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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年12月25日

天皇杯準々決勝 京都×湘南@等々力

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201112260233000[1]kyotosyonan.jpgJ1とJ2が分かれた1999年以降、初めて実現したJ2同士の準々決勝。昨シーズンの降格組ながら、今シーズンは難しいシーズンになってしまった京都と湘南が等々力で対峙します。当然、レギュラーシーズンでも2回対戦している両者ですが、日程の妙があって10月26日と29日の連戦に。先に行われた湘南のホームゲームでは田原豊のオウンゴールで、中2日で迎えた京都のホームゲームでは宮吉拓実のゴールで、共に京都が最少得点差を守って勝ち点3を奪取。3度目のリターンマッチは、シチュエーションを考えても過去最大のビッグマッチと言えそうです。
スタートから積極的に前へ出ていったのは湘南。「強豪の2トップに対して、ウチがCB2人だと対応できないかなと。このシステムは突貫の所もある」と反町康治監督が話したように、4回戦の川崎戦同様、3-6-1を採用すると、右WBに入った臼井幸平の積極的なチャレンジもあって、2分にはFK、4分にはCKを共に右サイドで獲得。セットプレーのチャンスを創出します。
ただ、8分にドゥトラが長い距離をドリブルで運び、シュートには至らなかったものの個の脅威を見せ付けると、ここからは京都の時間帯。10分には工藤浩平が右へ付けると、中山博貴は絶妙なグラウンダークロス。宮吉が潰れ、ドゥトラのシュートはDFが何とかブロックしましたが、素晴らしい崩しを披露しました。
3バックをシーズン終盤から4バックに変えた京都は、中盤にダイヤモンド形を選択。工藤曰く「(チョン・)ウヨンが低い位置なのは決まっていて、今日は(中村)充孝が前ということになった。(中山)博貴とは持ちつ持たれつで動いている」とのこと。SHの工藤と中山には比較的自由が与えられているようで、それなら右サイドで2人のパス交換が行われるのも納得です。
以降も局地的なショートパスがよく回り、「自分たちが楽しんでプレーしている」(水谷雄一)京都のリズム。いわゆるチャンスという意味での手数は湘南が多く繰り出していましたが、ゲームコントロールは「15分過ぎから前半は何とかゼロで終わりたいと思っていた」と反町監督も認めたように、京都が握っていたと思います。
22分には湘南も菊池大介の右CKから、山口貴弘がわずかにクロスバーを越えるヘディング。29分にはハン・グギョンが左へ展開すると、坂本絋司のクロスを田原がシュートまで持ち込むも、京都のCB森下俊が飛び込んでブロック。惜しいチャンスは創る湘南。35分、菊池のCKを田原がスルーし、永木亮太のシュートはバーの上へ。37分、右サイドの直接狙える位置で得たFKは永木が小さく出すと、坂本のシュートは枠の上へ。少しずつゴールが近付いてきている雰囲気はありました。
ところが、40分にサンタクロースが微笑んだのは京都。「ベッカム並のいいキックをする」(反町監督)チョン・ウヨンの右CKを秋本が高い打点で折り返すと、「秋本は競り勝つだろうと思って、セカンドボールの位置を考えて動いた」ドゥトラは巧みにワンタッチでプッシュ。直後に飛び出した"サムライ"パフォーマンスも見事に決まり、京都が1点のリードを奪ってハーフタイムへ入りました。
後半もスタートは京都が攻勢。49分には中山が、51分にはチョン・ウヨンがミドルにチャレンジするなど、追加点への意欲を押し出します。「ハーフタイムに、これが最後の試合になるのは寂しいだろという話をした」と反町監督が語った湘南は、53分に坂本を下げて、石神直哉を左の中盤アウトサイドに投入。高山薫が2シャドーの一角に入ると、「少し目が覚めたのか」(反町監督)反攻開始。
60分には菊池、遠藤航と繋いで、左サイドから石神が上げたクロスに田原がボレーで合わせ、ボールは枠を外れたものの崩した形を創出します。65分には京都にも決定機。チョン・ウヨンが右へ送ると、宮吉の落としからドゥトラが枠にボレーを飛ばすも、野澤洋輔がファインセーブで阻み、1点差をキープすると、ここからは湘南のラッシュ。
68分、ゴール左寄り、約20mの距離から永木が直接狙ったFKはクロスバーの上へ。72分、ハン・グギョンが最高のタイミングで出したスルーパスに、全力で駆け上がった臼井が抜け出すも、トラップが大きくなってしまい、飛び出した水谷がファインセーブ。少しずつ迫りつつあるゴールの予感。
そして75分には最大のチャンスが到来。菊池が左から蹴り入れたCKに、ニアで戻りながら合わせた高山のヘディングはゴール右スミへ向かいます。このボールに飛び付いたのは水谷。「考えている時間はない」本能のスーパーセーブでほぼライン上からボールを弾き出すと、こぼれに頭から飛び込んだ遠藤のシュートが右スミへ転がるのも、ラインギリギリで掻き出します。直後に飛び出した全身でのガッツポーズ。「自分の仕事なんで自信を持ってやっている」と話した守護神の超ビッグプレーが京都に飛び出し、スコアは動きません。
反町監督も77分にハン・グギョンと松尾直人、80分には山口と岩尾憲を入れ替え、4-4-2気味にシフトして最後の勝負に。82分、鎌田翔雅のフィードを菊池が収めて放ったミドルはバーの上へ。86分、高山の強引なミドルは大きくバーの上へ。テクニカルエリアから下がらない反町監督。アディショナルタイムは3分。
91分、高山のパスを受けた岩尾は、右に走り込んだ臼井をおとりに、切り返してシュートを枠へ飛ばすも水谷キャッチ。92分、永木が左へ展開し、石神のクロスに岩尾がダイビングヘッドを敢行もボールは枠の左へ。94分、鎌田のフィードに退団が決まっている田原が競ると、やはり退団が決まっている松尾はダイレクトボレー。ゴールへ向かったボールが直後に響かせたのは、乾いた金属音。「大木さんの表現したいサッカーを、自分たちがグラウンドで表現できるようになってきている」(チョン・ウヨン)京都が粘る湘南を振り切り、準決勝の国立へと勝ち上がる結果となりました。
今の京都は相当強いと思います。リーグ戦終盤の好調をそのまま持続しており、「相手がどこであろうが、自分たちのサッカーを意識してやっている」と水谷が話したように、"大木スタイル"が浸透してきているのはゲームを見れば明らか。ある意味、来シーズンへの期待も込めたボーナスステージはもはやベスト4。9年ぶりの頂点も決して夢ではないかもしれません。
湘南は終盤に意地を見せたものの、1点の重みに泣く結果に。今シーズンは京都に3試合すべて0-1で敗れたことになります。「もう1つ上のステージまで行きたかったが、実力相応の結果」と話した反町監督にとって、様々なトピックスに彩られた3年間におよぶ"古巣復帰"もこれがラストゲーム。3バックの採用に関して「どちらかというとバルサというより、ナポリやウディネーゼのイメージの方が強い。ただ、ウチにはカバーニもハムシクもラベッシもいない訳で」と海外サッカーマニアぶりを披露したり、「今日はクリスマスイブなんだから、みなさんも質問なんかしないで帰った方がいいですよ」と笑わせてみたりと、最後まで"ソリさん"らしさを貫いて会見場を、そして湘南を去っていきました。      土屋

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