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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年10月19日

J2第6節 東京V×徳島@国立

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201110200456000[1]kokuritsu.jpgここに来て、前半戦の順延分が次々とミッドウィークに組み込まれていく、過酷な10月のJ2・5連戦シリーズ第2ラウンド。今日訪れたのは国立競技場。8位の東京Vが4位の徳島を聖地で迎え撃つ一戦です。リーグトップの55得点という破壊的な攻撃力を持ちながら、「ディフェンスで勝った試合がない」と川勝良一監督も話した通り、守備に安定感を欠くゲームが多く、なかなか勝ち点を伸ばせない東京V。昇格圏までは11ポイントと、1つも落とせない戦いが続きます。
一方、9試合を残した時点で3位札幌とは1ポイント差と、堂々の4位に付ける徳島。「クラブとしてこういう争いをしたことがない」(美濃部直彦監督)状況を戦っているとはいえ、FC東京に内容では上回りながら敗北を喫すると、次の京都戦でしっかり勝ち切るなど、粘り強くポイントを奪取。昇格争いを演じる主要キャストであることは間違いありません。
15.6度という、「冬の試合観戦ってこんな感じだったかなあ」と久々の感覚を思い出させてくれるような気候の中でキックオフされたゲームは、いきなり動いたスコア。5分、佐伯直哉がヘディングで左へ振ったボールを、阿部拓馬が素早く中へ。走り込んだ菊岡拓朗はワントラップから左足を振り抜くと、前節J2デビューを勝利で飾った徳島GK榎本達也もわずかに及ばず、ボールはゴール右スミへ到達。ホームチームが早くもアドバンテージを握りました。
東京Vは4-4-2を敷く中で、「サイドで基点を創られた」と徳島のボランチ斉藤大介が振り返ったように、チームで最も技術の高い小林祐希と菊岡を中盤のサイドに配しており、2人がうまくボールを引き出すことで、序盤のいいリズムが生まれていた印象です。
やや押されていた徳島に、流れの中から最初のチャンスが訪れたのは16分。左サイドで東京Vのお株を奪うようなショートパスの連続から、柿谷曜一朗がクロスを上げ、佐藤晃大に届く直前で東京Vの左SB和田拓也が必死にクリアしたものの、いい攻撃を披露します。
すると、この前後から斉藤というJ2屈指のバランサーを後ろ盾に得た、キャプテンのボランチ倉貫一毅が躍動。24分にはその倉貫が左へ展開すると、西嶋弘之が右足クロス。中で佐藤と柿谷が重なってしまいましたが、こぼれを倉貫が放ったミドルは枠の左へ。31分、一瞬のミスを見逃さずに土屋征夫からボールを奪った倉貫は、すかさず衛藤裕へ。これは衛藤の選択したドリブルコースが悪く、チャンスには繋がらなかったものの、あわやカウンターというシーンを演出。さらに33分、倉貫が右へ展開すると、島村毅のクロスに佐藤が合わせたヘディングは弱く、柴崎貴広がキャッチしましたが、ここもスタートは倉貫。ベテランのコンダクターがタクトを振るい、中盤での優位性が出てきた徳島にゲームのペースは移ります。40分にも徳島にチャンス。右サイドを細かい繋ぎで華麗に切り裂き、柿谷の落としに呼応した島村のミドルはゴール左へ。ポゼッションでも上回ったことが、SBのオーバーラップを促進。厚みのある攻撃も出てきました。
「点が入った後はディフェンスに対する意識が高まったのは多少感じた」と川勝監督が話す東京Vは、なかなか流れの中からはいいシーンを生み出せず、41分に菊岡が右から蹴ったFKを頭で合わせた阿部のシュートも枠の右へ。スコアはホームチームが上回ったものの、流れはアウェイチームが握るような展開で、最初の45分間は終了しました。
後半は東京Vが先にチャンス創出。49分、相変わらずの存在感を見せていた森勇介が奪ったCK。菊岡のキックは土屋の下へこぼれるも、ボレーはクロスバーの上へ。54分、阿部、小林と繋ぎ、マラニョンが右へ振ると森はすかさずクロス。高橋祥平のコントロールシュートは枠の上へ外れましたが、まずは東京Vが攻勢に出ます。
