mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2012/01

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年01月06日

高校選手権準々決勝 桐生第一×尚志@埼スタ

mas o menos
  • Line

saitama010502.JPG第2試合も初めての国立を巡るフレッシュな顔合わせ。群馬の桐生第一と福島の尚志が対峙します。初出場の桐一は、全国デビューとなった初戦の大社相手に注目の鈴木武蔵(3年・FCおおた)が入学後公式戦初ゴールを決めると、衝撃のハットトリックを達成。3回戦も強豪の奈良育英を金田理央(3年・前橋JY)の完璧なゲームコントロールもあって、4-1と一蹴。県勢最高成績に並ぶベスト4まであと1つに迫っています。
対する尚志は初戦で守山北に競り勝つと、3回戦では桐光学園を3-3の末にPK戦で下して、堂々のクォーターファイナル進出。「僕たちが頑張ることで、福島県に元気を与えることが目標」(仲村浩二監督)という特別なモチベーションを胸に、快進撃を続けています。冬晴れの埼スタは最高のピッチコンディション。夢舞台への最終関門は、尚志のキックオフでそのゲートが開きました。
「入り方はよかった」と小林勉総監督も認めたように、立ち上がりは桐一ペース。2分に左SBの古沢友希(3年・ウエストサイド境SC)がオーバーラップからクロス。鈴木にはわずかに合わなかったものの、6分にもチャンス。磯部亮太(3年・ヴェルディSS小山)が右サイドをドリブルで運び、吉森恭兵(2年・ヴェルディSS小山)が繋ぐと、遠藤葵(3年・GRANDE FC)のシュートはバーの上へ。積極的に飛び出します。
ただ、「蹴ってくるサッカーはウチが苦手なサッカー」と金田理央が話したように、割と早めに後藤拓也(3年・白河FC)と皿良優介(2年・ARTISTA FC)を走らせ、セカンド奪取も含めたフォローから攻撃を創っていく尚志へ徐々にペースが移行。12分には金田一樹(3年・FC東京U-15深川)が右サイドから得意のロングスロー。こぼれを自ら叩いたボレーはDFがブロック。16分には金田一樹の右FKから最後は金森采輝(3年・ヴィヴァイオ船橋SC)が枠内シュート。いい形を創出します。
すると17分、中央で皿良が絡んだボールは混戦に。そこから抜け出したのは後藤。至近距離から撃ち抜いた一撃は、左のポストを叩いてゴールネットを揺らします。「大会が始まる前からブレイクするんじゃないかなと思っていた。信頼のおける、戦い切れる選手」と仲村監督も称賛したストライカーの先制ゴール。尚志が1点のリードを手にしました。
さて、20分には古沢友希、吉森と繋いだボールを鈴木が枠へ飛ばすシュートを放った桐一ですが、なかなか攻撃のリズムが出てきません。「取ってから縦に急ぎ過ぎちゃって、持ち味の横のパスが出てこなかった」と小林総監督が話した通り、奈良育英戦では見られた金田理央や吉森が受けて散らして、というシーンが尚志2トップの果敢なプレスバックもあってかほとんど見られず、どうしてもパスが引っ掛かってしまいます。
29分はまたも尚志。金田一樹の左FKを山岸祐也(3年・柏ラッセルFC)はほとんどフリーでトラップからボレー。このシュートは枠を外れましたが、2分後に飛び出したゴラッソ。金田一樹が蹴った右CKから、左サイドにボールが流れると、皿良は右足でクロス。右サイドに残っていた金田一樹は少し中寄りに走り込み、体を寝かせながら左足で華麗なボレー。完璧にインパクトされたボールはゴール左スミへ一直線。「夢中だったので入った時はわからなかった」と笑ったレフティのスーパーボレー。尚志のリードは2点に広がりました。
35分に動いた桐一ベンチ。本来のレギュラーCB渋沢真矢(3年・前橋JY)を体調不良で欠いたため、ボランチの古沢圭希(3年・ウエストサイド境SC)が最終ラインに入りましたが、「中盤でプレスが掛けられなかった」と判断した小林総監督は、磯部に替えて川田勝也(2年・伊勢崎第二中)をCBへ投入。古沢圭希を1枚上げる変更を前半の内に施します。結局、40分間を終えたスコアは0-2。尚志リードでハーフタイムを迎えることになりました。
