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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年12月31日

高校選手権1回戦 浦和東×那覇西@埼スタ

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写真[1]saitama1.jpgワールドカップの舞台になったスタジアムでプレーできる高校生の僥倖。今日訪れた選手権1回戦の会場は埼玉スタジアム2002です。第1試合に登場するのは、県大会決勝でもこのピッチを経験している"ホーム"の浦和東と、おそらく日常とは10度近い気温差の中で戦うことになる沖縄の那覇西。お互いに今のチームで年越しをするためにも、負けたくない一戦なのは間違いありません。気温は14.7度ながら、いかにもこの時期らしい寒風が吹き荒ぶ中、那覇西のキックオフでゲームはスタートしました。
開始早々の2分、右SBの宮寺隼平(3年・1FC川越水上公園)がドリブルから枠内へ飛ばしたミドルを号砲に浦和東のラッシュ。3分には左サイドから岸健太郎(3年・越谷FC)がグラウンダーのクロスを上げると、フリーの星子直哉(3年・白岡篠津中)が合わせたシュートは左のポスト直撃。相手ゴールへ迫ります。
一方の那覇西は立ち上がりから徹底して長いボールをDFラインの背後に入れて、2トップの新垣航平(3年・FC琉球JY)と山内昌汰(3年・ヴィクサーレ沖縄FC)を走らせる展開に。7分には宮城晃太(3年・FC琉球JY)のパスから山内が抜け出し、シュートを枠内へ。いわゆるチャンスに繋がったのはこのシーンくらいでしたが、浦和東のラインを押し下げるという意味では、効果的な作戦だったと思います。
ところが、意外な形から浦和東に絶好の先制機。15分、宮寺が頭で中央へ入れた ボールは混戦に。エリア左でボールを持った菊池将太(3年・鴻巣赤見台中)が倒されると松井健太郎主審はPKを指示。スポットには菊池が自ら立ちます。県大会の決勝でもやはり埼スタでPKを決めている10番が狙ったのは左スミ。枠へ飛んだキックは、しかし那覇西GK稲福千秋(3年・FC琉球JY)が完全に読み切ってキャッチ。エース対守護神は守護神に軍配が上がり、スコアレスは変わりません。
「この1カ月半はいいムードで入ってきたのに、前半は本当に硬かった」とは野崎正治監督。それをこのPK失敗が後押ししてか、浦和東はなかなか流れの中からはチャンスらしいチャンスを創れなくなっていきます。また、ゲーム自体は押し気味に進めている中で、セットプレーは多数獲得。19分、21分、23分、27分、27分、28分と10分間で6回のCKがあったものの、そのいずれもシュートまで繋げることはできません。逆に32分は那覇西。山内悠(3年・ヴィクサーレ沖縄FC)のフィードを右サイドで受けた山内昌汰がカットインからシュート。大きく枠を外れましたが、PK以降で両チーム通じて初めてのシュートは那覇西に記録されます。
リズムの出てこない浦和東にあって、目立っていたのはドイスボランチの一角を担う大澤敬(3年・東京久留米FC U-15)。持ち前の機動力で前への意識を強く打ち出し、33分と39分にはそれぞれ有野涼(3年・さいたま本太中)と菅原悠平(3年・1FC川越水上公園)のミドルをラストパスでお膳立てすると、40分には自らにビッグチャンスが到来。1本のフィードを菊池が頭で落とすと、抜け出した大澤は1対1。しかし、稲福も我慢して不用意には飛び出さず、大澤が浮かし気味に繰り出したシュートはわずかに枠の左へ。お互いのスコアボードはゼロのまま、40分間は終了しました。
ハーフタイムでメンバーを入れ替えたのは浦和東。岸を下げて、「ノックアウト方式なので温存していてもしょうがない」と負傷を抱えた鄒龍輝(3年・さいたま三室中)を投入します。すると、後半開始からわずか14秒の閃光。大澤がオーバーヘッドで右へ送り、菅原が低い弾道のクロスを入れると、中央に走り込んだのは鄒。ボレーで那覇西ゴールを破ったシュートはファーストタッチ。「何かやってくれるだろうと思ってた」という指揮官の期待に音速で応え、浦和東が1点のリードを手に入れました。
序盤とは打って変わって、最終ラインからしっかり繋いでいくスタイルを表現していた那覇西は、チームとしての狙いは見て取れるものの、あと一歩のパス精度に欠け、自陣でボールを失ってしまうシーンもしばしば。51分には、奮闘していた1年生CB徳元悠平(糸満三和中)の右CKがエリア外でフリーの山内悠へ届きますが、シュートは枠の右へ。数少ないチャンスも生かせません。
すると61分、高い位置でボールを奪った星子は、素早くハイクロス。飛び出したGKとDFの前に入った菊池は、ニアでヘディング。ゆっくりと転がりながら、ネットへ到達したボール。PK失敗の汚名返上。点差が広がりました。
これで少し集中の糸が切れてしまった那覇西へ襲い掛かる"ホームチーム"。66分、星子が右へ丁寧に送り、受けた菅原が思い切りよく右足を振り切ると、ボールはDFに当たってGKの頭上を破り、3点目。68分、小畠俊貴(3年・埼玉UNITED FC FESTAトレノ)のロングボールを、体の強さで収めた菊池が豪快にゴールネットに突き刺す4点目。
71分には那覇西も具志泰佑(3年・那覇小禄中)のスルーパスから、山内昌汰が放ったシュートはサイドネットの外側。1点を奪うまでには至らず、その1分後には手痛いミスが発生。バックパスを足で処理したGKのキックは、運悪く菊池の足元へ。菊池は鮮やかなシザーズでGKをかわすと、5点目を蹴り込み、ここで打ち止め。前半はPKを外し、「ハーフタイムも暗かった」と指揮官も話した菊池が後半だけでハットトリックの活躍。「どことやっても1点差」(野崎監督)という浦和東が大量5ゴールをマークして、年明けに行われる埼スタでの2回戦へコマを進める結果となりました。
「先制点が大きかった」と野崎監督が振り返ったように、2分のポスト直撃と16分のPK以外は、押し込みながらもほとんど決定的なシーンを創れなかった浦和東にとって、大きく流れを変えるキッカケになったのは、やはり先制点。しかも投入されたばかりの鄒が起用に応える結果をすぐに出したことも、チームを勢いづかせた要因でしょう。スタメン11人は全員が3年生。最後の冬はまだまだ続きます。       土屋

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