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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年10月02日

J2第30節 横浜FC×札幌@国立

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201110022128000[1]mitsuzawa.jpg西が丘、国立、国立と東京での開催が続いた27節から29節まで3連敗。前節、ニンジニアスタジアムで行われた愛媛戦では、終了間際にフランサが掴んだ超決定機をモノにできずスコアレスドローと、5試合未勝利で15位まで順位を下げた横浜FC。岸野靖之監督体制2年目のシーズンは苦闘が続きます。
一方、ここ10試合で8勝1分け1敗という驚異的な数字を叩き出し、27節以降昇格圏内をキープしているのは2位の札幌。今までにも終盤へ向けて調子を上げていき、そのまま押し切ってJ1への切符を奪い取ったチームは少なくなく、勢いを考えれば有力な昇格候補です。それぞれ07年、08年とJ1を経験したチーム同士が激突する会場は、低く立ちこめる雲と、合間から差し込む光と、カクテル光線が交差する聖地国立。16時3分、札幌のキックオフでゲームはスタートしました。
先にリズムを掴んだのは横浜。ボランチで起用されたカイオが、やや下がり過ぎ、かつ、やや持ち過ぎのきらいはあったものの、積極的なボール関与からゲームメイク。3分には難波宏明が放ったファーストシュートの起点になり、7分には自らミドルにチャレンジするなど、チームを円滑に回していきます。
16分のチャンスも横浜。右サイドで細かいダイレクトパスを繋ぎ、藤田優人のクロスはファーサイドで待っていたカズにドンピシャ。キングのヘディングは札幌GKイ・ホスンが素晴らしい反応で弾き出し、こぼれを難波が頭で押し込みましたが、ここはオフサイドでノーゴール。先制とはいきません。ただ、22分にはカイオの縦パスから、フリーでバイタルに潜り込んだ野崎陽介は右足を強振すると、ボールはクロスバーを直撃するなど、完全に流れは横浜にありました。
さて、すっかり防戦一方となった札幌。なかなかボールを奪えない上に、「前で収まらないから後ろが上げられない」(札幌・内村圭宏)という悪循環に。これが22分のような、バイタルがポッカリ空いてしまうような事態を招いたことは、「DFラインが下がり過ぎて、ボランチとの間をうまく使われてしまった」とCBに入った18歳の櫛引一紀も認識していたようです。31分にはカイオが左へ展開すると、野崎のクロスにダイレクトで合わせた難波のシュートは、イ・ホスンがファインセーブ。このシーンではSHのクロスからチャンスが生まれましたが、「相手の両SBが高い位置を取っていたので、中央に穴が開いた」というサイドでの守備も石崎監督は気になった様子。なかなか札幌の時間帯はやってきません。
39分には高木純平のパスを、深い位置で受けた近藤祐介がリターン。高木の左足シュートは枠を捉え、ようやく赤黒のサポーターも歓声を上げる機会を得ましたが、実質この1回が札幌にとっては唯一のチャンスらしいチャンス。最初の45分間は横浜ペースと言っていい展開の中、スコアレスで終了しました。
前半のゲーム内容を「あの戦い方は許せない」とバッサリ斬り捨てた石崎監督。ハーフタイムを挟むと、攻撃面では「ジオゴがキープできないので、ボールがそこに収まるように2トップに」、守備面では前述の「中央に穴が開いたところを抑えたかったので3バックに」、それぞれ変更。最終ラインは右から日高拓磨、山下達也、櫛引の3枚。前線には近藤とジオゴが並び、その下に内村が入る3-5-2へスタートからシフトします。
