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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年02月13日

群馬県高校新人大会決勝 桐生第一×新島学園@前橋育英高崎G

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写真[1]ikuei.jpg今日の会場は前橋育英高崎グランド。群馬県高校新人大会のファイナルが行われます。ただ、本来いるべき"主"の姿がありません。選手権の県予選決勝でまさかの逆転負けを喫し、5年連続の全国出場を断たれた前橋育英は、雪辱を期した今大会も準決勝で既に敗退。その育英を2-1で破った新島学園と、先月の選手権で全国にその名を大きく轟かせた桐生第一の激突がファイナルのカードとなりました。
新島学園は少し耳馴染みのない高校かもしれませんが、前浦和レッズ社長の藤口光紀氏や元日本代表の小島伸幸氏を輩出しており、過去7回の選手権出場を果たしている古豪。第88回大会では県予選決勝まで進出しています。最近では、早稲田大学ソフトボール部から北海道日本ハムにドラフト7位で指名された大嶋匠の母校と言うと、ピンと来る方がいらっしゃるかもしれませんね。
対する桐生第一は新チームが始動してまだ1ヶ月弱。全国ベスト8に入ったレギュラーメンバーは吉森恭兵(2年・ヴェルディSS小山)だけにも関わらず、しっかり決勝まで出てくる辺りにはチームとして確実に地力が付いてきていることを窺わせます。試合開始は10時ということで、個人の体感としては昨日以上に厳しい寒さの中、桐一のキックオフでファイナルの幕は上がりました。
わずか13秒でのファーストシュートは新島。最初にボールを奪った流れから、馬場貴人(2年・高崎第一中)がミドルにチャレンジ。ボールはわずかにクロスバーを越えましたが、まずは勝利への欲求をストレートに打ち出します。ただ、推進力のあるSHの増山空良(2年・FCおおた)を積極的に使い、左サイドを軸に主導権を握った桐一が少しずつリズムを掌握。
8分には浦丸治也(1年)が繋ぎ、増山の思い切ったミドルは一旦逆を突かれた新島GK飯塚了也(2年・榛東中)が何とかキャッチ。10分は右サイドから木村光希(1年)が浮かせたボールを浦丸はワントラップボレー。わずかに枠の左へ外れたものの、続けてシュートシーンを創ります。
さらに14分には増山を起点に、島崎元(2年・AZ'86tokyo-ome)のクロスを最後は田中大輔(1年)が、18分には相手のミスパスを奪って高橋秀人(2年・高崎FC)がそれぞれシュートまで。共にDFのブロックに遭いますが、吉森が負傷でベンチスタートの中、手数を出し続ける桐一の押し込む時間が続きます。
さて、新島は「普段は3バックでやっているが、最終ラインの白井克享(1年・新島学園中)が警告の累積でいなかったので」(内藤秀和監督)、通常の3-5-2ではなく4-4-2を採用。それでも「いつものサッカーはあまりできなかった」と指揮官も言及した通り、布陣とゲームの展開がうまくハマらず劣勢に。
そんな中、1人気を吐いていた金田真弥(2年・高崎榛名中)が18分に右サイドを切り裂いてクロス。中とは合いませんでしたが、これがスイッチとなってか、19分には新島に決定機。右サイドのスローインから木暮雅人(2年・高崎榛名中)がクロス。金田の難しいボレーはDFに当たり、ボールはフリーで飛び込んだ馬場の元へ。しかし、至近距離からのシュートは枠を捉えられず、先制とはいきません。
それでもこのシーンを境に、「ボールに対するサポートが出てきて、1タッチ2タッチのパスリズムが生まれた」(内藤監督)新島が反攻。印象的だったのは、常にパスを味方の動くであろうスペースに狙って蹴っていたこと。この狙いがハマった時にはかなりスムーズにボールが回ることも多く、捕球したGKが基本的にはスローインで味方に繋ぐことも含めて、パスの質にこだわって練習していることがよくわかるスタイルという印象を受けました。
とはいえ、桐一も川田勝也(2年・伊勢崎第二中)と張替雅人(2年・ウエストサイド境SC)で組んだCBを中心にある程度回されても冷静に対応。新島もシュートは打てず、35分間はスコアレスでハーフタイムに入りました。
