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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年01月03日

高校選手権3回戦 桐光学園×尚志@三ツ沢

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mitsuzawa1.JPG2011年にその幕を開けた高校選手権も3回戦に突入。青々とした素晴らしい芝の絨毯が敷き詰められた三ツ沢の第1試合は、地元・神奈川代表の桐光学園と、福島代表の尚志がベスト8の椅子を懸けて激突することになりました。
初戦は初芝橋本を苦しみながらもPK戦の末に下し、昨日の2回戦は米子北を5-1で一蹴した桐光。インターハイで全国を制した桐蔭学園に続き、神奈川勢の夏冬制覇を狙います。対する尚志は残念ながら降格してしまったものの、高円宮杯プレミアリーグで研鑽を積み、インターハイでも全国ベスト8へと躍進。今大会は夏以上の結果、すなわち頂点を目指して臨んでいる中、初戦となった昨日のゲームでは守山北を退けて3回戦へ。実力者同士の好カードです。
さて、暖かな陽射しも差し込む中でキックオフされたゲームは、まず相手DFラインの裏へ徹底して長いボールを入れた桐光がペースを掌握。10番を背負うキャプテンの佐野弘樹(3年・横浜F・マリノスJY)が収めたボールへ早めにサポートすることで、ラインの押し上げも速く、相手陣内でのプレー時間が長くなります。11分には佐野の右CKから、DFのクリアボールを拾った村田勝利(3年・BANFF横浜ベイ)がループ気味のミドル。軌道はバーを越えましたが、ファーストシュートは桐光が記録しました。
さて、少し押し込まれる展開となった尚志は、14分に後藤拓也(3年・白河FC)、皿良優介(2年・ARTISTA FC)の2トップが繋ぎ、山岸祐也(3年・柏ラッセルFC)が左へ展開。高慶汰(1年・柏レイソルU-15)のシュートはDFのブロックに阻まれたものの、この前後から少しずつ攻撃にリズムが生まれます。
特に「相手のボランチの所でボールを回されないよう、2トップにかなりケアさせた」と仲村浩二監督が話したように、後藤と皿良はカウンターにプレスバックにと全力疾走。20分には、そのプレスバックから相手のミスパスを皿良がかっさらって右へ。受けた後藤はシュートまで行けませんでしたが、1つ狙いをしっかり表現します。
すると訪れた欣喜雀躍はエンジ。22分、山岸はゴール前の狭いスペースへスルーパス。皿良のシュートがDFに当たってこぼれると、そこにいたのは高。「かなり調子が良かった」と指揮官も認める1年生が大仕事。尚志が先手を取りました。
以降も、頑張れる2トップに牽引された尚志の時間。24分には後藤がドリブルから積極的な枠内ミドル。28分、中盤ダイヤモンドの底を務める金田一樹(3年・FC東京U-15深川)が、ゴールまで35m近い距離から直接狙ったFKはバーの上へ。30分、ここも後藤が力強くドリブルで運び、最後は上がってきた右SBの佐藤翔太郎(1年・FCレグノウァ)のシュートはバーの上へ。かなりチャンスも出てきました。
佐熊裕和監督は早くも1人目の交替を決断。30分、小村研人(3年・横浜F・マリノスJY追浜)に替えて、米子北戦でも途中出場している木場田征実(2年・町田JFC)を投入。「サイド攻撃を潰したかった」(仲村監督)という相手の術中にハマり始めていた状況を打破しに掛かります。
31分には"桐光のデラップ"大田隼輔(2年・町田JFC)のロングスローを皮切りに、32分は佐野のFK、32分、34分、36分と佐野の連続CK、36分は大田の連続ロングスロー、37分は再び佐野のCKと、いずれもシュートには結び付かなかったとはいえ、サイドでの主導権を回復しつつあった桐光はセットプレーに光明を見出だしつつ、ビハインドを負って40分を終えました。
