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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年11月13日

高校選手権東京B決勝 國學院久我山×早稲田実業@西が丘

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写真[1]nishigaoka2.jpg1試合目の興奮覚めやらぬ中で迎えた、東京Bブロックのファイナル。西が丘の地へ辿り着いたのは國學院久我山と早稲田実業。実力校同士の激突です。昨年度は決勝で都立駒場に1点差の惜敗。今年度もインターハイは準決勝まで勝ち進むも、東久留米総合にPK戦で敗れるなど、全国まであと1勝での足踏みが続く久我山。夏とはシステムも変わり、スタメンも半分は入れ替わるなどマイナーチェンジを施して、最後の1試合に臨みます。
昨年度は上形洋介(現・早稲田大)という絶対的なエースを擁して、選手権はベスト8、T1リーグでも6位と躍進した早実。今年度はここまでなかなか結果が出なかった中で、最後の選手権は堂々のファイナル進出。「ウチの泥臭さがどれぐらい付いてきたかの総決算」(森泉武信監督)となる一戦に、初の全国が懸かります。泣いても笑っても東京高校サッカー界にとっては、これが正真正銘のラストゲーム。6481人の大観衆がスタンドを埋め尽くす中、早実のキックオフでファイナルの幕が上がりました。
序盤からポゼッションでは久我山が上回ったものの、早実もボールアプローチの速さで対抗。「技術的な差は相当ある」と森泉監督も認める中で、ある程度ボールは回されながら、得意のセットプレーに活路を求めると、17分には大丸瞬(3年・FC東京U-15深川)の左CKに、1トップの呉田敬介(3年・Forza'02)が頭で合わせたボールは右ポストを直撃。あわやというシーンを創出します。
ただ、やはり徐々に久我山がペースを掌握。3トップの右に位置するキャプテンの右高静真(3年・横浜F・マリノスJY)は相変わらずの切れ味鋭いドリブルで攻撃を牽引しますが、それ以上に躍動していたのは中盤の前目に位置する渡辺夏彦(1年・FCトリプレッタ)。李済華監督もその成長を認める1年生は、広範囲に動いてボールを引き出し、チームにテンポをもたらします。
23分には大畑圭輔(3年・柏レイソルJY)が左サイドからドリブルで持ち込み、エリア内へ侵入すると、ここは早実GK岸浪卓志(2年・大宮アルディージャJY)が鋭い出足でファインセーブ。31分、左サイドからの鋭いサイドチェンジを受けた右高は、トラップでマーカーをいなすと、カットインしながら枠のわずか左へ外れるシュート。
さらに35分には「スタメンでもおかしくないが、チームとして彼をポイントで使いたい」と李監督が話した室井晃希(3年・江戸川清新一中)を富樫佑太(1年・ジェファFC)に替えて3トップの中央へ送り込むと、いきなり絡んだ決定機。36分、井上大(2年・横河武蔵野JY)、白瀧秀斗(3年・Forza'02)と繋ぎ、大畑のスルーパスに抜け出した室井は完全にGKと1対1。ここは岸浪が左手一本でビッグセーブを繰り出し、先制とはいきませんでしたが、いきなり交替策が奏功するなど、前半は久我山優勢でハーフタイムへ入りました。
迎えた後半も全体の構図は変わらず。ただ、「ディフェンシブな戦い」(森泉監督)を耐えながら続ける早実に、ボールを動かしながら攻める久我山はなかなかシュートチャンスを創れず、52分に白瀧と山内寛史(2年・Az'86tokyo-ome)をスイッチし、中盤に変化を付けると、58分には渡辺のスルーパスに反応した右高がシュートを放つも、早実の右SB牟禮宏晃(3年・横浜中川西中)が体でブロック。逆にしっかりと守備のリズムができてきた早実は、59分に呉田のドリブルから最後は鈴木崇文(2年・東京ヴェルディJY)がフィニッシュまで。60分、61分には続けて大丸がそれぞれCKとFKからいいボールを蹴り込むなど、流れはイーブンになりつつありました。
ところが、一瞬で牙を剥いた久我山。62分、最終ラインでのゆったりとしたビルドアップから、井上は突如として利き足とは逆の右足で縦へ。受けた山内はドリブルで運んでから中へ送り、走り込んできた渡辺が躊躇なく右足を振り抜くと、豪快に揺れたゴールネット。1年生の渡辺が準決勝に続いて西が丘で連発。久我山が1点のアドバンテージを握ります。
