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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
いわゆるクラブユースの新人戦に当たる、東京都クラブユースU-17選手権の決勝リーグも今日が最終日。2連勝同士の強豪が来週の決勝進出を懸けて激突します。昨シーズンは最終節に劇的な勝利を飾って、大逆転でプレミア残留を果たした三菱養和。一方、大逆転された格好でプリンス関東への降格となったFC東京U-18。「『カテゴリーはウチの方が上だけど、ウチの方が力は下だ。それでも絶対に勝たなきゃいけない試合だぞ』とは話した。当然FC東京さんが死ぬ気で来ることはわかっていた」と話してくれたのは養和の生方修司監督。まだ新チームになって数試合とはいえ、お互いの力を考えても「今シーズンどれくらいやれるかの基準になる」(生方監督)好カードです。ゴール裏には両チームの父兄やサポーターの方も多数集結。激戦必至の"準決勝"は、まだまだ寒さの厳しい小平でキックオフを迎えました。
先にチャンスを掴んだのは東京。2分、左サイドからカットインしながら岸寛太(1年・FC東京U-15深川)が放ったシュートは、わずかに枠の左へ。まずは養和ゴールを脅かします。ただ、少しずつ攻勢を強めて行ったのは養和。「ボールが止まるのでタメが創れる」と指揮官も評価した前線の油井翔吾(2年・三菱養和調布JY)と、中盤ダイヤモンドの頂点に入った清水貴明(2年・三菱養和巣鴨JY)を軸にボールが繋がり出すと、守備面でも高い位置からのプレスが機能。東京は「慌ててミスしてファウルが増えてしまった」(本吉剛監督)ことで、FKを献上するシーンが目立ちます。
すると、やはりゲームを動かしたのもFK。12分に左サイド、ゴールまで約25m強の位置で獲得したFK。キッカーの清水が直接狙ったボールは、少しカベに当たると絶妙のコースを選んでゴール右スミに飛び込みます。「練習でもバンバン決めている」(生方監督)清水のキックで、養和が先制ゴールを奪いました。
その後もペースは養和。14分にはCBの飯泉涼矢(1年・FC杉野JY)が入れたフィードを、斜めに走り込んだ中尾風(1年・三菱養和巣鴨JY)が収め、シュート自体はヒットせずGKにキャッチされましたが、長いボールからもチャンスを創出します。そして24分、次にゴールを記録したのも養和。右サイドから清水が入れたFKは中央で混戦に。横山道一(1年・三菱養和巣鴨JY)が折り返したボールを、最後に押し込んだのは中崎海渡(2年・三菱養和巣鴨JY)。またもセットプレーから追加点。リードは2点に広がりました。
さて、「自分たちが主導権を握ってプレーできるように変えようと思っている」(本吉監督)東京は、「現時点では50%くらい」(同)というスタイルをなかなかやりきれないまま、ビハインドを背負ってしまいます。ここで本吉監督は、ボランチの小泉将来(2年・FC東京U-15深川)と左SHの川上翔平(1年・FC東京U-15深川)の配置を入れ替え、中盤のテコ入れを図ると、川上は積極的に受けて散らしてを実践。ある程度ボールが回り出すと、それに呼応して活性化したのは昨年も夏過ぎから定位置を掴んでいた青木啓輔(1年・FC東京U-15むさし)が構える右サイド。
SBの青木が積極的にオーバーラップを繰り返し、34分には右サイドからSHの伊藤裕也(1年・FC東京U-15むさし)とのコンビで抜け出した青木が中へ。岸のシュートはGKにキャッチされましたが、久々に惜しいチャンスを創ります。45分にも伊藤が縦に入れたボールを養和ディフェンスが連携ミス。拾った小泉が放ったシュートは、思い切りよく飛び出した養和GK野津幹陽(1年・三菱養和巣鴨JY)がファインセーブ。「2失点後は吹っ切れて、ボールを動かしてやれた」と本吉監督も言及したように、少し東京が盛り返す形で45分間は終了しました。
後半はスタートから動いた東京。小泉に替わって、岩田拓也(2年・FC東京U-15むさし)が右SHに入り、伊藤が左SHにスライドします。それでも後半に入って、先に決定機を掴んだのは養和。48分、清水が左へ綺麗なスルーパス。受けた秋本和希(1年・三菱養和調布JY)のシュートは東京GK馬場拓郎(2年・Forza'02)がファインセーブで阻止。直後のCKは、清水の蹴ったボールを中崎がボレーで合わせるも馬場が何とかキャッチ。ゲームを決める3点目とはいきません。
