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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年01月01日

高校選手権1回戦 清水商業×ルーテル学院@埼スタ

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写真[1]saitama2-2.jpg第2試合は強豪県同士の対峙。準決勝で藤枝明誠、決勝で静岡学園と、過去2年のファイナルで敗れた2チームを撃破して、11年ぶりに王国の静岡を制した清水商業。こちらは準決勝で大本命の大津をPK戦で倒し、決勝も秀岳館を延長の末に振り切って、熊本の王座に就いたルーテル学院。1回戦屈指の好カードです。
少し陽の射してきた中でキックオフを迎えたゲームは、清商もルーテルも「お互いに自分の陣地を守り合う」(大瀧雅良監督)慎重な立ち上がり。5分には清商。遠藤維也(3年・清水FCJY)のドリブルがこぼれた所を、川尻卓(3年・フッチSC)が枠内ミドルで先にシュートを記録すると、8分にもチャンスを創出。松永将磨(2年・清水FCJY)のFKはエリア内にこぼれ、遠藤がうまくステップを合わせたボレーは右のポストにヒット。7000人を超える観衆を沸かせます。
10分はルーテル。木船祐樹(3年・ルーテル学院中)のパスから、牧野慎太郎(2年・ルーテル学院中)がドリブルシュート。DFの跳ね返りを伊藤卓(3年・ルーテル学院中)が果敢にミドル。清商GK志村俊樹(2年・AZ'86東京青梅)がキャッチしましたが、最初のシュートを放ちます。
全体的にボールアプローチの速さもあって、やや優勢にゲームを進めていた清商の中で目を引いたのは、「リズムが他の子と違う」と大瀧監督も話した遠藤。ポスト直撃のボレーを見せた後も、12分には右サイドをドリブルで運ぶと、グラウンダーの素晴らしいクロス。ルーテルも懸命にクリアしましたが、「GKとDFの間にクロスを上げるのは意識していた」と自ら語ったアイデアとテクニックはセンスを感じました。
16分にはエリア内へ侵入した川尻が1人かわして打ったシュートは、ルーテルGK市原武己(3年・ルーテル学院中)が何とかキャッチ。23分、風間宏矢(3年・清水FCJY)の右CKを新井一耀(3年・フッチSC)がヘディングで叩くも、市原がキャッチ。25分、自らが倒されて獲得したFKを風間が直接狙うも、ボールはわずかに枠の左へ。清商も攻撃の手数は繰り出します。
さて、長いボールを蹴り込み、170センチの1トップ伊藤に収めて、そこからスイッチを入れていくスタイルのルーテルは、なかなか清商を脅かすようなシーンを創れずにいましたが、29分にはその形から掴んだ好機。浮き球をしっかり処理した伊藤の落としから、百合本啓太(3年・ルーテル学院中)のボレーは清商ゴールを捉え、志村がファインセーブで何とか回避。33分にもやはり伊藤が収めて左へ。三北啓矢(2年・ルーテル学院中)のクロスは、ファーでフリーの百合本へ届く寸前で清商の左SB兼岡平(3年・清水FCJY)がクリア。36分も伊藤のパスから、再三オーバーラップを見せていた11番を背負う右SBの新田己裕(3年・ルーテル学院中)がわずかにバーを越えるシュートにトライ。小さな1トップが存在感を発揮します。
前半最後のチャンスは清商。40+1分、こちらも最前線で体を張れる佐野翼(2年・ACNジュビロ沼津)が右へ振ると、遠藤は中をよく見て最高のグラウンダークロス。斜めに入り込んだ中田智樹(3年・フッチSC)は足に当て切れませんで
したが、形としては決定機。40分間は共にゴールなく終了しました。
後半はスタートから前半にも増して動きの少ない展開に。47分には佐野が体の強さを発揮。マーカーとの競り合いに勝って、枠へ飛ばしたミドルは市原がキャッチ。51分には風間がショートコーナーの流れから中へ。兼岡のシュートはDFがブロックし、さらに佐野のシュートは市原がファインセーブ。55分には高さにも自信を持つ遠藤のヘディングから、川尻のボレーは枠を捉えるも市原がキャッチ。均衡を破らせません。
そんな膠着した時間帯で輝きを見せていたのは、遠藤と逆サイドのSHを務める中田。大瀧監督も「遠藤と中田にボールが収まれば"止まり木"があるような展開になる」とサイドの重要性をチームの意識として再確認させる中、小気味よく縦への突破を繰り返し、チームの前へ行こうとする攻撃性を鋭く牽引。
64分には佐野、風間と繋がり、中田が左から上げたクロスに遠藤が飛び込むも、シュートはしっかりヒットせず。65分、風間の右CKをDFがクリアするも、左サイドでボールを拾った佐野はすかさずクロス。遠藤が触り、風間が流れの中からは今日初めてのシュートを放ち、ルーテルのゴールを襲いましたが、ここも立ちはだかる市原の壁を打ち破ることはできません。
終盤にさしかかると、前へのパワーを掛けながら「シュートまで行けない」(大瀧監督)清商と、耐えるリズムがしっかりできてきたルーテルという構図。76分には大瀧監督が1枚目の交替カードとして佐野と吉田雄介(2年・LIBERO FC)を入れ替え、「ちょっと前が活性化した」(大瀧監督)ものの、迫り来るタイムアップの時間。0-0のままでPK戦濃厚になってきた終了間際に、しかし伝統の力は残っていました。
左サイドで風間が確実に繋ぎへ入ると、ボールはその直前まで足を攣ってピッチアウトしていた中田へ。中田は「監督が信じてくれたんで」最後の力を振り絞ったクロス。大外から走り込んだ遠藤が左足で合わせたダイレクトボレーは「ボールが弱くて、GKも触っていたので「入ってくれ!」という感じ」(遠藤)でしたが、GKも弾き切れず、コロコロと転がったボールはラインをわずかに越えて、ゴールが認められます。その時間は84分7秒。直後に鳴り響いたのは試合終了のホイッスル。「5-0、6-0より1-0が一番難しい。一番いい勝ち方」と大瀧監督も胸を撫で下ろした清商が、劇的な決勝弾で11年ぶりの全国1勝をもぎ取る結果となりました。
最後の最後まで苦しみながら次のラウンドへ勝ち上がった清商は「もっと前を向いてプレーしたかった」と風間が話したように、攻撃のスイッチを入れる所がなかなかハッキリしなかった印象。確かに遠藤と中田は両サイドを積極的に切り裂きましたが、フィニッシュへと結び付ける部分ではやや物足りなさが残りました。とはいえ、「初戦は硬くなると思っていた」と遠藤も話した通り、全国大会の初戦という特別なシチュエーションをくぐり抜けたことで、勢いが付いたのも確か。2回戦以降の"キヨショウ"はやはり優勝候補だと思います。      土屋

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