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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2011年08月30日

T1リーグ優勝決定戦 関東第一×帝京@駒沢第2

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komazawa30.jpg震災の影響を受け、レギュレーションの大幅な変更を余儀なくされた、東京の高校年代におけるトップカテゴリーのT1リーグ。本来は12チームの総当たりで行われるはずでしたが、結果的には6チームを2ブロックに分けて争われることになりました。既にブロックの日程は終了。Aブロックは春の関東大会予選を制しながら、インターハイ予選は初戦敗退となった関東第一が、5試合で26ゴールと驚異的な攻撃力で首位通過。Bブロックはインターハイ予選の準決勝で新興勢力のかえつ有明にPKで敗れ、全国出場を逃した帝京が見事5連勝で堂々の首位。この2チームが、プリンス関東昇格決定戦へ進む一枠を賭けて、駒沢で対峙します。
キックオフは18時半。秋の足音が確実に忍び寄っていることを実感するような涼しいコンディションの中、東京の頂上決戦は幕を開けました。すると、いきなり動いたスコア。3分、帝京は右サイドへ展開すると、伊藤遼(2年・岐阜VAMOS)が素早くクロス。大野耀平(2年・浦和レッズJY)のボレーは完全にヒットしなかったものの、少し降り始めていた雨の影響か、GKが弾き切れず、ボールはゴールへ転がり込みます。5年連続でのT1リーグ2位を脱出したい、青を纏ったカナリア軍団が早々にリードを奪いました。
ところが、関東第一もすぐさま反撃。7分、キャプテンで司令塔の沓掛元気(3年・ヴィヴァイオ船橋)が蹴った右CKに、ニアへ飛び込んだのはCBの星清太(2年・フレンドリー)。うまく捉えたボレーは、密集を抜けてゴールを捕獲。「ボールを運べるので、ドリブルを許している。ピケみたいになってくれたら」と小野貴裕監督も言及するなど、入学早々からゲームに起用され、高い期待を寄せられながら、徐々に出場機会を失っていた星の同点弾。あっという間に双方が得点を奪い、スコアは振り出しに戻りました。
序盤から動いた試合は、共に攻撃的な姿勢を打ち出す展開に。関東第一は、「以前は蹴るなと言っていたけど、最近は自分たちでしっかり回すことができている」と小野監督も話したように、いつものようなボランチの沓掛を中心としたポゼッションスタイル。ただ、バイタル周辺までは迫りますが、あと1本のパス精度に欠け、決定機にまでは至りません。一方の帝京も、今や特徴として確立した感のある、縦に速いスタイルで対抗。中でも右サイドを切り裂くSHのスピードスター伊藤と、2トップの一角ながらサイドへ流れて基点を創っていた町田直樹(3年・東京久留米FC)の切れ味が鋭く、ボールこそ持たれる中でも確実に相手へ脅威を与えます。
そんな中、次にゴールを記録したのは帝京。19分、後方からのフィードに左サイドでうまく抜け出した町田は、柔らかいラストパスを中へ。フリーの大野は難なくプッシュ。再三見せていた、町田がサイドに開く形がゴールへ直結。再び帝京が1点のアドバンテージを握りました。
一層激しくなる雨の中、帝京のハイプレスにも苦しみ、少しずつパスの回りも停滞気味の関東第一。竹本佳(2年・小倉南FC)と谷中隆太(3年・ナサロットFC)で組む小柄なアジリティ2トップも、あまりボールに絡めません。しかし、この日の関東第一はセットプレーの当たり日。36分、またも沓掛の右CKから、中央で待っていたのは長谷澪斗(3年・FC湘南)。沓掛の2アシストでCBの2人がそれぞれゴール。2-2というハイスコアで前半は終了しました。
ハーフタイムで動いたのは小野監督。左SBの小松雄貴(2年・大宮FC)に替えて、CBの塚越拓也(3年・ジェファFC)を送り込み、長谷が元々やっていたという左SBへシフトします。この布陣変更が的中。人に強い塚越を隣に得て、星がビルドアップの基点になると、長谷も積極的にオーバーラップ。守備の安定は、すなわち良い攻撃への大事な一歩。49分、相手のCKを奪うと、高速カウンターから谷中のドリブルシュートは帝京GK澤野亮太(2年・帝京FC)がファインセーブで逃れ、詰めた竹本のシュートはわずかにゴール左へ。51分、飯沼京汰(3年・町田JFC)が右へ繋ぐと、福島翔太郎(3年・ヴェルディSSレスチ)はグラウンダーのクロス。ファーへ飛び込んだ長谷はわずかに届かず、枠には収められませんでしたが、完全に主導権を奪い返します。
そして54分、飯沼が左サイドから中へ入れた横パスを、沓掛は心憎いヒールでワンクッション。受けた大津風輝(3年・FCトリプレッタ)は、まったくのフリーでネットへ流し込む逆転弾。「完全にサイドから崩した」(小野監督)ビューティフルゴール。関東第一が、このゲームで初めてリードを手にしました。
帝京の廣瀬龍監督も交替策。56分には前線の吉良光稀(2年・帝京FC)を松岡啓太(2年・AZ'86東京青梅)へ、62分にはボランチの藤田将(2年・グランデFC)を佐々木敬哉(3年・町田JFC)へ、それぞれスイッチして攻撃のギアを一段上げにかかりますが、焦りからかシュートシーンをなかなか創れず、イエローカードも増えるなどイライラが募ります。
逆に攻勢の続く関東第一。69分、飯沼からボールを受けた長谷の折り返しは中とズレたものの、こぼれを福島が枠へ飛ばすと澤野がファインセーブ。73分、竹本が右サイドからドリブルでカットイン。こぼれをフリーで大津が叩くも、ボールは枠の右へ。74分、福島が左へミドルレンジのスルーパスを送り、谷中のカットインミドルは枠の右へ。ラッシュの手を、いや、足を緩めません。
帝京も78分には右SBの新地寿史兆(3年・FC東京U-15むさし)が2回続けてロングスローを敢行しましたが、フィニッシュには結び付かず。そして、終盤にかけて一層激しさが増してきた雨足を、自らの力で歓喜のシャワーに変えたのは87分の関東第一。左サイドの長谷を起点に、途中出場の大村俊道(2年・コンソルテ)が溜めて、谷中が右へラストパス。大外でフリーになった大津は、冷徹な一突き。沸騰するバックスタンドの応援団。勝利を確信するベンチメンバーと交替で下がった選手たちの輪。ピッチ内で弾けた笑顔。4-2。特に後半は完全にゲームを制圧した関東第一が、関東プリンス参入決定戦に東京チャンピオンとして挑む権利を獲得する結果となりました。
準決勝まで勝ち進みながら、シュート1本に抑えられ、帝京に完敗したのが昨年度の選手権。それから半年で、帝京を倒して東京を制したのが春の関東大会予選。そして、準々決勝で國學院久我山に屈したインターハイを経て、再び帝京と対峙したT1ファイナルでは完勝での王座奪還。今シーズンの関東第一には、何かを感じさせる勢いがあります。来週末から始まる選手権都大会では、強豪揃いのAブロックに組み込まれましたが、それでも頂点まで辿り着く可能性は決して低くないと、私は今日の試合を見て感じました。素晴らしいT1制覇だったと思います。   土屋

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