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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年02月11日

東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会3位決定戦 FC東京U-18×FC町田ゼルビアユース@西が丘

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写真[1]nishigaoka.jpg先週に引き続いて、東京都クラブユースU-17選手権にやってきました。今日は西が丘で3位決定戦と決勝が縦積み。第1試合はFC東京U-18とFC町田ゼルビアユースが3位を懸けて対峙します。
町田は例年ならここへ勝ち上がってくる横河武蔵野ユースを得失点差で上回っての聖地登場。しかもメンバー表には明記されていないものの、ベンチで指揮を執るのが昨年まで東京ヴェルディユースを率いていた楠瀬直木アカデミーダイレクターとあれば、気にならないはずがありません。午前11時、新たな"東京ダービー"は寒風吹き荒ぶ中でキックオフを迎えました。
まず開始47秒、ファーストシュートは東京。先週のゲームでは途中から任されたボランチで先発の川上翔平(1年・FC東京U-15深川)が枠内ミドル。積極性を打ち出します。ところが、「広さを使ってボールを動かせなかった」と本吉剛監督が振り返ったように、東京は新チームになってトライしている"繋ぐ"スタイルと、今までのベースだった"縦に速い"スタイルがうまくマッチせず、どっちつかずの状態に。13分には最終ラインで繋ぐか蹴るかの迷いを突かれ、町田の岡端拓哉(2年・町田ゼルビアJY)にボールを奪われると、クロスバーの上に外れたもののフィニッシュへ繋げられてしまうなど、なかなかうまく回りません。
逆に町田はドイスボランチの一角を占める菅谷栄斗(2年・町田ゼルビアJY)のボールタッチが増え始めると、少しずつパスも回り出し、最終ラインも東京のプレスに怯まず、ビルドアップへの意識を表出。シュートにこそ至りませんが、自分たちの時間も創れるようになっていきます。
30分を過ぎると東京のポゼッションが高くなり、両サイドも使い出しますが、「ゴール前へ入る前の段階で時間をかけてしまう」(本吉監督)ために、シュート自体は少ないまま。41分には川上が左へ展開し、二瓶翼(2年・FC東京U-15深川)を回った吉田一彦(2年・FC東京U-15むさし)のクロスは中にピンポイントで届くも、ブーゾ・アモス(2年・FC東京U-15むさし)のヘディングは町田GK平野勝也(2年・湘南ベルマーレJY)がキャッチ。42分には岩田拓也(2年・FC東京U-15むさし)が、45+2分には二瓶が共にサイドからカットインしてシュートを放つも、どちらも枠を捉えられず。「やれるんじゃないかと思われると、向こうも頑張りますからね」と本吉監督も話したように、東京の攻撃を確実に吸収してみせた町田の健闘が光り、最初の45分間はスコアレスで終了しました。
後半に入ると、東京にポジションの変化が。岩田が右SHからFWに移り、「運動量があって、サイドから飛び出せる」(本吉監督)斎藤涼汰(2年・FC東京U-15深川)がFWから右SHへスライドします。すると49分には、吉田の左クロスを岩田が落としたボールに、反応した斎藤がシュート。平野にキャッチされましたが、いきなり狙いの1つを体現してみせます。
61分にもSBの青木啓輔(1年・FC東京U-15むさし)が右サイドをえぐり、川上が合わせるもボールは枠の左へ。さらに64分、岩田のパスを受けて、投入されたばかりの岸寛太(1年・FC東京U-15深川)がエリア外から狙った枠内ミドルは平野がファインセーブ。ジワジワと町田を押し込みます。
ところが、66分には劣勢の町田に決定的なチャンス。右サイドをうまく崩すと、松波優大(2年・エヌ・オー・ビージャパン)が残したボールを最後は辻川樹(1年・東海大菅生中)が枠内へ。至近距離からのシュートは、しかし東京GK馬場拓郎(2年・Forza'02)が素晴らしい反応で弾き出し、町田は千載一遇の先制機を生かせません。
ピンチの後にチャンスあり。67分は東京。高い位置で相手のパスを奪った岩田は二瓶へ。二瓶が右へ振ると、受けた岩田は落ち着いて中へ折り返し、飛び込んだ二瓶はDFともつれながらもゴール右スミへ流し込みます。修学旅行帰りのドリブラーが貴重な先制ゴール。東京がようやくリードを奪いました。
後半は何とか凌いできたものの、決定機を逃した直後の失点で落胆を隠せない町田。そんな相手を尻目に、ようやく東京の迫力あるラッシュ。74分には川上の縦パスから、反転して素早く繰り出した二瓶のミドルがクロスバーを直撃します。そして76分、エリアすぐ外の右寄り、ゴールまで25m強の距離から川上が直接狙ったFKは、最高の軌道を辿ってゴールへ吸い込まれるゴラッソ。2-0。点差が広がりました。
ゴール裏でトップチームと変わらないチャントでチームを鼓舞し続ける町田サポーター。そんな彼らを熱狂させるゴールが生まれたのは80分。CBの岡本丞太郎(1年・東急レイエス)が繋いだ低い浮き球に、バウンドを合わせた岡端のミドルは、まさに矢の如くゴール右スミを撃ち抜くスーパーな一発。ざわめくスタンド。再び点差は1点に戻されます。
ただ、ここで慌てなかったのは、昨年から公式戦での出場機会を積み重ねてきた選手が多い東京の経験値。80分と83分にはどちらも二瓶が平野にファインセーブを強いるシュートを放ち、84分には川上が右ポストに直撃させるミドル。続けて町田ゴールへ襲いかかると、87分にはキャプテンマークを巻いた野沢英之(2年・FC東京U-15深川)の柔らかいパスに、75分からの出場でチームのギアを一段上げた天野将平(2年・クリアージュFC)が走り込んでグラウンダーのクロス。岸が難なく押し込んで、試合を決定付ける3点目。「色々な課題が出ましたね」と本吉監督も苦笑いしたように、東京が苦しみながらも町田を破って、3位を確保する結果となりました。
町田は組織としての志向がハッキリしているチームでした。元々の土壌も当然あるでしょうが、やはり昨年のトップチームが見せていたポポヴィッチのスタイルも多少影響しているのかもしれません。ここに楠瀬さんのスパイスが加わるとなると、数年後には東京でもかなり面白い存在になり得そうな萌芽は感じました。
東京は「まず時間が掛かる方から手を付けたいので、今はボールを持った"オン"の方をやっている。守備はあまりやっていない」と本吉監督が話したように、新しいことに取り組み始めてわずかに3週間。まだまだこれから攻守にディテールを詰めていく段階で、ある意味今後に関しても未知数な部分が多いと思います。ただ、川上のボランチ起用や、斎藤と岩田のポジションチェンジなど、現段階で効果的なオプションを確認できたのは好材料。選手個々のポテンシャルを考えても、新スタイルがハマれば大化けする可能性もありそうで、かなりこれからが楽しみなチームという印象を受けました。      土屋

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