すると、攻守共に「かなり集中してできるようになった」と石崎監督も認めたように、個々の役割がハッキリした札幌がラッシュ。53分、櫛引の素晴らしいインターセプトから、砂川誠の左アーリークロスをジオゴが頭で合わせるも、横浜GK関憲太郎が正面でキャッチ。54分には「なかなか近藤の所にボールが入らなかった」と判断した指揮官はその近藤を下げて、古田を左サイドへ送り込み、砂川を2トップ下へ置くと、内村を最前線に移します。55分には河合竜二のフィードから、抜け出したジオゴのシュートは枠の上へ外れるも、「前に人がいてプレスも掛けやすくなり、やれる感じはあった」と内村。主導権は札幌に移りました。
そして59分、その内村が大仕事。野崎のミスパスをかっさらったジオゴは一旦溜めてスルーパス。「際どいボールだったので、逆に追い込まれてあそこしかなかった」という13番は、GKの出鼻を左足アウトサイドで浮かす技ありシュート。ボールはサイドネットへ吸い込まれ、システム変更が奏功したアウェイチームが先手を取りました。
「お互いに我慢比べの中で先にミスが出た」(岸野監督)横浜。60分に失点直前から用意していたフランサをカズに替えて投入し、63分にも難波とエデルをスイッチ。2トップをそっくり入れ替えると、再びホームチームが攻勢。69分、フランサの長い長いボールキープから、カイオのフィニッシュはGKキャッチ。73分、フランサが突如浮かせたボール、こぼれを野崎が狙ったシュートは枠の右へ。77分には宮崎智彦が野崎とのワンツーから敵陣深くへ侵入し、中への折り返しがこぼれた所に柳沢が走り込むも、シュートは枠の左へ。それでも勢いは横浜。77分には柳沢を下げて、佐藤謙介をボランチヘ投入。ボランチだった藤田優が右SBへ回る、攻撃的な3枚目の交替策を敢行します。
そんな気持ちが結実したのは78分、右サイドの藤田優から受けたボールを荒堀謙次が縦へ入れると、飛び出した野崎は思い切りよくミドル。これが強烈にゴール右スミを貫きます。1失点目に繋がる痛恨のミスをした野崎が、汚名返上の同点弾。スコアは振り出しに戻りました。
昇格に向けて、このままでは終われない札幌。石崎監督が2枚目のカードを切ったのは82分。内村OUTで上原慎也IN。そのままの位置に投入しますが、83分に横浜も、佐藤のクロスをフランサが頭で落とし、カイオのボレーは枠を外れたものの、決定機創出。続けざまの86分。札幌最後の交替カードは河合に替えて岡本賢明。「トレスボランチ気味に」(石崎監督)砂川、岩沼、高木が並び、ジオゴのすぐ下に岡本が入る3-5-1-1で、勝負に出ます。
87分、砂川がゴール左25m弱の位置から枠へ飛ばしたFKは、関がファインセーブで阻止。残り時間もわずか。上がる国立のボルテージ。88分、砂川が蹴り入れたCKの綺麗な"曲線"は、途中出場の上原が頭で"直線"へ軌道変更。ニアサイドのゴールネットへ突き刺さった球体。これが昇格を争うチームが持つ勢いか。終盤に追い付かれながら、再度突き放した札幌が「内容的には負けていた試合」(櫛引)ながら、貴重な勝ち点3をもぎ取る結果となりました。
横浜はカイオの器用さが目立ちました。ボランチからの配球はクサビ、散らし、サイドチェンジ含めて抜群。特に前半は完全にゲームを自身のコントロール下に置いていました。惜しまれるのは、ゆえに前線にカイオがいなかったこと。都合4人のFWがピッチに送り出されたものの、4人合わせてのシュート数はわずかに3。フィニッシュワークには物足りなさの残る90分間になってしまいました。
札幌で出色は山下と櫛引のCBコンビ。先制してから勝ち越すまでの30分近くは、かなり攻め込まれる回数が多かったものの、冷静に対応。ここを1失点で乗り切ったことが、上原のゴールを呼び込んだという見方もできると思います。櫛引はほんの10ヵ月前に、柏の葉で室蘭大谷のキャプテンとして見たばかりでしたが、今や昇格を狙うJクラブのレギュラー。「最初は全然周りに付いていけなかったけど、まだまだですが少しずつやれるようにはなってきました」と語る18歳が、昇格のキーマンであることは間違いなさそうです。 土屋

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