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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年12月27日

インカレ準決勝 専修大学×中京大学@西が丘

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写真[1]nishigaoka1225.jpg第2試合は関東王者の専修大学と、東海王者の中京大学が対峙。前者は初出場とはいえ、最激戦区の関東を制した実力者。後者は昨年度のインカレファイナリスト。間違いなく優勝候補同士のビッグマッチです。グッと気温の下がった西が丘は厚い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうな鈍色の空の下、清水商業のOB同士が監督としてあいまみえる一戦はキックオフを迎えました。
27秒の衝撃。あっという間に中京を飲み込んだ専修の荒波。キックオフのボールを奪うと、左へ展開。松本陽介(4年・清水商業)が右足で送ったクロスに町田也真人(4年・埼玉栄)とDFが競り合うと、ボールはゴール方向へ。左のポストを叩いたボールに190センチの体躯で飛び込んだのは大西佑亮(3年・鹿島アントラーズY)。開始から1分も経たない内に創り出したファーストチャンスで先制ゴール。秒単位でスコアが動きました。
ただ、この意外な展開が結果的にゲームをより動きのあるものにしていきます。中京は左SBを務めていた石原卓(3年・徳島ヴォルティス)の出場停止もあって、準々決勝からDFラインを3枚変更。CBだった中田智久(4年・ヴィッセル神戸)がボランチに上がり、全体的に少し守備面を意識したような布陣でスタートしましたが、開始1分の失点で「もう少しベタ引きすると思ってたけど、結構前から来てくれた」と専修の源平貴久監督も話したように、追い掛ける展開でラインも全体的に前へ。
12分には右サイドから清水貴文(1年・ジュビロ磐田Y)が上げたクロスを1トップの藤牧祥吾(4年・清水エスパルスY)が落とし、南部健造(1年・東京ヴェルディY)のシュートは専修のキャプテン庄司悦大(4年・清水商業)が懸命にブロックしましたが、しっかりと崩した形を披露します。
一方の専修は、17分に町田、下田北斗(2年・大清水)、庄司と繋いで右サイドへ。SB北爪健吾(1年・前橋育英)の折り返しを、仲川輝人(1年・川崎フロンターレU-18)がターンから左足で放ったシュートは中京GK奥村佳也(4年・東海学園)にキャッチされると、以降は「CFが大きい子だったのと1点が入ったことで、相手のDFラインが引く前に横からのクロスが増え、楽な方へ流されてしまった」(源平監督)こともあってか、なかなかフィニッシュまで繋がるシーンが出てきません。
膠着状態が続く中、次にビッグチャンスが訪れたのは中京。36分、藤牧が右へ振り分け、南部が入れたクロスを佐藤和弘(3年・ジュビロ磐田Y)はヒールで残し、清水が狙ったシュートはDFがここも何とかブロック。いわゆる"シュート数"にはカウントされない、いい形を創出します。
ところが、38分に流れが変わるシーン。専修が前線から掛けたハイプレスに、慌てた中京DFが自陣深くでパスミス。拾った町田のシュートは奥村がキャッチしましたが、再び専修に勢い。39分、松本、庄司と回して、町田は右へ展開。北爪のクロスは長澤和輝(2年・八千代)に届き、シュートのタイミングは逸したものの、後ろへ戻すと庄司のミドルは枠の左へ。活気付く緑。
すると39分、庄司からパスをもらった町田は、マーカーのステップを見極めたような最高のタイミングでスルーパス。走り込んだ仲川はドリブルで少し運ぶと、やや角度のない所から左スミにコントロールした素晴らしいシュートをゴールネットへ送り届けます。「ゴール前でのイメージによる連携が少なかった」(源平監督)中で、4年生のアイデアと1年生の決定力が見事にシンクロ。流れを掴み切れない中でも、きっちりと2ゴールを上げた専修が小さくないアドバンテージを握って、前半は終了しました。
