けた前田は躊躇なく左足を振り抜くと、ボールは豪快にネットを揺らします。「ルーズボールなのにラインを上げて出されて、っていうよくあるパターン」とは生方監督。東京Vに先制ゴールが生まれました。
止まらない勢い。32分、狭いスペースを抜け出した前田のシュートがDFにブロックされると、浮いたこぼれにいち早く反応した中島がヘディング。1本目はクロスバーに当たりましたが、自ら詰めて再び頭でプッシュ。あっという間に点差が広がりました。
さて、苦しい時間が続く養和は生方監督が決断。「疲弊はしてるわ、気持ちは落ちてるわじゃ、手を加えないと難しいかなと」35分に早くも2枚替え。佐々木巧(2年・三菱養和調布JY)と青山航(1年・三菱養和巣鴨JY)を送り込み、中盤のテコいれを図ります。
それでも38分にはFKの流れから、最後は宮地がわずかに枠の右へ外れるシュート。40分には楠美圭史(2年・東京ヴェルディJY)が右サイドから斜めにスルーパス。エリア内に潜っていた山口陽一朗(1年・東京ヴェルディJY)のシュートは野津がキャッチしましたが、ボランチの2人が縦関係でフィニッシュまで創ってしまいます。
養和も44分には清水貴明(2年・三菱養和巣鴨JY)が左へ長いスルーパス。中崎海渡(2年・三菱養和巣鴨JY)はフリーでしたが、シュートは東京VのGKポープ・ウィリアム(2年・東京ヴェルディJY)に弾き出されると、45分にはまたも東京Vが左サイドを崩し、前田の折り返しを安西幸輝(1年・東京ヴェルディJY)が叩いたシュートはクロスバーにヒット。「サッカーの一番楽しいゴール前の部分」(冨樫剛一監督)を数多く創った東京Vが圧倒して、前半は終了しました。
「あまりに消極的過ぎてビックリ」という45分間を終えて、「『何をやりに来てるの?サッカーやってないじゃん』ってちょっと激怒っといたんだけど」と生方監督が話した養和。"激怒っといた"ことが効いたのか、ハーフタイムを挟み、48分に清水のFKから中崎が果敢にボレーを狙うと、枠は外れたものの勢いは表出。50分には左サイドから崩され、前田のラストパスから安西にシュートを打たれるも、野津が何とかキャッチ。少し流れが変わり始める予兆か。
すると、53分に訪れたのは養和の決定機。1本のフィードに抜け出した中崎は、対峙したDFを軽やかなステップでかわすと、GKとの1対1も冷静に制してゴールを陥れます。このゲーム最初の得点チャンスを生かし、追い上げムードに意気上がる養和。
逆にここで動いた東京V。59分、3バックのセンターに入っていた羽賀に替えて、菅嶋弘希(1年・東京ヴェルディJY)を投入。フラット気味だった中盤4枚の右アウトサイドにいた安西と、左アウトサイドの安在和樹(2年・東京ヴェルディJY)がそのままSBに下りて、4-4-2へ組み替わります。このシステム変更が、結果的に「凄くイージーミスが多く、押されているなと感じていたと思う」と冨樫監督も話したチームに落ち着きを取り戻させ、養和の勢いを削ぐことに成功。
そして74分、東京Vは左サイドから高木がドリブルで仕掛けると、「サイドハーフからの受け渡しで出るのが遅れて」(生方監督)後追いになった養和DFが高木をエリア内で倒してしまい、PKを獲得。これを1年生エースが自ら右スミへ沈め、1-3とまたも点差は2点に開きます。
以降は菅嶋のクロスバーを直撃するシュートはありましたが、スコアは動かず。東京Vが2ヵ月前の借りをキッチリ返し、新チームの初タイトルと共に、天皇杯東京予選への出場権も獲得する結果となりました。
とりあえず東京Vは相当強かったです。「始動してひと月くらいなんで、まだまだやるべき課題に一生懸命取り組んでいる所」とは冨樫監督ですが、既に攻撃面は相当バリエーションも豊富。特に前田、高木、中島のトライアングルは間違いなく国内屈指の破壊力でしょう。監督は替わりましたが、今シーズンもかなりやりそうだなあという印象を受けました。
一方の養和は「前半は相手に自由にやらせ過ぎちゃった」と生方監督が振り返ったように、前半の不調が響いた形。後半のスタートに勢いを持って入れていただけに、少しもったいない展開になってしまいました。とはいえ、前述した後半のスタートを含めて互角だった時間帯もあり、「ちゃんとやれば全然普通にできるじゃんと話した」と指揮官。前線の木村陸人(1年・府ロクSC)とCBの山内裕太(2年・三菱養和巣鴨JY)がケガから復帰してくれば、チームとしてのベースアップも確実。プレミアに参加している唯一の"街クラブ"として、今シーズンもどこまでやってくれるのか、非常に楽しみです。     土屋

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