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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年10月10日

天皇杯2回戦 千葉×デッツォーラ島根@フクアリ

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8日開催の天皇杯2回戦における"Jリーグ"対"非Jリーグ"の対戦は前者が12勝1敗。松本山雅が横浜FCに内容でも結果でも完勝した以外は、"非Jリーグ"がいずれも敗退。アルテ高崎とソニー仙台は、それぞれ川崎とベガルタ仙台に善戦しながら、共に延長戦で力尽きました。今日は9試合の開催中、5試合で"非Jリーグ"勢が登場。松本山雅に続くジャイアントキリングを目指します。
今回向かったのはフクダ電子アリーナ。おそらく今日登場するチームの中で、最も関東でゲームを見る機会の少ないであろう、島根県代表のデッツォーラ島根を見に来ました。まず、このインパクト抜群のクラブ名は、ポルトガル語で「神」を意味する「デウス」と、「やあ」や「ようこそ」を表す「オラ」を合わせた造語で、CBの渥美高二曰く"神の国へようこそ"というなんとも島根らしいネーミング。元々はFCセントラル中国というクラブ名で、浜田市社会人リーグ2部からスタートしたクラブで、着々と戦うディビジョンを上げ、2006年からは中国リーグに昇格。今シーズンは16勝2敗、得失点差プラス41という圧倒的な成績で、73年のリーグ創設以降、島根県勢として初めて中国を制し、年末の地域決勝大会に駒を進めている、いわば中国最強のアマチュアチームです。
千葉のキックオフでスタートしたゲームは、「ディフェンスから入ろうと話していた」(渥美)「リトリートした形で、高い位置で取れればくらいの感じ」(幸野屋敏行)と2人が口を揃えたように、少し引き気味に構え、リスクを冒さず前へ蹴り出すことの多かった島根の前に、千葉もボールこそキープしていたものの、なかなか相手ゴールを脅かすような攻撃はできません。
すると18分、幸野屋の縦パスをバイタルでフリーになった空山浩輝がターンしてドリブル。最後はオフェンスファウルとなり、シュートまでは至りませんでしたが、このワンプレーから「我々はカテゴリーが下のチームなので、Jのチームは非常にやりにくく、前半チャンスが必ずあるんじゃないかなと思っていた」という加藤賢士監督の読み通り、流れが島根に移ります。
20分、空山の右FKを望月陽介が拾い、パスを受けた平田翔太が対面のDFを1人かわしてクロス。ボールは中と合わなかったものの、惜しいチャンスを創出。21分、今度は左に流れた空山が右足で鋭いクロスを入れると、中央で競り勝った隅田航のヘディングはわずかに枠の右へ。さらに23分、またも空山が左からクロスを送ると、千葉DFのクリアがなんとゴール方向へ。GK大久保択生が何とか弾き出し、詰めた平田のシュートも大久保がファインセーブ。「空山がサイドに流れて基点を創るのは非常に多く、ウチのストロングポイント」と加藤監督も語る形から、決定的なシーンを生み出します。
この時間帯は「相手CBのヘディングが強かったので、セカンドを拾おうと田平(謙)と話し合っていた」と話す幸野屋が圧巻のボールアプローチから、セカンド奪取のみならず、果敢なインターセプトも披露するなど、ドイスボランチを組む田平と共にかなりの割合でボールを回収。「プレスをうまく掛けることで、ショートカウンターがうまく行けば得点になるんじゃないかと思っていた」と指揮官も期待していた"プレスをうまく掛ける"部分までは狙い通りにできていた印象です。
対する千葉は「相手が予想していたシステムと違い、前半はあまりよくなかった」とドワイト監督も渋い顔を見せたように、ボールこそキープしていましたが、仕掛けのパスはことごとくミスになり、ほとんどシュートシーンを創れません。41分にはまたも島根に決定機。右サイドから空山が蹴ったFKを、ニアで平田がフリック気味にヘディング。ここも大久保が片手で何とかストップし、千葉は事無きを得たものの、むしろゴールの香りが漂っていたのは島根。