ようやくゲームの流れを引き寄せかけた矢先に失点を喫した早実。65分にはアンカーの谷翔太郎(2年・杉並荻窪中)を下げて、小高圭佑(3年・冨岡中)を投入。森泉監督も攻撃に比重を置く交替策で、勝負に出ます。すると意外な形から掴んだ決定的なチャンス。71分、久我山の何でもない最終ラインでの繋ぎにミスが出ると、インターセプトした平澤遼(3年・浦和レッズJY)は3人に囲まれながら構わずシュート。ボールは強い意志と共にゴール左スミへ突き刺さります。流れの中から初めて掴んだ決定機を確実にモノにした早実。西が丘に広がる"紺碧の空"。1-1。東京のファイナルは2試合続けて延長戦へと縺れ込むことになりました。
迎えた延長前半、早実はスタートから小高と野田絋暉(1年・東京ヴェルディJY)をスイッチ。82分にも中川諒(3年・早稲田実業中)を下げて、近藤大介(1年)をCBへ投入。大丸を1列上げて、前へのパワーを強めます。展開は一進一退。86分は久我山。山内のスルーパスに、後半から途中出場の山本哲平(2年・ジェファFC)が抜け出しかけるも、岸浪が体を張ってキャッチ。そして87分は早実。大丸からハーフウェーライン付近で横パスを受けた野田は、スルスルとドリブルで持ち上がると、ゴールまで30m近い距離から思い切ったミドルを敢行。少しブレ気味に枠を捉えたボールはGKが弾き切れず、ゆっくりとネットへ到達します。こちらも1年生が殊勲の逆転弾。「トータルで色々なことがハマった」(森泉監督)エンジが、とうとうスコアを引っ繰り返しました。
さすがに焦りの色が見え始めた久我山。91分、渡辺のパスから平野佑一(1年・東京ヴェルディJY)の左足ミドルはクロスバーの遥か上へ。93分、右高のFKは枠へ向かうも岸浪がパンチング。「ここまでもほとんど勝ってきたのは1点差。ディフェンスには自信を持っていた」とは森泉監督。初めての全国へカウントダウンが始まります。
しかし、終わらないドラマ。96分、早実のクリアを巽豪(2年・横河武蔵野JY)が頭で繋ぐと、平野は針の穴を通すような最高の精密スルーパス。受けた山本のダイレクトシュートは、飛び出した岸浪をわずかにすり抜け、ゴール右スミギリギリへ飛び込みます。「ずっとケガしていて、今週の火曜日からトレーニングを始めた選手。アイツしか入らないゴール」と李監督も讃えた山本の同点弾。再び勝敗の行方はわからなくなりました。
97分は早実。左サイドから鈴木が上げたクロスはフリーの野田へ届くも、頭での折り返しを選択するとシュートには繋がらず。99分は久我山。山本、渡辺、山本とショートパスが回り、右高がエリア外から浮かせたコントロールミドルはクロスバー直撃。死闘はクライマックス。双方、死力を振り絞ります。
アディショナルタイムは2分。101分は早実。大丸の左CKはシュートまでいけず。102分も早実。大丸の右CKもシュートまでいけず。103分を回ったラストプレー。右サイドで得たFKは久我山。右高の右足から放たれたボールは、ニアへ体を投げ出した巽の頭を捉えると、ゴール左スミへ吸い込まれます。71分の失点は自身のミスパスから。「自分のミスで点を取られたので、取り返してやりたいという思いで飛び込んだ」巽の劇的な一撃は、全国を呼び込む決勝弾。「私の指導者の歴史の中でも何度もあることじゃない。非常に感動した」と笑顔で振り返った李監督。久我山が延長後半での再逆転という、ドラマチックのロイヤルストレートフラッシュを演じ、3年ぶりに東京の頂点を極める結果となりました。
AブロックもBブロックも、ファイナルの名に違わぬ最高のゲームだったと思います。この1年間さまざまなチームを見てきましたが、その最後としては申し分のない2試合に、私も大いに感動させてもらいました。どうしても東京の高校年代はクラブユース勢に強豪が多く、なかなか高体連所属のチームにはスポットが当たりにくいのですが、今日の4チームを筆頭にして本当に個性的なチームが数多く顔を揃えています。是非東京の"高校サッカー"にも注目してみて下さい!       土屋

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