迎えた後半も、先に前へのパワーを押し出したのは桐光。44分には大田のロングスローで相手ゴールへ迫ると、47分にも左サイドを佐野が切り裂いて中へ。橋本裕貴(2年・町田JFC)のシュートはDFのブロックに遭うも、続く攻勢。そして48分、やはりスコアを動かしたのはセットプレー。自ら蹴ったCKのこぼれ球を佐野が再度クロス。これをファーで高橋将吾(3年・横浜F・マリノスJY)が頭で合わせると、ボールはフワリとGKの頭上を破ります。6本目のCKを結果に繋げた桐光。スコアは振り出しに戻りました。
ところが、すぐさま生まれた次のゴールは尚志。53分、中央で巧みなターンから前を向いた山岸は、右足アウトのスペシャルなスルーパス。DFの裏を取った皿良は、角度のない所からこれまたスペシャルな左足シュートを打ち切ると、ボールは右ポスト内側を叩いて、ゴールへ収まります。1-2。リードは尚志。にわかに激しく揺れ出したゲーム。
すぐさま桐光の反撃。55分、佐野の右CKはDFが必死にクリア。左サイドで拾った生部麦(3年・町田JFC)のシュートを、最後は橋本がチョコンと左足でプッシュ。2-2。ゲームはアグレッシブな打ち合いの様相を呈してきました。
「自信のあったセットプレー」(仲村監督)で2失点を喫した尚志も気持ちは落ちず。57分には1本のフィードを山岸がすらし、皿良のフィニッシュは桐光GK山下耕司(3年・FC東京U-15深川)がファインセーブ。59分、こちらも"尚志のデラップ"金田の右ロングスローを、ニアで大貫峻士(3年・三郷JY FC)が当てたヘディングはわずかにバーの上へ。
しかし、64分に3回目の歓喜を享受したのは"ホームチーム"。左サイドで佐野、生部と回ったボールを三浦凌(3年・福岡下山門中)が中へ送ると、6分前に投入された高橋孝友(3年・横浜FC泉JY)がゴール左スミへ確実に流し込みます。とうとうこのゲームで初めてスコアの秤が桐光に傾きました。
それでも「絶対諦めるなと選手には伝えていた」と仲村監督が語った尚志は折れず。73分、中盤で粘って粘ってボールを拾った金田は縦へ。皿良は冷静に対面したDFの股間を通すスルーパス。後藤は左へ持ち出しながら、冷静にGKの股間を通します。「守備の比重で攻撃がキツいかなと思ったが、よく走ってくれた」と仲村監督も称賛した2トップが、2人で奪い切った同点弾。3-3。三たびスコアボードに同じ数字が並びました。
死闘は相譲らず、アディショナルタイムは4分。83分、尚志に大きな大きな決定的チャンス。もはや闘魂と化した後藤が右サイドからクロスを上げると、枠を捉えた山岸のヘディングは山下を破ります。直後、三ツ沢を包んだのは驚嘆の声。ゴールライン上で高橋が奇跡的なヘディングクリア。壮絶な激闘はハイスコアのドロー決着。ベスト8への切符は11mの果たし合いへ委ねられることになりました。
PK戦が始まる直前、ピッチの尚志イレブンからGK秋山慧介(2年・ヴィヴァイオ船橋)に掛けられた「秋山、ヒーローだよ」「秋山、オマエがヒーローになれるじゃん」という声。すると、先攻の桐光1人目を秋山は完全に読み切り、ストップしてみせます。さらに桐光は2人目も枠を外してしまい、連続で失敗。対する尚志は金田、大貫、山岸と3人目まで全員が成功。桐光も3人目の三浦が沈めると、4人目の村田も秋山に触られながら執念で成功。
決めれば勝ち抜けの尚志4人目は後藤。80分間で生まれた6ゴールのラストスコアラーは、冷静にGKの逆を突いて、PK戦でもラストスコアラーに。三ツ沢の死闘は尚志に凱歌。福島県勢の最高成績に並ぶベスト8に歩みを進める結果となりました。
お互いにすべての力を出し尽くした素晴らしいゲームでした。次のラウンドへ進むための決着は付いたとはいえ、80分間では3ゴールずつを奪い合ってのドロー。本当に拮抗した、どちらにも勝たせてあげたい一戦だったと思います。「このチームはいつ解散になってもわからない中でやってきたので、今年のメンバーでやれる所まで一緒にサッカーをやりたい」と仲村監督が語った尚志。国立へ必要な勝利は、あと1つです。       土屋

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