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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年12月26日

インカレ準決勝 慶應義塾大学×明治大学@西が丘

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nishigaoka1.JPG国立まであと1つ。インカレもいよいよ準決勝に突入。おなじみの西が丘でファイナル進出を懸けた2試合が行われます。第1試合は関東3位の慶應義塾大学と、関東2位の明治大学がぶつかる関東勢同士の対決。リーグ戦では2試合共に慶應が勝利を収めましたが、お互いにユニバーシアードで主力を欠いた天皇杯予選では明治が勝利しています。
また、慶應には右SBの田中奏一(4年・FC東京U-18・岡山内定)、左SBの黄大城(4年・桐生第一)、1トップ下の河井陽介(4年・藤枝東・清水内定)、1回戦の福岡大学戦で顔を負傷してしまい、このゲームは欠場となった日高慶太(4年・桐蔭学園・山形内定)と4人のJリーグ内定選手が在籍。また、明治にもGKの高木駿(4年・東京ヴェルディY・川崎内定)、CBの丸山祐市(4年・國學院久我山・FC東京内定)、ボランチの宮阪正樹(4年・FC東京U-18・山形内定)と3人のJリーグ内定選手がスタメンに顔を揃えるなど、タレントも豊富。準々決勝とは一転、陽なたに行けばポカポカした陽気の中でセミファイナルはキックオフを迎えました。
ゲームはお互いに慎重な立ち上がり。慶應はボールを広く回して様子を窺い、明治はやや長いボールを多用するなど、スタイル的には噛み合わないまま、比較的静かな展開が続きます。8分には明治にファーストシュート。右サイドから宮阪が入れたFKを丸山が頭で合わせるも、慶應GK中川翔太(4年・國學院久我山)がキャッチ。9分は慶應。田中のパスから風間荘志(4年・暁星)がエリア内へ切れ込み、DFともつれて倒れるも岡部拓人主審はノーホイッスル。こぼれを田中が送ったクロスに、1トップを務める大塚尚毅(4年・滝川第二)のヘディングは高木がキャッチ。2分間でお互いにチャンスを創り合います。
ただ、以降は少しずつピッチの幅を使い始めた明治がゲームリズムを掌握。ボランチの宮阪と三田啓貴(3年・FC東京U-18)のボールタッチが増え、SBの豊嶋剛平(4年・柏レイソルU-18)とSHの田中恵太(4年・三菱養和SC)で組む右サイドが活性化。押し込む時間が続くと、20分に生まれた先制ゴールもやはり右サイドから。宮阪のパスを受けた岩渕良太(3年・FC東京U-18)は右へ展開。田中がドリブルからピンポイントで折り返すと、岩渕は冷静にダイレクトで枠内にシュート。歓喜の紫紺。まずは自分たちの流れを生かした明治がアドバンテージを握りました。
止まらない明治のラッシュ。23分、宮阪の右CKを関東リーグの得点王でもある阪野豊史(3年・浦和レッズY)がヘディングで枠へ飛ばすも、山浦公裕(3年・FC東京U-18)がライン上で何とかクリア。そのCKも再び宮阪が蹴り入れると、三田がフリーで合わせましたがボールはバーの上へ。27分、またもセットプレーのチャンス。宮阪の左FKはDFのクリアに遭ったものの、矢田旭(2年・名古屋グランパスU18)が左からアーリークロスを上げると、阪野のボレーはわずかにバーの上へ。追加点の機会が連続して訪れます。
対照的に慶應は「彼がほとんどボールを持てなかったと思う」と神川明彦監督が話したように、攻撃のキーマンとも言うべき河井がなかなかボールに触れず、前へのテンポが出てきません。また、その影響もあって1トップの大塚も孤立する時間が長く、アタッキングサードにも入れない展開に。39分には明治が慶應GK中川のミスキックからチャンスを迎え、阪野との1対1は中川が自ら責任を取る形で阻止しましたが、リズムの出てこないチームを象徴するようなシーン。シュート数は1対8。明治がスコアでも内容でも上回って、ハーフタイムに入りました。
