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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年09月04日

J2第4節 FC東京×栃木@熊谷

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kumagaya0904.jpg41、41、41。1位FC東京、2位栃木、3位徳島と上位3チームが同じ勝ち点で並ぶことになった上位混線のJ2。今日はFC東京のホーム扱いとして、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場という、まさに中立地で首位と2位が直接対峙します。両者一巡目の激突は8月21日。2点を先行した栃木が粘る東京の反撃を1点に抑え、グリスタで勝ち点3を奪取。そこから東京は富山に敗れ、栃木は愛媛に引き分けるという1試合を挟み、再会の時を迎えました。
2分に水沼宏太の強引なミドルで幕を開けたゲームは、4分に栃木のCKを奪った谷澤達也が抜け出すも、ラストパスは全力で戻った大久保裕樹がカット。6分、梶山陽平の浮き球スルーパスは、ルーカスへわずかに届かず。7分、大久保のロングスローはオフェンスファウル。お互いに手数を出しあう展開となります。そんな中、先に決定機を創出したのは東京。12分、田邉草民がタイトなプレスを振り切る力強いドリブルから右へ。受けた谷澤のシュートは右のサイドネット外側を叩きましたが、「正直一番警戒していた」と栃木のCB渡部博文も話した田邉から1つチャンスを生み出すと、ここからは東京の攻勢が続きます。
18分、ルーカスの懐深いポストプレーを田邉がリターン。再びルーカスのワンタッチパスはオフサイド位置にいた味方へ向かいますが、関与する素振りを見せず、副審のフラッグが上がらないのを見るや、ルーカスが猛然と拾い直してクロス。栃木GK武田博行がフィスティングで逃れたものの、49番の献身性が早くもチャンスに結び付きます。
この時間帯の東京で一番目立っていたのは、ルーカスが見せるポストプレーの正確さ。「ルーコンに入った時にスイッチを入れて、バイタルに3人目の動きで侵入できていた」とはボランチの高橋秀人。一方、栃木は「ルーカスは背負った状態で力を発揮するので飛び込み過ぎないように、ワンタッチ目を狙うよりも裏のケアとターンされないケアを考えていた」(渡部)とのこと。18分のように、ルーカスの間で受けて捌くプレー精度はJ2レベルを超越。そこには食い付かず、その次を狙うというのが栃木の共通認識。19分には高橋、梶山と繋いで、中村北斗が右へ送ったボールを、椋原健太が枠の右に外すという決定的なシーンはありましたが、以降は細かいパスワークに栃木がうまく対応していきます。
こうなると次に目立ってくるのは、東京のサイドを変えるスピード。「ボランチに簡単にターンされて展開される場面が多かった」と渡部が振り返った通り、特に梶山は1つ飛ばして逆サイドへと送るパスの選択が抜群。29分には羽生が右から来たボールを左へ展開。中村がスピード勝負で縦へ抜け出し、上げたクロスにルーカスのヘディングは枠の右へ。ゴールこそ入りませんでしたが、この15分間は完全に東京が主導権を握っていました。
ところが、「先に点を取られると厳しいというのは感じてた」(高木和正)栃木も、33分にパウリーニョが打ち込んだ縦パスを、スムーズに受けた水沼のミドルはわずかに枠の右へ外れたとはいえ、この一連が逆襲のスイッチ。36分、水沼の鋭く速いクサビからサビアのラストパスは、リカルド・ロボが右へ流れて惜しいフィニッシュ。38分には梶山の展開から、中村の左クロスに自ら走り込んだ梶山のシュートが枠の右へ外れたシーンを挟み、43分にもサビアが右へ回し、右足で高木が入れた折り返しに、反応したリカルド・ロボのシュートはクロスバーの上へ。「十分にカウンターのチャンスはできていた」と松田浩監督。最後の15分間は栃木がリズムを掴んで、ハーフタイムを迎えました。
後半に入ると、早々にアクシデント。前半でイエローカードを貰い、次節は出場停止となったパウリーニョが49分に負傷退場。ここまで出場停止の1試合以外はすべてのゲームで中盤を仕切ってきたブラジル人の離脱。栃木は苦しい展開を強いられるかに見えました。しかし、守備面では「なかなか点が取れないぞという印象を相手に与えたかったので、0-0での推移は全然OK」と語った渡部と大久保のCBを中心に、東京のパスワークへしっかりアジャスト。後半初めての被シュートは、田邉との交替で投入された石川直宏が右クロスを上げて、ルーカスが合わせた63分のシーン。東京にフィニッシュを取らせません。
松田監督は63分に2枚目のカードとして、サビアとチェ・クンシクを入れ替えますが、「カウンターはできていたが、シュートまで行けない場面も多かった」(高木)「カウンターはウチの方が回数は多かったが、シュートやラストパスの精度がもう少し良ければ」(松田監督)と2人が口を揃えたように、守から攻への切り替えはスムーズだったものの、最後までやりきる精度に欠け、フィニッシュにまでは繋げられません。
ただ、栃木がシュートシーンを創れなかった裏には、東京のボランチに入った高橋の存在も大きかったと思います。「いつもより低いポジションを心がけていた」という高橋は、バイタルケアにセカンド奪取にと奮迅の働き。彼が1枚立ちふさがることで、栃木のカウンターが減速することも少なくなく、守備面では相当効いていた印象を持ちました。
とはいえ、ゴールを奪わない限り、勝ち点3は付いてこないのが世の常。73分にはパウリーニョと交替で入っていた落合正幸の信じられないパスミスを石川が奪い、右へ回したルーカスのパスを、羽生がドリブルからシュートまで持ち込むものの、ボールは枠の左へ。その直後、羽生に替わって永里源気が投入されますが、「交替選手が入って、少しチグハグしてしまった」と大熊清監督が触れたように、石川と永里も効果的にはゲームに絡めず、時間ばかりが経過していきます。
スコアレスドローでの決着が色濃くなってきた後半アディショナルタイムには、東京に千載一遇の先制機。91分、鈴木達也の蹴った左CKを、ニアで合わせたのはルーカス。ボールはキッチリ枠を捉え、武田も届かない位置へコントロールされましたが、ゴールカバーに入っていた入江利和が決死のクリア。「アウェイで最低限の結果を残したという見方もできるが、1-0で勝つには絶好の展開でもあった」(松田監督)「勝ち点3を得られなかったのは残念」(高橋)という2人の言葉が、おそらく両者の偽らざる感想。首位攻防の直接対決は、スコアレスで勝ち点1を分け合う結果となりました。
東京はポゼッションの割に、チャンスを創りきれなかった印象が残ります。ルーカスのポストプレーが安定していただけに、中央で彼を絡める攻撃が一番機能していたことを考えると、今日で言えば田邉と石川の交替は、石川が受け取った指示の内容も含めて、「点を取るところでの組み合わせを再検証したい」という指揮官の再検証ポイントに入ってくるのではないでしょうか。
栃木は、確かに勝ち点3を奪取できる可能性もありましたが、東京との2試合で勝ち点4は十分な成果。後半は出場停止と負傷で数試合の離脱も予想されるパウリーニョ不在を、落合がある程度カバーしていたのも好材料でしょう。これでJ2は上位6チームが勝ち点差3の中にひしめく大混戦。例年以上に目の離せない秋がやってきそうです。   土屋

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