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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2011年09月14日

ナビスコ2回戦 1st-Leg 浦和×大宮@埼スタ

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saitama.reds.jpg共にリーグタイトルは非常に厳しいと言わざるを得ない現状の浦和と大宮ですが、サポーターも含め、クラブに関わる方々へカップウィナーの称号をプレゼントする可能性は残されています。ナビスコカップ2回戦はさいたまダービー。ファーストレグは浦和ホームの埼玉スタジアム2002です。特に浦和は成績不振の責任を取る形で、柱谷幸一GMの解任が決定。それから初めて迎えるゲームだけに、是が非でも結果が求められる一戦なのは間違いありません。
キックオフ後、最初のシュートは浦和。2分、山田直輝のやや強引なミドルは、枠の左へ外れましたが「最初から思い切っていこうという話はしていた」(高橋)チームの姿勢を、まずは打ち出します。しかし、最初の決定機は大宮。6分、東が左へ大きくサイドを変えると、ホドリゴ・ピンパォンはダイレクトで落とし、受けた渡邉は寄せたDFをかわすとフィニッシュ。ボールは枠の左へ逸れたものの、掴んだ大きなチャンス。ここからゲームはイーブンに近い形で進行していきます。
浦和は「前半は高いギアでプレーしていた」とペトロヴィッチ監督も言及したように、確かに前への圧力はプレスも含めてかなり強く、気持ちは十分に見えていましたが、それが空回る1つの要因になっていた感も否めません。実際15分に柏木がドリブルから右へ回し、マルシオ・リシャルデスのシュートを江角が何とか弾き出したシーンが、30分までに流れの中から創った唯一のシュート。単純に相手陣内へ入ってからのイージーミスが多く、エスクデロは慣れない1トップで「体張って収めるのは僕の特徴」と話した部分を懸命にこなしますが、そこへ絡んでいく2列目のサポートが乏しく、なかなか攻撃に厚みが出てきません。
そしてそれは大宮も同様。「ボールが動かず長いボールが多くなり、収まってもサポートする選手とパスが合わず、スピードが上がらなかった」と鈴木淳監督が語ったように、中盤を省略する最終ラインからのフィードが頻発。確かに浦和のCB2枚は裏の対応に手間取るケースも見られますが、少しラインを下げて対応されたことで、サイドの深い位置に放り込んでも基点は創れず、個での打開が目立ってしまいます。
そんな中、派手さはないものの目を引くプレーを随所に披露していたのは、ルーキーながらスタメン出場となった浦和のボランチ小島秀仁。「ゲームに出られるというのは本当にワクワクしたし、いい緊張感があった」と語る19歳は、13分に絶妙のロブをラインの裏へ落とし、マルシオはわずかに届かなかったものの、あわやというシーンを演出すると、34分には守備の局面でも能力を発揮。青木が左へ展開したボールを、ラファエルは完全に1人置き去って中へ。ピンパォンのボレーが枠へ向かう状況で、左右に振られる中でもしっかりゴールカバーに入ってクリアしたのは小島。チームの危機を救います。基本的には「(柏木)陽介君が前に行くので、自分はバランスを取ってゲームメイクに専念しようと思っていた」と語った通り、少し下がり目の位置にポジションを取りながら、繋ぎに潰しに奮闘。強い存在感を放っていました。
38分には大宮にビッグチャンス到来。インターセプトからそのまま中央を駆け上がった右SBの杉山は、左へラストパス。待っていたピンパォンはフリー。加藤との対峙。詰まる間合い。直後、勝ったのは体でシュートをブロックした加藤。45分間はゴールレスでハーフタイムに入りました。
後半もまずは浦和。46分に原口、山田直輝と回してエスクデロのシュートは大きくゴール右へ外れたものの、チャンス創出。50分にもフィニッシュには繋がりませんでしたが、柏木が縦に入れたスルーパスにエスクデロが走り込むシーンが見られるなど、「その時の状況を落ち着いて判断してプレーしようと投げ掛けた」指揮官の言葉を体現します。
すると50分、片岡のミスパスをマルシオがカットして右へ。山田直輝のクロスにエスクデロが「相手が結構プレッシャーに来るのはわかってたので体を入れた」所を杉山が倒してしまい、扇谷健司主審の判定はPK。浦和が絶好の先制機を迎えます。キッカーはマルシオ。10番が全力で蹴ったボールは左スミにグサリ。勢いそのままにホームチームが先手を取ってみせました。こうなると、中盤の流動性もプラスに作用し始めた浦和ペースに。58分には高橋が50m近い距離を独走してラストパス。エスクデロのシュートは枠の上を越えていきましたが、サイドバックも流れに乗って惜しいチャンスに絡んできます。
さて、リードを奪われた大宮も決してチャンスを創れない訳ではなく、62分には上田が右から入れたアーリークロスにピンパォンはわずかに届かず。63分、村上のパスを受けた東のコントロールショットは、加藤がバウンドを合わせて好セーブ。なおも渡邉が2本連続でCKを蹴るなど、この時間帯は少しずつ大宮にリズムが移りつつあったと思います。
そんな雰囲気を浦和が切り裂いたのは65分。永田がクイックで始めたFKは小島の足元へ。前を向いた27番は「(原口)元気君が裏に抜けるのが見えたので、それに合わせるだけ」とピンポイントフィード。フリーで抜け出した原口は、ワントラップから確実かつ冷静にゴールへ流し込みます。19歳のアシストで、20歳が勝ち越し弾。「若い選手のパフォーマンスを見ると、浦和の未来は明るいと思う」というペトロヴィッチ監督の言葉にも思わず頷きたくなるような2点目で点差が広がりました。
「ファーストレグということでアウェイゴールを奪って勝ちに繋げたい」(鈴木監督)大宮は、66分に2度のビッグチャンスをモノにできなかったピンパォンを諦め、切り札の石原を投入。まずは1点という姿勢で、少し受けに回った浦和を攻め立てますが、68分に杉山が石原のパスをダイレクトで中へ送り、東がフリーで放ったシュートは高橋が体でブロック。78分に石原が渡邉との大きなワンツーから枠へ飛ばしたシュートは加藤がファインセーブ。終了間際の88分には長いフィードに反応した東がプレスをかわし、角度のない所から狙ったシュートも枠外と、遠い浦和のゴールネット。「戦術どうこうじゃなくて戦うことが一番大事」(原口)「戦術よりも今は勝つことが一番」(山田直輝)と2人が口を揃えた浦和が、大宮を上回る気迫を見せて、セカンドレグに向けて大きなアドバンテージを握る結果となりました。
浦和は「後半は両足が攣ってました」と言いながら、随所にセンスを感じさせるプレーを見せた小島の台頭はもちろん今後への好材料ですが、個人的に胸を打たれたのはマルシオの全力プレー。37分に火の出るようなプレスからボールを強奪し、エスクデロへ冷静なラストパスを出したシーンで表出させた、炎と氷のような感情は本当に印象的でした。やはり浦和浮上のキーマンは10番。マルシオが本来の能力を発揮できる状況を整えることは、チーム力アップに向けた最大の条件かもしれません。
   土屋

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