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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
インターハイ出場のかえつ有明が初戦で敗れるという波乱はあったものの、それ以外は比較的来るべきチームがベスト4に出揃った印象の東京B。昨日に引き続き、東京サッカーの聖地・西が丘でファイナルへの切符を争う戦いが行われます。
第1試合に登場するのは、3年ぶりの全国を狙う國學院久我山と、連覇まであと2つに迫った駒澤大学高。インターハイではそれぞれ準決勝と準々決勝で敗退したため、選手権に懸ける想いは非常に強いはず。決勝のカードでもおかしくないようなビッグマッチです。そして相変わらずの凄まじさは駒澤の大応援団。バックスタンドの割り当て区域には収まり切らず、ゴール裏にまで赤が浸食。ただ、数では劣る久我山サイドも当然負けじと張り合う姿勢を披露し、素晴らしい雰囲気の中でゲームはキックオフを迎えました。
先に勢いを持って入ったのは駒澤。2分、お馴染みとなりつつある右SB大野友晃(3年・深川第三中)のロングスローに、広瀬貫太(2年・ヴィヴァイオ船橋)が競り勝ち、最後は東呈次(3年・FC駒沢U-15)のダイビングヘッドがわずかに枠の右へ。9分、藤居亮介(3年・浦安入船中)の右CKに大越龍之介(3年・奈良中)がドンピシャで叩いたヘディングはクロスバーを直撃すると、こぼれを狙った佐久間航輝(3年・フレンドリー)のシュートもクロスバー直撃という不運。10分、東の左CKから藤居の放ったシュートは、DFが何とかブロック。ロングスローを含む得意のセットプレーから、決定的なシーンを連続して創出します。
この立ち上がりの駒澤ペースを牽引していたのは、スタメンに抜擢された広瀬の高さ。準々決勝の明治大学付属明治戦でも、DF登録ながら終盤に最前線へ送り込まれるとハイボールはほとんど勝利。今日もFKだけではなく、相手陣内で獲得したスローインはほぼロングスローを選択していたチームにとって、8割近い確率で競り勝っていた広瀬の存在が、ペース奪取に大きく貢献していたのは間違いありません。
ただ、「最初で取り切りたかった」と大野祥司監督も話したように、駒澤からすれば、久我山が圧力に押されている内に先制点を取りたかったというのが正直な所。序盤のラッシュが落ち着くと、久我山にもチャンス到来。18分には左サイドからキャプテン右高静真(3年・横浜F・マリノスJY)が蹴ったFKを、大畑圭輔(3年・柏レイソルJY)が折り返すと、ゴール前の混戦になり、何とか駒澤DFがクリア。24分にはまたも右高の左FKが低いボールで中へ入ると、ニアで駒澤GK星樹(3年・J-SPORTS FC)が辛うじてキャッチ。少しずつパスワークが戻ってきた久我山にペースが移っていきます。
4-3-3で入った久我山は、3トップの右に位置する右高が攻撃のスイッチ。基本は右にいるものの、かなり自由にボールを引き出すと、左へのサイドチェンジも多々。また、3トップ左の大畑もキープ力とキック力に優れ、どちらかと言うと左サイドからのチャンスメイクが目立つなど、幅を使った攻撃で相手を翻弄。後手に回った駒澤は33分までに最終ラインの2人がイエローカードをもらうなど、ジリジリと久我山に押し込まれます。
するとスコアが動いたのはやはり左サイドから。37分、左に流れた3トップ中央の富樫佑太(1年・ジェファFC)からパスを受けた白瀧秀斗(3年・Forza'02)は思い切ったミドル。これが濡れたピッチも手伝ってかGKをすり抜け、ゴールネットを揺らします。引き寄せた流れの中で、確実にチャンスを生かした久我山が1点をリードして、前半の40分間は終了しました。
後半も出足がよかったのは駒澤。42分にはこのゲーム初めてと言ってもいいくらいショートパスが繋がり、東のラストパスを邊見洋平(3年・FC駒沢U-15)が受けたものの、一瞬早く久我山DFがクリア。47分、大越のフィードに藤居が反応し、こぼれを拾った広瀬のシュートはDFに当たってGKキャッチ。さらに58分、佐久間のロングスローに広瀬が競り勝ち、藤居が頭で繋ぐも、東はシュートを打ち切れず。チャンスの数では久我山を上回りながら、追い付くことはできません。
すると再び久我山がゲームを掌握。59分、巽豪(2年・横河武蔵野JY)のフィードを大畑が繋ぐと、6分前に投入された山内寛史(2年・Az'86 tokyo-ome)のシュートはDFに当たって枠の右へ。そのCKを右高が蹴ると、石井大輝(2年・ジェファFC)のヘディングは星がキャッチ。62分、市木良(3年・横河武蔵野JY)のクサビに右高は鋭いターンで前を向き、右からカットインしながら放ったシュートはわずかにバーの上へ。65分、後方からのフィードを富樫に替わって最前線へ入った室井晃希(3年・江戸川清新第一中)が頭で落とすと、右高の左足シュートは星の正面。惜しいシーンが続きます。
そして68分、エリアの外でボールを持った渡辺夏彦(1年・トリプレッタ)は、室井とのワンツーからマーカーを外すと、ゴール中央に堂々と突き刺すゴラッソ。1年生とは思えない落ち着きで中盤を仕切っていたルーキーの貴重なゴールが飛び出し、点差が広がりました。
苦しくなった駒澤は72分、奮闘した広瀬を下げて、高須雅也(3年・フレンドリー)を投入。75分には飯泉優人(2年・FC東京U-15深川)の右クロスを、木村直貴(3年・川崎有馬中)が繋ぎ、高須はシュート体勢に入りながらも久我山DFの抵抗に遭い、シュートを打てません。76分にも飯泉と須田敢太(3年・JACPA東京)をスイッチして何とか1点を返しにいきますが、ラストチャンスとなった85分のCKも、高須のキックは中央まで届かず。鳴り響いたタイムアップのホイッスル。久我山が2年続けてのファイナルへ駒を進める結果となりました。
勝った久我山は夏よりかなりレベルアップした印象です。システムも4-4-2から4-3-3に変わり、中盤には渡辺に平野佑一(1年・東京ヴェルディJY)と、1年生が定着。サイドアタックにも迫力が出てきました。昨年度は決勝で悔しい負け方をしているだけに、その舞台に懸ける想いもひとしお。3年ぶりの全国へ向けてリベンジする準備は整っています。
駒澤は全国へ出場した昨年度のレギュラーが全員卒業。メンバーも固定して戦っていたため、今年のチームは実質ゼロからのスタートでした。大野監督もお会いする度に「今年は本当にそんな強くないんで」と苦笑いされていましたが、それでもしっかり2年連続の西が丘まで到達。最後に「よくここまでやりました」と話してくれた大野監督の言葉は、周囲から昨年度のチームと常に比較されながらも、それにしっかりと立ち向かい、最後の1秒まで全力を尽くした選手たちに対する最高の賛辞だったと思います。 土屋
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