後半に入ると、ようやく持ち味のボール回しにキレの出てきた専修が、両サイドを使いながら縦への推進力を発揮。50分、松本を起点に大西が繋ぐと、町田が右へ。北爪のクロスを大西が叩いたヘディングはバーの上へ。53分、左から松本が送ったクロスは、斜めに走り込んだ仲川がわずかに届かず。58分、下田が戻したボールを庄司は裏へ浮かせると、受けた長澤はマーカーを1人振り切ってシュートまで。左サイドを中心に中京ゴールを脅かします。特に松本の積極的なオーバーラップはかなりのパワーに。利き足は右なので、カットインからのフィニッシュと、切り返してからの右足クロスという2つの選択肢をうまくチラつかせて、対面の相手を翻弄していました。
さて、なかなかチャンスらしいチャンスも創れず、押し込まれる時間の長かった中京は53分に南部と中村亮太(3年・中京大中京)を、58分には藤牧と石川誠也(2年・八千代)を入れ替え、中村を最前線に置いて、その下に右から佐藤、清水、石川を並べる布陣にシフトしましたが、続く専修のラッシュ。
63分、長澤が中央やや左のゴールまで20m強の位置から直接狙ったFKはバーの上へ。直後にも町田のスルーパスに反応した仲川は、エリア内で転倒するもノーホイッスル。65分には中京も中村がゴールまで30m弱の距離から直接FKを枠へ飛ばしましたが、専修GK朴泰希(4年・ジェフユナイテッド千葉U-18)がキャッチ。67分は専修。下田の右FKを鈴木雄也(3年・武相)が頭で合わせ、奥村が何とかキャッチ。中京は2枚の入れ替えも、「藤牧の所で手を焼いていたので、正直助かった」と源平監督が話したように、流れを変えるような交替策とはいきません。
ただ、72分にはその中京に流れの中からは後半最初のチャンス到来。熊澤圭祐(4年・中京大中京)のクサビを中村が右へ落とし、清水が鋭いクロス。ゴール前にボールがこぼれるも、ここに体を投げ出してブロックしたのは専修のCB栗山直樹(3年・清水東)。フィニッシュには届かず、「後半は落ち着いて見てられたかなと思う」と指揮官も話した専修の牙城を崩せません。
83分からは85分までの3分間で、セットプレーから大西、町田、長澤が続けてシュートを放つなど、終盤も攻撃の手を緩めない専修。92分には熊澤がキャプテンの意地を見せ、左サイドをドリブルで持ち込んでシュートを打ちましたが、朴に防がれ、最後まで遠かったゴール。「ここまでの結果は想像以上」と源平監督も教え子の躍進に舌を巻いた専修が、初めてのインカレで初めてのタイトル奪取へ王手を懸ける結果となりました。
中京はやはり石原不在が響いた印象です。専修の右サイドに配された北爪と仲川の1年生コンビは、いわばイケイケのアタッカーコンビ。ここを石原の"縦"で2人に守備の意識を残せれば、逆サイドでの主導権にも好影響を与えられたかもしれません。それでも主力には1、2年生が多く、自慢の守備面は全国でもトップクラス。今年もあと一歩届かなかった頂点への課題も明確なだけに、来年度のチームも楽しみですね。
堂々のファイナリストとなった専修は「向上心が物凄く強くなった」と源平監督。元々「自信がない選手が多かった」そうですが、今では練習の際に「練習時に全員で"オレはできる"って毎日3回言うことになっている」とのこと。この自己肯定のメンタリティがチームを大きく変えたのだと、指揮官は躍進の理由を分析していました。2部で優勝したチームが、昇格年度に1部で優勝というのは今シーズンのJ1を制した柏レイソルと一緒。「チャレンジャー精神を持って1年間やってきた」(源平監督)集大成が全国のファイナル。究極の下剋上は、あと1つの勝利で完結を迎えることになります。    土屋

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