後半はスタートから再び桐一が攻勢に。37分には右サイドから田中が絶妙の折り返し。走り込んだ碓井和也(2年・町田JFC)のシュートはGK正面。41分にも木村が高い位置でボールを奪うと、浦丸のフィニッシュは飯塚が何とかセーブ。高い集中力で相手ゴールを脅かします。新島も44分に馬場がハイプレスでボールを奪うと、木暮を経由し、唐澤弘成(1年)のミドルは枠内に飛びますが、桐一GK泉水龍作(1年・町田JFC)がキャッチ。
すると、先にスコアを動かしたのはやはり桐一。48分、左サイドから増山が中へ速いボールを入れると、浦丸はトラップで前へ持ち出し、そのままシュート。これがゴール右スミを確実に捉える先制弾。前半から目立っていた増山が得点を演出し、桐一がリードを奪いました。
さて、ビハインドを背負った新島は失点を受けて、いつもの3-5-2へシステムチェンジ。これが結果的に奏功し、「ボールが動き始めた」と内藤監督。55分にはキャプテンの神戸亮彦(2年・高崎榛名中)がクサビを当てると、馬場が落として唐澤が右へ。大澤慧士(1年・前橋FC)のシュートはDFにブロックされますが、崩した形を創出します。
そんな中、新島が歓喜のベルを鳴り響かせたのは61分。金田が粘って獲得したCK。ショートで始めた大澤が木暮のリターンを受けて中へ入れると、ファーサイドに飛び込んだのは神戸。頭に当てたボールは、綺麗にゴールネットを揺らします。キャプテンが見せた執念の同点弾。スコアはタイに戻りました。
イケイケの新島。64分、須藤厚志(2年・新島学園中)の右CKはルーズボールに。フリーの今井悟(2年・高崎群馬中央中)がボレーを放ち、桐一応援席からは悲鳴が上がりましたが、ボールは力なくGKの正面へ。70分で両者譲らず。ゲームはさらに20分間の延長戦に突入しました。
5分間のインターバルを挟んで、迎えた延長は一層強まった風の中、はっきりと風上、風下がゲームに影響する形に。風上の桐一が押し込みます。76分、若月佑介(1年・前橋ジュニア)の右CKはファーに流れ、木村の折り返しに高橋が頭から飛び込むも、ボールはクロスバーの上へ。決め切りたい桐一は79分、いよいよ吉森を投入。勝負に出ます。
これがすぐさま成果に直結。80+1分、左サイドで川田のパスを受けた増山が中へ鋭いグラウンダー。木村のシュートはDFに当たると、これを吉森が再びシュート。ここも新島ディフェンスは体を張って防ぎましたが、こぼれをプッシュしたのは碓井。いきなり吉森がゴールに関与してみせ、またも桐一が1点のアドバンテージを手にしました。
「風下を耐えられれば可能性はあるかなと思っていた」とは内藤監督ですが、またも1点を追い掛ける格好になった新島は、延長後半のスタートから一場奨貴(2年)を送り込み、最後の10分に勝負を懸けます。3度の決定的なピンチを飯塚の好守もあって凌ぐと、最終盤にビッグチャンス到来。90+1分、もはやなりふり構わず上がってきた神戸のパスを、金田は完璧なグラウンダーで右へ。受けた一場も確実なトラップからスムーズにシュート。またも同点かと思われた瞬間、宙を舞った泉水のビッグセーブ。新島は追い付けません。木暮がすぐに始めたCKもゴール前で混戦になりましたが、必死に桐一ディフェンスがクリアすると90分間の激闘に終止符を打つ堀越雅弘主審のホイッスル。真冬のファイナルは桐一に軍配。創部以来、初となる県内2大会連続制覇を達成する結果となりました。
桐一は前述したようにほとんどメンバーが入れ替わり、まだ助走期間といった感じでした。それでも木村や増山、浦丸など能力の高い選手も随所に揃い、しっかりと県内連覇。来年度も育英と並んで県内を牽引していくのは間違いなさそうです。
新島はどうやら群馬を掻き回す面白い存在になりそうです。神戸、金田、木暮の3人は高崎榛名中が全中に出場した時の主力選手。また、付属の新島学園中は現在2年連続で全中出場を果たしており、新2年と4月に入学してくる新1年は全国を経験済み。つまり県内の中学でプレーしているトップクラスの選手が集結することになります。これには内藤監督も「下から上がって来る選手をベースに、あとはウィークを外から補うような形が理想」と明言。既に県内のリーグ戦では中学生を起用することもあるらしく、スムーズな強化態勢も整っているようです。そのパスにこだわるスタイルも含めて、新島学園には注目していきたいと思います。
ちなみに安中市に位置する新島学園のネーミングは、安中藩士であった教育者の新島襄に由来するもの。そして、来年の大河ドラマは新島襄の妻である八重を主人公にしたストーリになることが発表されています。また、八重を演じるのは綾瀬はるかとのこと。以上、新島学園一口メモでした。     土屋

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