後半開始で桐一は早くも2人目の交替。左SBの古沢友希を富田佑樹(3年・ウイングス鹿沼SC)とスイッチして、残りの40分間に臨みます。45分にはようやく桐一にスムーズなアタックが。鈴木、池田稔樹(3年・図南SC群馬)、吉森と繋いで、金田理央が放ったボレーはDFに当たってGKにキャッチされましたが、崩す形を生み出すと、「古沢圭希が中盤に入って落ち着いた」と小林総監督が語ったように、少しずつパスワークも回復し始め、52分には金田が連続でCKを蹴るなど、攻撃の時間も長くなっていきます。
62分にはこのゲーム最初の決定機。ゴール前の混戦から飛び出した古沢圭希はエリア内からシュートを放つと、尚志GK秋山慧介(2年・ヴィヴァイオ船橋SC)のファインセーブに阻まれましたが、このCKから再びチャンス。左から金田理央が蹴り込んだキックはファーまで届くと、川田のヘディングはGKの手を掻い潜ってゴールへ滑り込みます。1-2。これで1点差。にわかにスタンドへざわめきが広がりました。
65分は桐一。堂前貴将(3年・図南SC群馬)のFKから、金田理央がエリア内へドリブルで切れ込むもシュートには至らず。67分は尚志。金田一樹のロングスローを後藤が頭で枠に飛ばすも鯨井がキャッチ。一進一退。70分には尚志に交替。走り切った皿良を下げて、木村篤弥(3年・三郷JY FC)を投入。71分には桐一も最後のカード。吉森と横堀勝也(3年・前橋JY)をスイッチして、まずは同点を目指します。
72分には金田理央が右へ展開すると、遠藤は鋭いアーリークロス。鈴木が走り込むも、秋山が飛び出しキャッチ。お互いに最後の力を振り絞る終盤の攻防。そしてゲームに決着の幕を下ろしたのは、「1対1で逃げるなと言われていた」11番。高い位置でボールを奪った後藤は「スピードでかわす自信があった」と抜群の加速力でマーカーを引きちぎると、ゴール右スミへ確実に流し込むスーパーな1点。「苦しい時間帯で取れた」後藤のチーム3点目で勝負アリ。逆に桐一は81分に金田理央の右CKから、池田が狙ったシュートはDFに当たって左のポストを弾き、万事休す。「諦めない心が全面に押し出せて、ゲームを楽しめたのかなと思う」と仲村監督も笑顔を見せた尚志が同校として、さらに福島県勢として初めて国立のピッチへ足を踏み入れる権利を獲得する結果となりました。
負けた桐一は「中盤で奪ってから攻撃の枚数がかけられなかった」と小林総監督が話したように、特に前半は本来の散らしてサイドからという形がほとんどできず「後手を踏んでしまった」(小林総監督)格好に。注目の鈴木も「マンツーマンではないが、大貫(俊士・3年・三郷JY FC)に任せて、その周りを他の選手にカバーさせる」(仲村監督)尚志の粘り強い対応に沈黙。前を向いて勝負するようなシーンを創れないまま、タイムアップを迎えました。
とはいえ、県予選の決勝で絶対的本命の前橋育英に2点ビハインドから逆転勝利を収め、迎えた初めての全国で堂々のベスト8進出。小林総監督には中学校時代から指導を仰いでいた金田理央は「正直もっと上に行ける自信はあったので悔しいけど、勉先生を全国大会に連れて来られてよかった」と悔しさを噛み殺しながら話してくれました。前橋育英以外の高校が全国8強に残ったことで、群馬県のレベルの高さを大きくアピールする意味でも素晴らしい躍進を見せた桐一に大きな拍手を送りたいと思います。
勝った尚志は「一戦一戦チームが明るくなってきている」と仲村監督が話した通り、1人1人の選手に躍動感が溢れている印象です。中でも「とにかく一生懸命やることが持ち味」と自らを評した後藤と皿良の2トップは、攻守に相当アグレッシブ。2トップ下の山岸、アンカーの金田一樹、CBの大貫に峰島直弥(3年・三井千葉SC)と、3年生のセンターラインもかなり強固で、バランスの良さは大会随一と言えそうです。「みんなに感動を与えるプレーを全員でしたい」と金田一樹。福島県勢として初の国立。その先には初の決勝、そして初の全国制覇が待ち受けています。       土屋

  • Line