ここからは東京が反撃。54分、左から上がったクロスは飛び出したGKが弾き切れず、こぼれを岩田が無人のゴールに流し込むも、「最後の最後で頑張れるのが持ち味」(生方監督)という横山が、的確なゴールカバーからピンチを救うクリア。同じく54分、最終ラインから上がってきた柳澤優芽(1年・FC東京U-15むさし)が、岩田とのワンツーから枠を捉えたシュートを放つも野津がファインセーブ。さらに60分、ロングフィードに抜け出した岩田が、バウンドを合わせて狙ったボレーはクロスバーを直撃。替わった岩田がチャンスに絡み、惜しいシーンまでは生み出します。
全体の流れでも、やはり川上を中心にポゼッションでは東京が上回る展開。特に今までとは異なる役割を課されることになったCBの中でも、五勝出竣仁(1年・FC東京U-15むさし)はしっかりボールを呼び込んで、ビルドアップの起点として機能していたと思います。ただ、養和も「展開的に押し込まれることはわかっていた」(生方監督)状況下で、本来はSBを務める横山と飯泉で組んだ1年生CBコンビが奮闘。相手に流れの中からは決定的なシーンを許さず、時間を確実に潰していきます。
77分には斎藤涼汰(2年・FC東京U-15深川)を下げてブーゾ・アモス(2年・FC東京U-15むさし)を送り込み、勝負を懸けた東京にようやく歓喜が訪れたのは79分。川上が左から入れたFKはゴール前にこぼれ、拾った柳澤が左に流れながらクロス気味に放ったシュートはDFもクリアしきれず、ゴールの中へ転がり込みます。1-2。1点差。ここまで戦った2試合の得失点差で上回っているため、引き分けでも決勝に勝ち上がれる東京。場内のボルテージが一段と高くなると、東京が意地のラッシュ。
81分、野沢英之(2年・FC東京U-15深川)のミドルは野津がキャッチ。87分、シンプルなフィードを岸が拾って持ち込んだシュートは飛び出した野津がファインセーブ。そのCKを川上がピンポイントで中に届け、岩田がドンピシャで合わせたヘディングも野津が超ファインセーブで回避。再び川上が蹴ったCKを、再び岩田がボレーで当てるも枠の左へ。90分、柳澤のフィードに追い付いた岩田が右サイドから繰り出したシュートも、最高の飛び出しを見せた野津が体でブロック。
本来の正GKでU-16日本代表にも招集された経験を持つ永井堅梧(2年・三菱養和巣鴨JY)が、前日までジェフユナイテッド千葉のキャンプに参加していたこともあって欠場していたため、巡ってきた出場機会で野津が「アイツはボールを怖がらずに頭から飛び込める。よくやってくれました」と生方監督も称賛する、圧巻のパフォーマンスでゴールを死守。GKの馬場も上がってきた93分の連続CKも凌ぎ切ると、タイムアップを告げるホイッスル。「去年地獄を見た選手たちに、押し込まれてもしっかり跳ね返せるメンタリティが付いてきている。逞しくなってくれた」と生方監督が笑顔を見せた養和が3年ぶりに東京を撃破し、決勝に駒を進める結果となりました。
養和は「今年はサッカーに対して真面目な世代」と指揮官が分析した通り、1人1人がしっかりプレーできるチームという印象です。永井やFWの木村陸人(1年・府ロクSC JY)、CBの山内裕太(2年・三菱養和巣鴨JY)など主力を欠きながらも、チームとしての機能性も高く、「本当に小さな頃から一緒にやってきている」(生方監督)結束力は大きな武器。今シーズンのプレミアイーストでの躍進にも期待したいですね。
東京は倉又寿雄・前監督の後を受けて、本吉監督が就任したばかり。今日に関しては、福森健太(2年・FC東京U-15深川)と鴨池陽希(1年・FC東京U-15むさし)をケガで、二瓶翼(2年・FC東京U-15深川)を修学旅行で欠くなど、こちらも主力不在の中、「ゲームの入りをしっかりと言ってたんですけど、そこでやられてしまった」と本吉監督も触れた通り、前半での2失点が最後まで響く格好になりました。それでも2失点してから見せた"繋ぐ"スタイルは、ポポヴィッチ体制を敷くトップチームとの連携を本吉監督も明言したように、色々な意味で今後への期待を抱かせるもの。「チャレンジングな1年になると思う」と本吉監督。相当ハイレベルな戦いが予想されるプリンス関東1部で、"新生"東京がどういった存在感を発揮してくれるのかも非常に楽しみです。 土屋
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