後半もまずは明治がミドルレンジからのシュートチャレンジ。46分に田中、48分に三田、51分に矢田が次々にミドルを狙うなど、2点目を積極的に奪おうという姿勢が表れます。56分には神川監督が1枚目のカードチェンジ。「ケガもあったし、少し相手のボランチに狙われていた」三田を下げて、石原幸治(1年・市立船橋)を左SHへ投入。矢田がボランチへスライドして、中盤での収まりとプレスの強度を高めに出ました。
一方の慶應はどうしてもボールをバイタルまで運べず、「河井くんが下がって受けてくれたのは、ウチにとってよかった」と神川監督。前で触れない河井はボランチのラインまで下りて捌くシーンが増加。ドイスボランチの藤田息吹(3年・藤枝東)と増田湧介(1年・清水東)もボールタッチは増え、パスの回りはスムーズになったものの、エリア内へ侵入するようなシーンまでには至りません。
71分には須田芳正監督も1枚目の交替を決断。なかなか流れに入れなかった大塚を諦め、山浦新(1年・東京ヴェルディY)を右SHへ送り込み、風間が1トップへ移って、何とか1点を奪いにいきます。前述したように、元々リーグ戦では慶應が連勝するなど、両者の実力はほとんど互角。そうなると「1-0でリードしている側が押し込まれる時間が長くなる」(神川監督)のもサッカーの定石。
74分には河井の右CKから、こぼれを拾った山浦新は右サイドからグラウンダーの折り返し。中で待っていた松下純土(2年・國學院久我山)はダイレクトで枠内にシュート。形は明治の先制ゴールに酷似していたものの、ここは高木が冷静にキャッチ。スコアは動きません。78分も慶應。風間が右へ振ると、後半は積極的なオーバーラップを繰り返していた田中がファーまで届くクロス。河井はボレーで叩くも、勢いは弱く高木がキャッチ。凌ぐ明治。双方の応援団も声を振り絞って、ピッチの選手たちを鼓舞します。
そして規定の時間が終了する直前の90分に開いたスコア。体の強さを遺憾なく発揮していた阪野の落としから、1分前に投入されたばかりの野間涼太(2年・青森山田)が右へスルーパス。こちらは10分前に投入された梅内和磨(2年・EC東京U-18)がドリブルから右足を振り抜くと、ゴール左スミへ飛び込んだボール。明治にとっては最高の、慶應にとっては最悪の追加点。スコアボードには0-2 という数字が浮かび上がりました。
ところが、折れない慶應。点差が開いても前へ。92分、右サイドの山浦新が中へ送ったボールを藤田が巧みなターンからシュートを打ち切ると、DFに当たってコースが変わったボールはGKも辛うじて触ったものの、ポストの内側を叩いてゴールに転がり込みます。1-2。またも1点差。
死力を尽くすアディショナルタイム。最後の瞬間まで走り切る両者。気付けば陽射しの消えた曇り空へ吸い込まれた、タイムアップのホイッスル。明治がリーグ戦のリベンジを達成し、2年ぶりのファイナルへ駒を進める結果となりました。
慶應はレギュラー2人が出場停止、日高が負傷欠場と主力を欠く中で、最後まで諦めない姿勢を見せてくれました。9年ぶりのインカレでベスト4進出は立派な成績。関東1部復帰から3年で、再び"強豪"の座に返り咲いたと言っていいでしょう。
明治はシーズン序盤の春先こそ苦しんだものの、最終的にはリーグ2位まで浮上。高木、丸山、宮阪とJリーグ内定選手で組むセンターラインは間違いなく大学最強レベル。脇を固める選手もタレント揃いで、「登録30人が全員ケガなくやれているので、18人が堂々とメンバーに入っている」と神川監督もチームの仕上がりに手応えを感じている様子。頂点まではあと1試合。2年ぶりの全国制覇がいよいよ現実味を帯びてきました。       土屋

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