55分には徳島にCKからビッグチャンス。衛藤の蹴ったボールはエリア内で混戦に。最後は西嶋が狙いましたが、東京Vもディフェンスの人垣を築き、失点を阻止。56分、左サイドでボールを回し、斉藤が狙ったミドルはGKキャッチ。60分にも決定機。またも左サイドから西嶋のパスを受けた柿谷が絶妙クロス。上がってきた島村のヘディングはドンピシャでしたが、ここは柴崎がファインセーブ。「いい形でボールを回せていた」(斉藤)徳島が、再び攻撃のリズムを取り戻します。
とはいえ、依然ビハインドを追い掛ける状況下で美濃部監督の采配は62分。右SHの濱田武に替えて、津田知宏を投入。前線は佐藤と津田の2トップに変わり、右に衛藤、左に柿谷という4-4-2へシフトします。66分には右サイドから島村の上げたクロス。津田がスルーしたボールを、柿谷が右へ流れながら浮かせ、衛藤のフィニッシュは枠外でしたが、「2トップでザゲイロ2人を引き連れ、バイタルにSHが入る形」(津田)から生まれた好機。73分にも三木隆司がインターセプトの流れから前へ運び、柿谷の左クロスを島村がワントラップボレー。しかし、ここも柴崎がファインセーブ。直後にも津田のラストパスから倉貫が打ったシュートは、土屋が体でブロック。東京Vは「忍耐力が必要な時間帯」(川勝監督)を強いられます。
そんな中で、いつもと言えばいつもではありますが、圧巻の集中力を見せていたのは37歳の土屋。前述のシュートブロックのみならず、危ないシーンに体を投げ出したり、先回りしてスイープするのは、大抵スキンへッドの17番。当然ボールそのものに対するアプローチも速いのですが、それ以上にプレー予測のスピードが並外れているので、アレだけのシュートブロックやスイープが可能なんでしょう。個人的には実現の可否は別として、CBに身長の高さを問われないザックジャパンでも見てみたい選手の1人ですね。
さて、何が何でも勝ち点を持って帰りたい徳島は、79分に衛藤を下げて徳重隆明をピッチへ。徳重は交替後のファーストプレーでFKを蹴ると、富澤清太郎の距離不足を誘い、さらに前進。再度直接狙ったキックは柴崎のファインセーブに阻まれますが、さらなる推進力をチームへ投下。さらに86分には倉貫に替えて、「相手も慌ててたのでFKのチャンスもあったし、少し下がってそこからのクロスに期待して」(美濃部監督)島田裕介がピッチイン。最後の勝負に出ます。
88分、津田が柿谷とのワンツーから上げた左クロスを、徳重が合わせたヘディングは枠の右へ。90分、島田の右CKを佐藤が頭で折り返すも、三木はシュートまでいけず。91分、左サイドから上がった柿谷のピンポイントクロスに、津田が応えたヘディングは、しかし右のゴールポストを直撃。「チャンスはいっぱい創ったが、決め切れなかった」(美濃部監督)徳島を、「ディフェンスの力で勝つゲームができた」(川勝監督)東京Vが完封に抑え、大きな勝ち点3を強奪する結果となりました。
東京Vは、今シーズン2度目のウノセロ。「昨シーズンみたいに苦しい流れの中で最後まで耐えて勝ち切ったことがなかった」(川勝監督)チームにとって、言わば守り切っての勝利は戦いの幅という意味でも重要な勝利に。「自分たちのスタイルじゃないゲーム」(同)で奪い取った1勝は、ラスト8試合に向けて新たな起爆剤になりそうです。
負けた徳島は、「ポゼッション率とかボールの動かし方、最後のチャンスまでは、本当にたくさんいい形が創れた」と指揮官も語った通り、ゲーム内容は決して悪くなかっただけに、残念な勝ち点ロストとなりました。ただ、各個人はそれぞれやるべきプレーが整理されており、90分間を見ていても大崩れすることはなさそうだなという印象。「この状況を楽しんで、のびのびと自分たちのやってきたことをやり続ける」(美濃部監督)ことができれば、まだまだ昇格の可能性は十分ありそうです。     土屋

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