さすがに最後の5分間は千葉も左サイドを中心に攻勢へ立ち、45分には久保裕一のパスから、ベテラン藤田俊哉が飛び出したGKを外す際どいループ。同じく45分には藤本修司が左サイドを抜け出し、中へ折り返したボールは望月がクリア。それでも、島根からすれば「前半は無失点で終わろうと話していた」(渥美)プランをクリアした上に、「チャンスをたくさん創れた」(加藤監督)望外の前半。「デッツォーラ~」と小さな体からメインスタンドの応援をも巻き込むような大声を張り上げていた、幼稚園児くらいのサポーターに十分応えるような45分間を島根は見せて、ハーフタイムへ入りました。
後半も49分に空山のCKから、田平のボレーはDFに跳ね返されたものの、先に島根がチャンスを創ると、50分に米倉恒貴の右クロスから藤本がフリーで放ったヘディングは、島根GK林一章の正面。ツキも味方します。すると、53分にも島根に決定的なシーン。右サイドからペナルティエリアまでボールを運ぶと、ゴール前で大混戦。粘って粘って田栗が右から中に入れたバスを、隅田は体勢を崩しながら枠へ飛ばしましたが、ここも大久保が足でクリア。3度目の決定機も先制ゴールとはいきません。
このシーンがゲームの分岐点になりました。ここからはさすがに目が覚めたのか、千葉も54分に坂本将貴、米倉と繋いで、久保のシュートはDFがブロック。59分にはカウンターから、青木孝太が右へ送ると、米倉のカットイン左足シュートは林がファインセーブ。米倉、藤本の両SHがボールを呼び込むことで両サイドを広く使ったアタックが目立ち始め、SBの攻撃参加が増えていきます。
島根は押し込まれる時間が長く、全体のラインはどうしても下がり気味に。そしてゴール前へ飛び込んだ空山が負傷でピッチの外へ出ていたタイミングで千葉に到来したチャンスは67分。青木がクサビを受けて右サイドを強引に抜け出すと、一気に開けた視界。シュートは林が防ぎ、詰めた藤本のシュートも林が続けてストップしましたが、3度目の正直とばかりに藤本が右足でプッシュ。待望の先制ゴールは千葉に記録されました。
「守備に対する切り替えが遅かった」(渥美)隙を突かれて、10人での戦いを余儀なくされていた時間帯に失点を許してしまった島根。ただ、面白かったのはリードされてからポゼッション率自体が上がったこと。「相手が引いてきたので回せたんだと思う」(渥美)「相手が前から来なくなったので回せた」(幸野屋)と2人は同じ感想を語り、実際に千葉が少し引き気味になったこともありましたが、それでも田平を中心にしっかり繋ぐスタイルが垣間見られたのは確か。
82分には隅田がクサビからうまく前を向き、右サイドを上がってきた幸野屋のクロスがわずかに中と合わなかったシーンや、88分にもうまく右サイドへ繋ぎ、粘って上げた平田のクロスを、田栗がボレーで当てきれなかったシーンと、あと一歩でゴールという局面までは創出。最後までスコアボードの"ゼロ"を変えることはできなかったものの、「対等にやれていた時間もあった」と渥美が話した通り、結果は1-0と紙一重。駆け付けたサポーターも選手たちに惜しみない拍手を送っていました。
島根は加藤監督に聞くとプロ契約選手は1人もおらず、関東在住で試合の日にだけ合流する主力選手も数人いるとのこと。練習は仕事の終わった夜に15人前後で行われるそうで、今日のスタメンGKも関東在住ながら昨日は前日練習に合流できず、夜になって監督から翌日のスタメンを携帯メールで知らされ、驚いていたらしいです。そんなチームが、Jリーグのチームと好勝負を繰り広げる辺りが、やはりサッカーの面白さ。見る者に小さくない衝撃を残して、「明日も仕事がありますから(笑)」(渥美)というアマチュア集団は、フクアリを堂々と去っていきました。
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土屋

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