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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年09月28日

J2第5節 千葉×京都@フクアリ

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201109290144000[1]fukuari.jpg序盤戦は首位を快走し、3シーズンぶりのJ1復帰は間違いなしとまで目されていた千葉。しかし、204センチのノルウェーハイタワー・オーロイを長期離脱で失う前後から、戦術的な幅の少なさを露呈し、昇格圏内からも脱落してしまいます。現在は4位と何とか上位陣に食らい付いている現状を考えると、順位が下のチームからは確実に勝ち点3を奪取する必要があるでしょう。
対する京都は大木武・前日本代表コーチを新監督に招聘し、周囲からは1年でのJ1返り咲きを期待されていたはずですが、中盤戦を過ぎても勝ち点が伸びず、現在はまさかの14位。久保裕也、伊藤優汰、駒井善成など、ユース出身の10代をレギュラーとして独り立ちさせた功績はさすがとはいえ、やはり最大の目的は昇格争いだったはずで、その点では物足りなさが残ります。今日は9月最後のJリーグ開催。会場は19.3度という秋の空気に誘われて、鈴虫も観戦に訪れていたフクアリです。
開始19秒、いきなり太田圭輔がフリーで迎えた決定機をゴール左へ外して幕を開けたゲームは、3分におなじみマーク・ミリガンのロングスローを大島秀夫が頭で合わせきれかなったシーンと、11分に太田が蹴ったCKを京都GK水谷雄一がパンチングで弾き出したシーンが、15分までに両チームが繰り出した攻撃の手数。割合静かな立ち上がりとなりました。
千葉は大島という、ターゲットとしてのプレーレベルはオーロイを上回る選手を前線に置いたことで、実際にクサビのボールは8割近く競り勝ち、収められるにもかかわらず、周囲のサポートの距離感が悪く、なかなかいい攻撃に繋がっていきません。また、3バックにそれほど高さのない京都も「ハイボールは負ける前提でやってたので、そんなに気にならなかった」と最終ラインの左を務める森下俊が話したように、セカンドへの集中も高く、決定的な場面は創らせません。
すると、15分には京都にチャンス。相手のパスミスをかっさらった久保から中山博貴、宮吉拓実と繋がり、こぼれ球を内藤洋平が枠に飛ばしたボレーはGKにキャッチされましたが、ここから流れが変化していきます。基本的にショートパスやドリブルで局面を打開していくスタイルの中、26分には内藤が相手DFラインの裏にうまく落としたボールは、宮吉が反応するもヒットせず。同じく26分、久保の長いスルーパスに宮吉が抜け出し、シュートまではいけなかったものの「1トップだと孤立しがちだが、2トップだと絡みやすい」と久保が話した通り、京都は久保と宮吉の狙いをチームがうまく共有し、シンプルに裏を狙う動きから惜しいシーンを生み出します。
そして迎えた35分、千葉のペナルティエリア内で、何でもない浮き球を坂本将貴は真上にクリアミス。宮吉が競り勝ったボールを久保が右足で叩くと、千葉サポーターの目の前で揺れたゴールネット。「ゴールが自信になっていく」と語る17歳の今シーズン8ゴール目は、貴重な先制弾。アウェイチームが先にゴールを記録しました。
さて、嫌な形からリードを許した千葉も反撃。39分、比較的崩す形ができていた左サイドから米倉恒貴が上げたクロスに、体を寝かせて合わせた大島のボレーはサイドネットの外側。45+1分、またも左サイドから深井が右足で上げたクロスを大島が折り返し、太田が頭で飛び込むも水谷がファインセーブで阻止。「前半の我々はよくなかった」とドワイト監督も認めた千葉がビハインドを負って、45分間は終了しました。
ハーフタイムで動いたのは大木監督。なかなか高い位置を取れなかった右SHの伊藤を下げて、同じ位置に福村貴幸を投入します。後半に入ると、先に決定機を掴んだのは京都。47分、森下のスーパーなフィードに抜け出したのは内藤。しかし、ここは飛び出した岡本が1対1をストップ。追加点とはいきません。さらに55分、相手のクサビを引っ掛けた駒井がそのままドリブルで駆け上がり、果敢にフィニッシュ。ボールは枠の左に外れたものの、このシーンは狙いの1つ。「ボールに行けっていうコンセプトでずっとやってる」と話したのは、44分にも宮吉のフィニッシュに繋がるパスカットを見せた森下。クサビにチャレンジし、そこで奪ってからカウンターという形は、今日の京都で非常によく見られたシーンでした。
一方、なかなかチャンスを創れない千葉。ドワイト監督の決断は56分。青木良太と坂本に替えて、青木孝太と渡邊圭二を投入。渡邊はそのまま左SBに入りましたが、青木孝太が配置されたのは大島のすぐ下。そして「彼を入れることで周りが機能する。中盤のエンジンだと思っている」と指揮官が評した深井は、なんと佐藤と並んでボランチを任されたのです。確かにこの配置転換で、パスの回りはよくなったと思います。とはいえ、1点を追い掛ける展開で12ゴールを挙げているチーム得点王を、ゴールから遠ざける采配は正直不可解。それが練習でも試したことのない形なら、なおさらでしょう。
64分には太田、青木孝太、米倉と回して、最後は青木孝太が枠内シュートを放ちましたが、2枚替え以降はこれ以外に流れの中からはチャンスを創れず、66分には京都がミスの目立ったチョン・ウヨンに替えて酒井隆介を投入し、「4バックに近い形で」(大木監督)守備を整備すると、一層バイタルを使えなくなっていきます。74分から5分間で5回のCKと1回のロングスローを獲得しながら、いずれもシュートに結び付けられず、しびれを切らしたドワイト監督最後のカードは80分、太田と久保裕一のスイッチ。これで佐藤をCBに下げ、中盤は右から米倉、深井、青木孝太を並べ、前線には大島、久保に加え、CBの竹内彬を上げて、なりふり構わず同点を狙いに行きます。
81分、山口慶のクロスを久保が頭で繋いだボール、大島のヘディングは水谷がファインセーブ。やはり81分、渡邊のFKを収めた久保の反転シュートは水谷がキャッチ。86分、青木孝太の左クロスをニアで大島が合わせるも枠外。91分、ミリガンのロングスローから、こぼれを拾った山口のクロスを竹内が落とし、佐藤のシュートはバーの上へ。93分、ゴールまで約30mの距離からミリガンが蹴ったFKは、あまりにも無策にカベへ直撃。94分、山口の左CKを水谷がパンチングで凌ぐと、タイムアップを告げる主審のホイッスル。「ゲームに勝つっていう事はこういうゲームをやることだと、選手が十分にわかったゲーム。本当に最後までよく頑張った」と大木監督も選手たちを讃えた京都が、約2ヵ月ぶりのアウェイ勝利をサポーターへプレゼントする結果になりました。
勝った京都は、相当押し込まれた終盤を耐え切っての勝ち点3。「誰かがミスしても、誰かがそれをカバーしていければといつも思ってやっている」という森下の言葉にも頷ける、平均年齢22歳のチーム全員で勝ち獲ったようなゲームだったと思います。一方の千葉はホーム初黒星となりましたが、スタートの布陣や選手交替も含め、采配にやや疑問が残ります。特にあれだけ大島が機能していた中で、最もセカンドを拾え、最も得点感覚の高い深井をあの位置に据えた意図は、説明されてもなかなか納得のいくものではありません。これで昇格圏内にいる3チームとのポイント差は詰まらず。残された試合数は11になりました。   土屋

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